現在、第4次産業革命の波が世界に波及し始めており、私たちを取り巻く環境が急速に変化している。とりわけ情報の伝達スピードは加速する一方だ。結果、製品やサービスのライフサイクルの短縮化が起こっている。この変化によって、企業が生き残るためのルールも様変わりしている。
まずは20世紀の企業が則っていたルールについて見ていこう。企業は、業界中のマーケットシェアを大きくし、売上や利益の拡大を目標としていた。そのために、多機能の商品を大量に仕入れて、大量生産、大量販売により生産効率を高め、経費削減することが成功の秘訣だと考えられてきた。また、安定して製造供給するために、正社員をベースとした雇用関係、終身雇用が確立された。さらには、トップが決めた戦略や経営計画を、現場で事業部門が確実に実行し、成果を上げることが求められた。しかし、現在はこれらの方法だと、ダイナミックな変化についていけず、競争に負けてしまう。
次に、シリコンバレーを中心とした21世紀の企業のルールを見ていく。21世紀の企業は、絶えずイノベーションを起こし、進化を遂げようとしている。彼らが重視するのは、顧客が体験したときに感じる使い心地、便利さ、満足感、感動、驚き、ストレスのなさといった、価値あるユーザー体験の提供である。経営においては、ユーザー・顧客・市場からのフィードバックに素早く対応できるよう、軽いフットワークと柔軟性を発揮する。
また、企業は社員の持っている能力を最大限に活かし、モチベーションを高めるために権限を委譲する。自主性を重んじるエンパワーメント、そして企業のビジョンや価値観と社員のそれとを一体化させるエンゲージメントを大切にしているのだ。
シリコンバレーの厳しい競争のもとで誕生し、高い競争力を持つ企業には、独特の価値観が存在する。その価値観はシリコンバレーの成功を裏付けるものとなっている。シリコンバレー式マインドセットの一部を紹介しよう。
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