常勝集団のプリンシプル
常勝集団のプリンシプル
自ら学び成長する人材が育つ「岩出式」心のマネジメント
常勝集団のプリンシプル
出版社
出版日
2018年03月05日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

2017年度の全国大学ラグビーフットボール選手権で、前代未聞の9連覇を達成した帝京大学。本書ではこの「最強集団」を率いる岩出雅之監督による、強い組織をつくるためのメソッドが紹介されている。強い相手を打ち負かすことはもちろんだが、「勝ち続けること」がいかに難しいかは、想像に難くない。「勝って当たり前」というプレッシャー、「惰性」という悪魔、そして「負けたらどうしよう」という未来への不安。これらを克服してトップを走り続けるには、相当の精神力が必要であろう。まして、構成する部員は毎年変わるため、チームとしての実力や精神力も年ごとに異なるはずだ。それでもなお勝ち続ける秘訣とは、どのようなものなのか。

岩出監督は、あらゆる場面で「楽しむ」ことを本書で繰り返し説いている。楽しいと感じることがモチベーションを上げ、自ら学ぶ人物へと成長させる。それも、実際に楽しい時ばかりでなく、ハードな練習をしている時や怪我をした時、形勢不利な試合の時であってもだ。そして、過去でも未来でもなく、「今」に集中すること。未来の勝ち負けではなく、今という時に最大限の心理的エネルギーを注ぎ、その瞬間を楽しむことこそが、最終的に強い組織をつくるという。

細かいメソッドについては、ここでは紹介しきれない。ぜひ本書を手に取り、従来の「スポ根」とは程遠い、目からウロコの「岩出マジック」をご堪能いただきたい。スポーツに限らず、会社という組織のマネジメントに役立つヒントも満載だ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

岩出 雅之(いわで まさゆき)
帝京大学ラグビー部監督、帝京大学スポーツ医科学センター教授。1958年和歌山県新宮市生まれ。1976年和歌山県立新宮高校卒業、1980年日本体育大学卒業。大学時代、ラグビー部でフランカーとして活躍し、1978年度全国大学ラグビーフットボール選手権大会で優勝の原動力になり、翌年度、主将を務めた。教員となり、滋賀県教育委員会、公立中学、高校に勤務。滋賀県立八幡工業高校では、ラグビー部監督として同校を7年連続で花園(全国高等学校ラグビーフットボール大会)出場に導いた。高校日本代表コーチ、同監督を歴任後、1996年より帝京大学ラグビー部監督。2009年度全国大学ラグビーフットボール選手権大会で創部40年目に初優勝。以来、2017年度まで9連覇を続けている。著書に『負けない作法』(共著、集英社)、『信じて根を張れ!楕円のボールは信じるヤツの前に落ちてくる』(小学館)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    新入生は、新しい環境への適応に多くの心理的エネルギーを費やす。雑用を上級生が担当することで、1年生に心理的余裕ができるとともに、上級生への信頼感と、組織としての一体感が生まれる。
  • 要点
    2
    人のモチベーションが最も高まるのは、外部から報酬を与えられた時ではない。内側から湧いてくる興味や楽しさを感じる時である。
  • 要点
    3
    下級生は、上級生の行動を吸収し、蓄積し続けることで、やがて上級生のように行動できる人物となる。
  • 要点
    4
    「今」に集中し、その瞬間を最大限に楽しむ「フロー状態」に入ると、人は100%の実力を発揮できる。

要約

【必読ポイント!】 業界の常識はたいてい非常識だ

「体育会系イノベーション」への取り組み
Wavebreakmedia/iStock/Thinkstock

上級生が絶対的存在である究極のピラミッド構造、それが体育会系のイメージだろう。4年生は神のごとく振舞い、1年生は100%上級生の命令に従って、あらゆる雑用を引き受ける。帝京大学ラグビー部も、その例に漏れなかった。しかし10年前、筆者はこれを覆す「体育会系イノベーション」に取り組み始めた。

帝京大学ラグビー部では、最上級生である4年生が最も多く雑用をこなす一方、1年生は雑用からほとんど解放されている。たとえば、学生寮やグラウンドの掃除、寮の食事当番などを、上級生が行う。

このように、著者が体育会系組織のピラミッド構造を逆さまにしたのには、理由がある。入学したばかりの1年生は、新しい環境や生活への適応に、膨大な心理的エネルギーを要する。この状態で雑用を押し付けられたら、勉学やラグビーに費やすべきエネルギーが枯渇してしまうだろう。1年生の雑用負担を軽くすることで、彼らの心理的余裕を軽減し、勉学やラグビーに打ち込めるようにする。そうすることで、下級生は上級生から「大事にされている」と感じ、彼らを敬うようになり、組織として一体感を持てるようになるのである。

「勝ちたい」から「勝たせたい」へ

著者が帝京大学ラグビー部の監督に就任してから10年間、帝京大学は、早稲田大学などの伝統校にまったく勝つことができなかった。当時著者は、自らが先頭に立って組織を牽引することがリーダーの役割と信じ、部員に細かく指示命令を出していた。しかしある時、試合に勝てないだけでなく、卒業後に社会人として活躍している部員がほぼいないことに気づく。さらに、負ければ4年生の引退試合となる関東大学対抗戦にて、観戦していた1年生部員が「負ければいいのに」とつぶやいたことを知る。著者は、「部員の成長を阻み、自分たちの先輩や仲間を応援できないチームをつくっているのは自分なのではないか」と考えるようになった。

こうした経験が、リーダーが1人で組織を引っ張ることの限界を著者に知らしめるとともに、著者のチームづくりや人材育成の転換点となった。目標は「帝京大学ラグビー部のファンは誰か?」という問いに「ラグビー部員」と自信を持って答えられるようにすること。そして、勝てなかった頃は自分自身が「勝ちたい」と誰よりも思っていたのに、強引に率いるスタイルをやめて「勝たせたい」と思うようになった。すると、少しずつ勝てるようになったという。

モチベーション・マネジメント

選手の「内発的動機」を発動させる
Wavebreakmedia/iStock/Thinkstock

人のモチベーションが最も高まるのは、外部から報酬を与えられた時ではない。内側から湧いてくる興味や楽しさを感じる時である。お金などの報酬があるからその行為をするのではなく、その行為をすること自体が報酬になっている時にモチベーションが高まるといえる。こうした内から湧いてくる動機を「内発的動機」と言う。それに対して、アメとムチといった外部からの報酬のことを「外発的動機」と言う。人が高いパフォーマンスを発揮できるのは、内発的動機がうまく発動された時だ。

監督などのリーダーは、ついアメとムチで安易に人を動かそうとしてしまう。アメとムチはわかりやすいし、即効性があるからだ。でも、

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要約公開日 2018.07.06
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