人は物事が上手くいかないときほど、他人の言葉に惑わされやすい。不安で誰かにアドバイスを求めたとき、「大丈夫、この点を改めれば上手くいく」というように、的確な助言をくれる相手であれば問題ない。その言葉を励みに前に進めるからだ。
しかし、気をつけなければいけないのは、ネガティブなことを言う相手に遭遇した場合である。「あきらめたほうがいい」「がんばっても無理だ」。こうした声は、弱気になっているときほど心を強く動揺させる。さらには、こういった言葉が、相手の足を引っ張るために発せられる場合もある。
「あきらめるか、あきらめないか」は自分次第、最終的に決めるのは自分だと、固く誓っておくようにしたい。そうすれば、他人の言葉に惑わされることもない。
カッと頭に血が上るような出来事があったとき、怒りを鎮める最適な方法がある。それは、その原因となる相手に対し、感謝の言葉を伝えることだ。もし、相手が何か嫌なことを言ってきたのなら「いいことを教えてくれて、ありがとう」と口に出してみるといい。「ありがとう」を口にすると、気持ちが落ち着いて、怒りの感情を一旦鎮められる。
怒りの感情は、人の平常心を乱す最も大きな要因となる。気持ちを落ち着けた後に、言うべきことがあれば言う、というのが重要だ。
「たら、れば」思考、それは後悔からくるものである。「浪人してもっといい大学に入っていたら、いい会社へ就職できた。やりがいのある仕事もできたのに」。このような後悔の感情は、人の心を大きく惑わす要因となる。「たら、れば」思考の人は、「~していたら、もっと幸せだった」「~していれば、人生は違った」などと口にしがちだ。
しかし、それは本当に正しいのだろうか。たとえば、浪人しても希望の大学に入れず、就職もできずにフリーターになっていた可能性だってある。今、正社員として雇われているだけで十分に幸せかもしれない。
大切なのは、「たら、れば」という仮定で考えるのではなく、現状の中でどのように積極的に前を向いて生きるかを考えることだ。そのほうが、平常心で人生と向き合える。
「失敗は成功の母」ということわざがある。失敗は次の成功の原動力になるという意味だ。
たとえば、現在は世界文化遺産に登録されている富士山も、過去には世界自然遺産への登録に失敗している。しかし、関係者はそこであきらめなかった。失敗の原因を調査し、新たな目標を掲げて挑戦した。その結果、「世界文化遺産への登録」という成功を手にできたのである。
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