「言葉」こそ知性であり、たくさんの言葉をたくわえて、それらを自在に操れる人が知的な人だといえる。
知性を磨くための第一歩は、偉人の言葉の引用に挑戦してみることだ。たとえば、文章に勝海舟や孔子の言葉が引用されていたりすると、書いた人を「知的な人だ」と感じるものだ。また、そういった引用は、文章の厚みと質を高める。なぜなら、引用した言葉に価値があることで、読者は得した気分になるからである。
うまく引用するためのコツは、知識を仕入れる際にアウトプットを想定することである。本を読むときには、これはどこかで使えるだろうかというセンサーをはたらかせながら、「狩猟的な感覚」で臨むことが大切だ。そして、実際に日常会話の中で使ってみる。引用には、全体を要約して伝えることと、そのまま伝えることの二つの方法があるが、基本的には前者がおすすめだ。とにかく使えそうな言葉に出会ったら、積極的に引用してみることが重要である。
引用力を鍛えるには、使えそうな言葉を増やしていかなければならない。初めは、引用を習慣化するために、ハードルを低くして、本だけに限らずあらゆるものから柔軟に言葉を集めてみるとよい。
漫画は、引用の練習に適した教材の一つだ。好きな漫画であれば何度読んでも苦にならず、魅力を感じたセリフというものは、自分の中に深く入り込むため引用もしやすい。一般の本へ進む前段階として、漫画で練習を積んでみよう。
また、好きな曲の歌詞も練習材料になる。作詞家というのはその曲のコンセプトを見事に言語化する。だからこそ、人の心に強く印象づけられるのである。自分の好きな歌を引用という観点で改めて聴いてみると、引用力の向上につながる新しい発見があるかもしれない。
そして、自分が好きな人、尊敬の念を抱く人の言葉を大切にすることだ。心を寄せている人が使う言葉というのは、自分の中にもすっと入ってくるものだ。
漫画や歌詞、自分の好きな人から引用する練習をして、あとはどんどん範囲を広げていくとよいだろう。
プライベートでも仕事でも、直接の会話でもメールでも、言葉を人に伝える能力は、今も昔も変わらず大切である。物で溢れ、物を所有する価値も薄れつつある今の時代、「言葉」「知識」「情報」といった無形の「知」は最大のプレゼントになる。相手にとって面白く、実用的な話をプレゼントできれば、営業先でもお客様の関心を引きつけることができるだろう。
知識は人に伝わってはじめて価値を持つ。だからこそ、自分の伝えたいことを相手に正しく吸収してもらうために、言葉を人に伝える能力が重要なのである。
知識を集めることは大切である。しかし、それ以上に重要なことは、集めた知識を整理することだ。整理の方法には「外的整理」と「内的整理」の2種類あるが、意識すべきなのは内的整理だ。
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