未来に通用する生き方

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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2017年12月11日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

昨今、デンマークがにわかに注目を集めている。幸福度世界一の国として知られるとともに、幸せを実現するライフスタイルをあらわす「Hygge(ヒュッゲ)」というデンマーク語も話題になっている。

本書のふたりの著者は、それぞれ、芸術・デザインの分野、ビジネスの分野で長年デンマークとかかわってきた。本書は、実際に著者らが見てきたデンマークという国を参考にしながら、「未来に通用する生き方」を探る一冊である。

少し先の未来には、人工知能や科学技術、医療が急速に発展し、劇的な変化が訪れることが容易に想像できる。そのような中でも、「人間本来の生き方」を大切にしていくために、満ち足りた時間を過ごしているデンマーク人の価値観を取り入れてはどうかというわけである。

さらに、デンマークは、人口わずか570万人の小国であり、国の資源も豊富ではないにもかかわらず、エネルギー政策やイノベーションといった分野でも世界の最先端を走っている。国の発展を支えてきた知恵や思想も、本書では事例とともに詳しく述べられている。

「自分の仕事はロボットに奪われはしないか」「100歳まで寿命が延びたら、定年後はどうすればいいのか」。未来を前にするとそんな不安も渦巻く。しかし、本書から、デンマーク人の時代に流されない強さと、時代の変化に知恵を使って適応していく柔軟性の両面を学び、実生活にぜひ役立てていただきたい。

著者

島崎信(しまざき まこと)
東京都出身。東京藝術大学卒。デンマーク王立芸術アカデミー建築科修了。武蔵野美術大学工芸工業デザイン科 名誉教授。1956年東横百貨店(現東急百貨店)家具装飾課入社。1958年JETRO海外デザイン研究員として日本人として初めてデンマーク王立芸術大学研究員となる。帰国後、国内外でインテリアやプロダクトのデザイン、東急ハンズ、アイデック等の企画立ち上げに関わる傍ら、武蔵野美術大学工芸工業デザイン科で教鞭を取る。また家具や生活用品に関するデザイン展覧会やセミナーを多数企画。北欧やデザイン関連の著作・監修作は多数に及ぶ。
北欧建築デザイン協会理事、日本フィンランドデザイン協会理事長、(公財)鼓童文化財団特別顧問、有限会社島崎信事務所代表。2017年度日本・デンマーク国交樹立150周年の親善大使を務める。

中島健祐(なかじま けんすけ)
神奈川県出身。デンマーク大使館 投資部部門長。大手保険会社で法人向けリスクマネジメント事業を担当した後、大手通信会社にて国際通信、インターネットの基盤となる海底ケーブルビジネスに携わる。米系コンサルティング会社で企業の事業戦略、市場参入戦略、先進技術分析、イノベーション戦略のコンサルティングサービスを大手企業に提供。その後、デンマーク外務省 投資局(インベスト・イン・デンマーク)に参画。従来のビジネスマッチングを中心とした投資支援から、プロジェクトベースによる戦略コンサルティング、特にイノベーションを軸にした顧客の成長戦略、新規事業戦略、技術戦略を支援する活動を展開している。最近は特にデンマークで進展しているビッグデータ、IoT、ロボットに人工知能、デジタルデザイン、そして日本&デンマークが共有する伝統と革新の要素を総合的に組み合わせた、新しいフレームワークの構築に邁進している。雑誌、インターネットへの寄稿、多くの講演活動を展開している。

本書の要点

  • 要点
    1
    幸せな人生を生きるためには、「3つのしごと」(仕事・私事・志事)がキーワードとなる。生活の糧を得る活動である「仕事」、社会に貢献できる志の活動である「志事」、家族関係や健康にかかわる「私事」の3つのバランスが大切だ。
  • 要点
    2
    「しごと」を実践し、未来を生き抜くためには、デンマークを発展させてきた「共生と共創」、「コンセンサス」などの知恵を取り入れることが役に立つ。
  • 要点
    3
    「日本式×デンマーク式」は、人間の本来の能力である「五感で感じる力」「考える力」を伸ばしうるため、未来に通用する「世界標準&未来標準」の生き方となる。

要約

幸せな人生の条件

30年後を想像してみる
TCmake_photo/iStock/Thinkstock

劇的に変化していく時代においても幸せに生き抜いていくためには、まず自分の30年後を想像してみよう。自分はどうなっていたいのか、そのために毎日何をすべきかを考えてみるとよい。長寿時代に生きるわたしたちは、どの年齢であっても、自分自身の人生デザインを練ることが必要だ。

どうしても未来を想像できないという人は、「私淑」という手立てを使う方法もある。「私淑」とは、「直接教えを受けるわけではないがその人を尊敬して師と仰ぎ、模範として学ぶこと」である。私淑するのは、過去の偉人でも、どこの国の人でもいい。理想とする人の人生を調べれば、必ずその人の苦しみや挫折も見えてくる。そうすれば、自分が今迷っていることも、うまくいっていないことも受け入れることができ、自分を信じる力が湧いてくるはずだ。自分を信じれば、未来への道は必ず開けてくる。

3つの「しごと」

自分の未来をつくっていくために、できることからやっていくといっても、人から与えられた仕事にばかり時間を使っていては、自分の人生を生きられない。

そのため重要なのは、生活の糧を得る「仕事」のほかに、自分にとってやるべきであり、世の中のためになるような志の活動である「志事(しごと)」を持つことである。

「仕事」と、「志事」を続けるためには、私的な部分を支えてくれる家族との関係や、健康も大切にせねばならない。そのための活動が「私事(しごと)」である。

これら、「仕事」「志事」「私事」の3つの「しごと」がそろっていることが、幸福な人生の条件ではないだろうかと著者は述べる。どれかに偏ってしまうと、人生はうまくいかなくなってしまう。

「仕事」「私事」は、多くの人が持っているかもしれない。だが、「志事」はどうだろう。もし60代、70代になって、自分が世の中の役に立つという実感がなくなってしまったら、生きる喜びも感じにくくなってしまうのではないか。「志」が見つかりにくければ、前項で述べた「私淑」できる師を探してみるといい。師の人生にならって自分の人生をプランするうちに、自分なりの志が見えてくる。

3つのしごとのための3つのリセット
ucho103/iStock/Thinkstock

3つのしごとは、生活のすべてに関わってくるため、自分の信条や趣向、環境など人生そのものに影響を与える。3つのしごとの考え方を理解しても、なかなかそれが自分のものにならないという場合も多いかもしれない。

著者は、3つのしごとを自分のものにするために、生活や仕事や自分自身を初期化(リセット)することを提案している。デンマークの人々は、大切な伝統は捨てずに、国の仕組みや個人の生き方を時代や環境に合わせてリセットしていくのが上手だという。それが、人口わずか570万人の小国が、社会保障のみならず、環境エネルギーやデジタル化、医療技術、オープンイノベーションなどで世界の最先端を歩んでいる理由だ。

リセットの目的は、「新しい情報を処理するための環境を整える」ことである。次の3つのリセットを試してみるとよい。

1つ目は、家の環境をリセットすることである。物が多いこと、テレビやパソコンや音楽などから刺激があることは、雑念を増やすことになりかねない。ミニマリストになる必要はないが、可能な範囲で整理して、あそびの空間を増やしてみてはどうだろう。

2つ目は、デジタルとの付き合い方をリセットすることだ。インターネットにアクセスするときは目的意識を持ち、SNSの使い方を考え直し、電子機器の使用を1時間減らしてみよう。その1時間を他のことに使うことで、新しい可能性が見いだせるかもしれない。

3つ目は、自分自身をリセットすることだ。自分の考えだと思っていることでも、じつは社会的な立場からの定義づけであったり、広告などへの衝動的な自動反応であったりする部分も大きい。簡単なことではないかもしれないが、なるべく雑念や妄想を持たず、日常的に「今この瞬間」に集中することで、意志で決める本当の自分を探しだしてみよう。

【必読ポイント!】しごとの実践

共生と共創

3つのしごとの実践にあたって、小国でもアメリカやロシアなどの大国と対等に渡り合ってきたデンマークの知恵に学ぶところは大きい。

本要約では、本書で紹介されている4つの知恵の中から、「共生と共創」、「コンセンサス」という2つをご紹介する。

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要約公開日 2018.03.01
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