様々な企業で、デジタルマーケティングに取り組もうという機運が高まってきている。では、具体的に何をすればよいのだろうか。
デジタルマーケティングは、「データドリブン」と「オムニチャネル」の2つに大別される。「データドリブン」とは、消費者理解と消費者へのアプローチを、「勘」や「経験」ではなく、データに基づいて行うことを指す。一方、「オムニチャネル」とは、消費者と企業の接点であるECチャネルとリアル店舗をシームレスに統合し、消費者へ購買の場を提供しながら、消費者購買データ取得の場とすることである。
こうした点を考慮すると、デジタルマーケティングとは、次のように定義できる。データドリブンでターゲット消費者へ製品やサービスを認知させ、消費者の購買前行動データに基づいて興味・関心・欲求を醸成し、購買データを取得する。購買データと購買後の消費者の評価データから製品開発、サービス開発への示唆を得る。これらのデータを、ECチャネルとリアル店舗から取得し、同時に、消費者に最適な購買体験を提供する。この一連の活動をデジタルマーケティングという。その目標は、消費者との関係性を深め、最終的に消費者のエージェント(代理人)になることである。
デジタルマーケティングでは、ECチャネルをリアルな販売経路と同じく重視する。ECチャネルを通じて、消費者の名前、住所、電話番号、購買履歴が必ずデータ化される。場合によっては、誕生日や年齢などの消費者属性データも取得できる。
また、ECチャネルにおける各ページの滞在時間やページ間移動履歴から、どう逡巡していたのかをAIを活用して分析することが可能だ。リアル店舗の場合は、ビーコン、顔認証システム、表情認識システムを活用する。ある消費者がどういう動線で回遊し、商品を手に取り、喜んだのか。あるいは不満に思ったのか。それでレジに向かったのか、もしくは棚に戻したのか。こうした点が明らかになる。
このように消費者の購買行動がデータ化されていくと、新製品や新サービスを誰に認知させるべきかが明らかになりやすい。たとえば、「1週間以内に『クルマ+新車+SUV』と3回以上検索したセグメントで、関東圏に住所を持つ人」など、絞り込んだターゲットへのプロモーションが可能になる。
さらには、消費者が製品やサービスを購入すると、それらに満足したかどうかという評価が、FacebookやTwitter、InstagramといったSNSや、ブログ、食べログ、Rettyといったレビューサイトを通じてシェアされる。それらの評価の集合体であるビッグデータをAIで分析すれば、製品開発、サービス開発に活かせる。これもまた、デジタルマーケティングの領域だ。よって、AIの活用、データアナリシスはデータマーケティングに関わる人の必須条件となる。
オムニチャネルは消費者と企業の接点をシームレスに統合する。これにより、ECチャネルでもリアル店舗でも、消費者は同様の購買体験を享受できるようになる。またデジタルマーケィングは、サプライチェーン、ロジスティクスの領域までもが包含されていく。
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