アメリカのドナルド・トランプ大統領が掲げたスローガン「アメリカ・ファースト」ではないが、日本には「ジブン・ファースト」な人が少なすぎる。
もちろん他人の立場で考えることや、期待に応えようとする姿勢は重要である。しかしそれ以上に重要なのは、もっと自分の気持ちに対して素直になることだ。人から誘いがあっても、気が乗らなければ断る。そして自分のやりたいことに集中する。エゴイストになるくらいでちょうどいい。
他人を幸せにするためには、まずは自分が満たされなければならない。自分の本音を大切にするからこそ、相手の気持ちも大事に扱えるようになる。
自分は自分、他人は他人。人間関係というのは移り変わりゆくものだ。このような考え方をもてば、自分の本心に従った生き方ができるようになる。
もし自分自身を「大したことのない存在」と感じているとしても、引け目を感じる必要はまったくない。
世界の一流たちは、自分が信じたものに忠実だ。彼らの判断基準は「好きか」または「楽しめるか」のみ。だから彼らは満たされている。ここから学べるのは、自分の存在価値は自分で決めればよいという思考である。すべては自己満足で構わないのだ。
ただし自分に対して素直に生きるためには、苦手を克服しようとしてはならない。理由は2つある。1つは単純に得意なことに注力するエネルギーが減るから。もう1つは苦手を克服することで、自分の得手不得手からなる「凹凸」が消えてしまうからだ。
凹凸こそがその人の魅力である。それはまるで、畑の水はけをよくするために、あえて土を盛りあげる畝(うね)のようなものだ。畝をならしてしまえば水はけは悪くなり、作物の根は腐ってしまう。根は人にとっての軸と同じだ。ありのままの自分であるためには、その軸を大切にする必要がある。
事実、著者も不器用な自分をいまでは認めている。それでも彼を必要とする人々は大勢いる。これに気づいたのは、一切の苦手分野を無視するようになってからだという。
群れない生き方にはどうしても孤独がつきまとう。周囲からの理解が得られず、くじけそうになることもなるだろう。だがそのときも頼りになるのは自分自身だけだ。「自分」というたった一人の人間のみが、最後まで自分を信じてくれる人物なのである。
また、「人間は失敗しないと何も学ばない生き物」と心得ておくことも大切だ。可能なかぎり失敗を避けたいと思う人は多い。世の中には「いかに効率よく、大きな成果をあげるか」という風潮も蔓延っている。
しかし生きるということを突きつめて考えると、失敗の連続だといえるのではないだろうか。人は失敗を経験して、はじめて物事の本質を理解する。というよりも、失敗しなければ本質をつかもうとすらしないのだ。
「失敗したところでやめてしまうから失敗になる。成功するところまで続ければ、それは成功になる」。日本が誇る経営者、松下幸之助の言葉である。最後まで味方でいてくれるのは自分のみ。失敗が続いたとき、どこまで自分を信じられるかが鍵となる。
誰かに依存して生きるのではなく、必要とされる人間になる。これが「群れない生き方」の根幹をなす思考である。群れずに生きていくためには、まず自分ひとりの力には限界があることを受けいれ、代わりに強みを徹底的に磨くことが重要だ。
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