齋藤孝の 知の整理力

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齋藤孝の 知の整理力
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齋藤孝の 知の整理力
著者
出版社
かんき出版

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出版日
2017年08月01日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「知的な人」は、見える世界が違う。同じものを見ても、同じ場所を訪れても、その圧倒的な知識量と培われた想像力で、人の何倍もの楽しみに浸ることができるだろう。

では、知識が豊富であれば知性を備えた人といえるのだろうか。そうではない、と著者は言う。持ち合わせた知識も、ばらばらで何のつながりもなければ、それは知識「だけ」がある人、雑学王である。

知識は整理し、互いに関連付け、適切な場所とタイミングで使うことが大切である。例えば、本で読んだ偉人の言葉を文章に引用したり、面白いと思った情報を人との会話で伝えたり、ということだ。これができるかどうかが普通の人と知性ある人との分かれ目になる。

著者の齋藤孝氏は、言わずと知れた言葉のプロフェッショナルである。明治大学文学部で教鞭をとるかたわら、作家活動、テレビ出演をこなし、超多忙な日常を送る中でも読書は欠かさない。大量に取り込んだ情報を整理するため、著者が実践を重ねて有効だと判断した方法を、本書では紹介している。

知性を備えれば、話題は豊かになり、発する言葉にも魅力が増していく。そうすれば、知性ある人たちとの交流の輪も広がっていき、知性はさらに磨かれる。著者の提案する「知の整理」を一つずつ実践していけば、人生は間違いなくより幸福で、色彩豊かなものになっていくだろう。

ライター画像
二村英仁

著者

齋藤 孝 (さいとう たかし)
1960年静岡県生まれ。
東京大学法学部卒業。同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。
『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)や『強くしなやかなこころを育てる!こども孫子の兵法』(日本図書センター)をはじめ、教養や読書術、教育論などをテーマにした多数の著書がある。
『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で「新潮学芸賞」を受賞。日本語ブームをつくった『声に出して読みたい日本語』(草思社)で「毎日出版文化賞特別賞」を受賞している。

本書の要点

  • 要点
    1
    知性とは「言葉」であり、「言葉を相手に伝える力」である。知性を磨くためにはまず、偉人の言葉を引用してみることだ。そのためには、狩猟的な感覚で、これは使えそうだという知識を集めておくことである。
  • 要点
    2
    「知の整理」で大切なことは、「内的整理」、つまり頭の中を整理することだ。内的整理には、面白いと感じた知識が雑多につながる「カオス型整理」と、体系的な知識を記憶する「秩序型整理」があるが、知識の種類に応じてふさわしい整理方法を使い分けることが大切だ。
  • 要点
    3
    「知」を共有するパートナーができれば、交流によってさらに知性が磨かれる。

要約

「知的」な人のアウトプット

知性とは何か
MissTuni/iStock/Thinkstock

「言葉」こそ知性であり、たくさんの言葉をたくわえて、それらを自在に操れる人が知的な人だといえる。

知性を磨くための第一歩は、偉人の言葉の引用に挑戦してみることだ。たとえば、文章に勝海舟や孔子の言葉が引用されていたりすると、書いた人を「知的な人だ」と感じるものだ。また、そういった引用は、文章の厚みと質を高める。なぜなら、引用した言葉に価値があることで、読者は得した気分になるからである。

うまく引用するためのコツは、知識を仕入れる際にアウトプットを想定することである。本を読むときには、これはどこかで使えるだろうかというセンサーをはたらかせながら、「狩猟的な感覚」で臨むことが大切だ。そして、実際に日常会話の中で使ってみる。引用には、全体を要約して伝えることと、そのまま伝えることの二つの方法があるが、基本的には前者がおすすめだ。とにかく使えそうな言葉に出会ったら、積極的に引用してみることが重要である。

引用力を鍛える方法

引用力を鍛えるには、使えそうな言葉を増やしていかなければならない。初めは、引用を習慣化するために、ハードルを低くして、本だけに限らずあらゆるものから柔軟に言葉を集めてみるとよい。

漫画は、引用の練習に適した教材の一つだ。好きな漫画であれば何度読んでも苦にならず、魅力を感じたセリフというものは、自分の中に深く入り込むため引用もしやすい。一般の本へ進む前段階として、漫画で練習を積んでみよう。

また、好きな曲の歌詞も練習材料になる。作詞家というのはその曲のコンセプトを見事に言語化する。だからこそ、人の心に強く印象づけられるのである。自分の好きな歌を引用という観点で改めて聴いてみると、引用力の向上につながる新しい発見があるかもしれない。

そして、自分が好きな人、尊敬の念を抱く人の言葉を大切にすることだ。心を寄せている人が使う言葉というのは、自分の中にもすっと入ってくるものだ。

漫画や歌詞、自分の好きな人から引用する練習をして、あとはどんどん範囲を広げていくとよいだろう。

言葉は「最大のプレゼント」

プライベートでも仕事でも、直接の会話でもメールでも、言葉を人に伝える能力は、今も昔も変わらず大切である。物で溢れ、物を所有する価値も薄れつつある今の時代、「言葉」「知識」「情報」といった無形の「知」は最大のプレゼントになる。相手にとって面白く、実用的な話をプレゼントできれば、営業先でもお客様の関心を引きつけることができるだろう。

知識は人に伝わってはじめて価値を持つ。だからこそ、自分の伝えたいことを相手に正しく吸収してもらうために、言葉を人に伝える能力が重要なのである。

【必読ポイント!】知の整理術

本の「外的整理」

知識を集めることは大切である。しかし、それ以上に重要なことは、集めた知識を整理することだ。整理の方法には「外的整理」と「内的整理」の2種類あるが、意識すべきなのは内的整理だ。

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要約公開日 2018.01.07
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