子供の才能を伸ばす最高の方法モンテッソーリ・メソッド

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子供の才能を伸ばす最高の方法モンテッソーリ・メソッド
出版社
出版日
2018年03月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

デビューから無敗のまま将棋の歴代最多連勝記録を更新した、藤井聡太棋士。革新的なサービスを世に送り出したGoogleの共同創業者ラリー・ペイジやセルゲイ・ブリン、Amazon.comのCEOジェフ・ベゾス。卓越した成果を出した彼らには共通点がある。それは、幼少期に何らかの形で、「モンテッソーリ・メゾット」にもとづいた教育を受けていることだ。

メディアでも「子供の自主性を育む」と話題のモンテッソーリ・メゾット。これは、イタリアの女医マリア・モンテッソーリが生み出した教育プログラムだ。彼女は科学的視点で子供の発達段階に着目した。今、目の前の子供がどんな発達段階にあって、どんな関わりを必要としているか。そのことに注力して個別の対応をしようと考えたのだ。これは、従来の日本の教育現場で見られる、1つの教育法を全員に当てはめるスタイルとはまったく逆を行くものである。

子供たちは、画一的な教育プログラムではなく、一人一人の特性や生き方にあった教育プログラムを選択できる。結果、「自律した精神」「やりたいことの発見と追求」「柔軟な発想力と実行力」を育める。これらは、これからの時代を生きていく上で必須の能力といえる。

教育現場で働く方や子育て中の方はもちろん、企業で社員教育を担うビジネスパーソンや経営者の方にもぜひお読みいただきたい一冊だ。

著者

堀田 はるな(ほった はるな)
モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。
北海道出身。アパレル業界を経て、2001年にアマゾンジャパン株式会社に入社。
オンラインマーケティング業務に従事。2009年に株式会社マネックスFXに入社、マーケティング企画やPRを担当。結婚を機に、教育の道へ転身。2016年、NPO法人東京モンテッソーリ教育研究所付属教員養成コース卒業、日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。

堀田 和子(ほった かずこ)
モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家園長。NPO法人東京モンテッソーリ教育研究所付属教員養成コース主任講師。
上智大学文学部教育学科卒業(心理学専攻)後、1968年、CACOドーム教育研究所開設 児童教育を開始。1972年、上智モンテッソーリ教員養成コース卒業、日本モンテッソーリ協会承認ディプロム取得。1973年、モンテッソーリ原宿子供の家開設。1980年、上智モンテッソーリ教師養成コース講師就任。1988年、American Montessori Societyへ留学、モンテッソーリ小学部ディプロム取得。1992年、モンテッソーリすみれが丘子供の家開設。2006年、NPO法人東京モンテッソーリ教育研究所発足。上智大学からモンテッソーリ教員養成コースが独立するに伴い主任講師就任。

本書の要点

  • 要点
    1
    モンテッソーリ・メゾットの特徴は、「子供の自主性を最大限にサポートする」「生き方の基礎となる体験を提供する」「『敏感期』にもとづいた関わりをする」の3つからなる。
  • 要点
    2
    家庭で、「自分でする」子供を育てるには、子供が持ち物を自分で扱えるように工夫することが重要である。また、親子間では「褒める」よりも「共感」を重視することで、子供は自信を抱く。
  • 要点
    3
    「子供の家」では、年齢の異なる子供たちが一緒に過ごす。「子供の家」という環境を構成するのは、(1)教師(2)教具(3)自由時間(4)縦割りクラス(5)5つの領域のプログラムという5つの要素である。

要約

【必読ポイント!】 モンテッソーリ・メゾットとは?

イタリア初の女医マリア・モンテッソーリ
Sasiistock/iStock/Thinkstock

1870年、マリア・モンテッソーリは、イタリアの裕福な家庭に生まれた。当時のイタリアは、女子が教育の対象になっていなかった。しかし、先進的な考えの母のもと、モンテッソーリは大いに学問に励み、ローマ大学の医学部に進んだ。しかし、大学では、女性であるがゆえの理不尽な状況に見舞われた。

1896年、モンテッソーリ苦労の末、イタリアで女性としては初めての医学博士号を取得した。そして、ローマ大学付属の精神病院の医師職を得ることができた。劣悪な環境に置かれた患者たちの治療にあたる仕事だ。

あるとき、モンテッソーリは、知的障害のある子供が床に落ちたパンくずを拾い集めることに熱中している場面に出くわした。知的障害のある子供も感覚的な刺激を求めることを発見し、衝撃を受けた。モンテッソーリは、この子供に、指先を動かして触れることによって感覚的な刺激が得られる玩具を渡し、その後の観察を始めた。

数ヶ月後、この子供の知能テストを行った。結果、障害のある子供であっても、感覚を十分に使えば、知能を伸ばせることが実証された。この成果により、マリア・モンテッソーリの名前はイタリアの医学会で一気に知られるようになった。

モンテッソーリは、これを健常児の教育にも適用できると考えて、1907年にローマのサン・ロレンツォ地区に初めての「子供の家」を開いた。当時のサン・ロレンツォは貧困層が住むスラム街だった。教育を受けていない子供たちは、最初は教室で暴れ回っていた。だが、感覚を刺激する教具に触れることで、穏やかで落ち着きのある様子に変貌していった。

ここでも大きな成果をあげたモンテッソーリは、哲学、生理学、精神医学の研究に没頭し、モンテッソーリ・メゾットを確立していったのだ。

モンテッソーリ・メゾット 3つの基本

モンテッソーリ・メゾットの特徴は、大きく3つに分類される。1つ目の特徴は、子供の自主性を最大限にサポートすることだ。あくまでも子供が自分でできるように「環境を整える」ことが重要である。具体的には、子供が使いやすいサイズの机や椅子、ハサミといった、子供が今必要としている道具を用意する。また、その道具は、子供が望むときにすぐに使える場所に置いておく。あるいは、子供がもう少しでできそうな何かに取り組んでいるとき、手を出さずに見守ることも重要である。

2つ目の特徴は、生き方の基礎となる体験を提供することだ。「モンテッソーリ子供の家」では、決まった内容を教えるわけではない。部屋にあるモンテッソーリ・メゾットの考え方にそって作られた「モンテッソーリ教具」や生活用具などに触れ、子供が自分で活動することによって、人生で必要となる能力を伸ばしていく。

敏感期にもとづいた関わりをする
ThitareeSarmkasat/iStock/Thinkstock

3つ目の特徴は、敏感期にもとづいた関わりをすることだ。敏感期とは、もともと生物学の用語である。生物には成長の過程で「ある特定の機能」を成長させるために、「特別な感受性」を持つ時期がある。例えば、蝶の幼虫は卵から誕生してすぐ、木の枝の先まで移動して柔らかい葉にありつくことができる。なぜかというと、生まれたばかりの幼虫には、光に対する特別な感受性があるからだという。

これをもとに、人間にも敏感期があるに違いないと考えたのがモンテッソーリだ。彼女が膨大な時間をかけた観察によって発見した、代表的な4つの敏感期を紹介しよう。

まずは、2〜3歳頃の「秩序の敏感期」だ。小さな子供には、大人のように周囲の環境に対する知識がない。子供は適応するために、身の回りの物事を整理し、わかった順に秩序立てていく。この時期の子供が安心するのは、いつも同じ結果になるとわかっている遊びや、同じ手順で出かける準備をすることである。ここで内面の秩序感がしっかり育てば、精神面で落ち着いた子供になるという。

次に、3〜6歳頃の「感覚の敏感期」だ。この時期では、五感をはじめとした感覚が最も鋭敏になる。この期間に感覚器官をたくさん使って、その機能を洗練させればさせるほど、子供の世界が広がっていく。

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要約公開日 2018.07.07
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