酒好き医師が教える 最高の飲み方

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酒好き医師が教える 最高の飲み方
出版社
出版日
2017年11月28日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

「酒ジャーナリストが、酒好き医師に聞いた、酒の最高の飲み方」というコンセプトだからこそ実現した、お酒と上手につきあう方法が凝縮された指南書である。この一冊を完成させるため、著者がインタビューしたプロフェッショナルは25名にも及ぶ。

本書を読めば悪酔い対策や酒と病気の関係など、酒にまつわるあらゆる疑問が一気に解決するだろう。飲酒と健康についてだけでなく、飲み会の席で話したくなる内容も満載だ。たとえば「明日のために」と多くの人が手にするウコンが、知らず知らずのうちに体を痛めつけているかもしれないとは誰が予想できるだろう?

とくに興味深かったのがお酒の健康効果だ。たしかにお酒は体にとって毒である。しかし同時に健康効果を増進する成分も含まれているという。一部は要約にもまとめてあるので、楽しみに読み進めていただきたい。今後のお酒選びの参考にもなるはずだ。

「私はお酒を飲まないから関係ない」という人もいるかもしれない。しかしお酒は飲むだけがすべてではない。日本酒がいい例だ。お酒には美容用品としての活用法もある。こういう情報は知っておいて損はない。

コミュニケーションを円滑にし、人生に豊かさを与えるお酒。その一方で、死にいたるほど重篤な病を引き起こしかねないお酒。長く楽しくつきあいたいと願うのであれば、「最高の飲み方」を知らないわけにはいかない。

ライター画像
二村英仁

著者

葉石 かおり (はいし かおり)
エッセイスト・酒ジャーナリスト
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション理事長
1966年東京都練馬区生まれ。日本大学文理学部独文学科卒業。ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て現職に至る。全国の日本酒蔵、本格焼酎・泡盛蔵を巡り、各メディアにコラム、コメントを寄せる。「酒と料理のペアリング」を核に、講演、セミナー活動、酒肴のレシピ提案を行う。2015年に一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。国内外にて世界に通用する酒のプロ、サケ・エキスパートの育成に励み、各地で日本酒イベントをプロデュースする。

本書の要点

  • 要点
    1
    アルコールは身体の中に入った後、胃と小腸で吸収される。その割合は、胃がおよそ5%、小腸が95%だ。悪酔いを防ぐには、アルコールをいかに胃に留め、小腸へ送られる時間を引き延ばすかが鍵となる。
  • 要点
    2
    アルコールの胃での滞留時間を延ばすのに有効なのは「油」である。キャベツなどに含まれるビタミンUも胃の保護に役立つ。
  • 要点
    3
    健康を維持しながらお酒を飲むためには、適量な飲酒量、休肝日、食生活への留意、そして適度な運動が大切である。

要約

医師に聞く「正しい」飲み方

酔いが回るメカニズム
nixki/iStock/Thinkstock

お酒が大好きな人も、悪酔いするために飲むわけではない。お酒に強くない人であれば、なおさらだ。「飲まなければよかった」と後悔しないためにも、悪酔いから身を守る術はいくつか覚えておきたい。

まず大前提として、お酒を飲むときはしっかりと食事を取るべきである。では「なにを」「どのタイミングで」食べるとよいのだろうか。

東海大学医学部教授の松嶋成志氏によると、悪酔いを防ぐ鍵はアルコールの血中濃度を急上昇させないことにあるという。酔いがまわるというのは、アルコールの血中濃度が高い状態のことだ。

アルコールは身体の中に入った後、胃と小腸で吸収される。ただしその割合は胃がおよそ5%、それ以外の95%が小腸と、大半が小腸だ。小腸の表面積は成人男性の場合、テニスコート一面分ほどもある。一度小腸に送られてしまえば、アルコールは一気に吸収されてしまう。

酔いを遅らせる(血中濃度を上げない)ためには、いかにアルコールを胃に留めて、小腸へ送られる時間を引き延ばすかが鍵となる。お酒を飲む前は、できるかぎり胃による消化が遅い食べ物を口にしておくべきだ。

悪酔い対策に効く「意外」な食べ物

悪酔い防止に一役買う食べ物、それはずばり「油」だ。油は胃での吸収時間がとても長い。たとえばごはん100gを胃が消化するのに必要な時間は2時間15分だし、ビーフステーキ150gなら3時間15分かかる。一方でバター50gの場合、なんと消化までに12時間も必要とする。油分が胃の中に入ると消化管ホルモンが働き、胃の出口を塞いで撹拌するためである。

とはいえ「油をそのまま食べろ」というわけではない。オリーブオイルを回しかけるカルパッチョ、マヨネーズで仕上げるポテトサラダなど、油を使う料理をお酒が入る前に食べればいい。唐揚げやフライドポテト、チーズなども有効だ。

また脂肪分を含む牛乳やキャベツにも、悪酔いを防ぐ効果が期待できる。ビタミンU(キャベジン)を多く含むキャベツには、ムチンと呼ばれる胃の粘膜表層を厚くして、アルコールの刺激から胃を守ってくれる効果がある。ただしビタミンUは熱に弱いため、生に近い状態で食べるのが望ましい。ビタミンUはキャベツ以外にも、ブロッコリーやアスパラガスに多く含まれている。

飲んだ後に血中アルコール濃度を下げるには
Creatas Images/Creatas/Thinkstock

お酒を飲む前の対策も重要だが、飲んだ後にできるかぎり二日酔いを避けるための方法も知っておきたい。

アルコール血中濃度はいったん上がるとすぐには下がらない。しかし前述の松嶋氏によると、その場合でも「アルコールの分解に必要な代謝物を補うこと」は大切だという。

たとえばタウリンである。これはタコやイカに含まれる。ひまわりの種や大豆に含まれるL-システイン、ごまの成分であるセサミンも、肝臓の代謝を助けるのに役立つ。

加えて水分の摂取も欠かせない。アルコールには利尿作用がある。脱水症状を防ぐためにも、お酒を飲む前後問わず、水分は取るように心掛けるべきだ。日本酒造組合中央会は、日本酒を飲む際に「同量程度」の水を飲むよう推奨している。

なお飲酒後は、電解質が含まれる飲料のほうが、水分維持により効果的である。

病気にならないためのルール

アルコールと疾患リスクの関係

アルコールは体にとって「毒」である――そう答えるのは国立がん研究センターの津金昌一郎氏だ。適量を超える飲酒が続くと、疾患リスクは高まる。

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要約公開日 2018.02.17
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