エマジェネティックス®(以下、EG)とは、診断テストによって、その人の特性を「4つの思考特性」と「3つの行動特性」で分析するものだ。EGによって、「その人がどのような考え方をする傾向があるか」「その人がどのような行動を取ることが多いのか」「何を得意とし、何を不得意としているのか」などが明らかになる。
「4つの思考特性」は、「青」「緑」「赤」「黄」の4色であらわされる。思考特性を見ると、その人の「得意、不得意」「好き、嫌い」などの傾向が分かる仕組みだ。
青色(分析型)は、論理的、合理的、客観的に物事を考えるタイプで、専門家の研究結果やデータを信頼する傾向にある。会議では「その根拠は?」「どこに原因があるの?」などの発言が多い。
緑色(構造型)は、過去の体験を重視し、順序立てて考えるタイプで、ルールに従って確実に実行することを好む。会議では「どうやってやるのですか?」「いつまでに?」などの発言が多い。
赤色(社交型)は、誰に相談、依頼すれば問題解決できるかを直感的に判断するタイプで、相手との関係性を重視する傾向にある。会議では、「みんなはどう思う?」「みんなで協力して……」などの発言が多い。
黄色(コンセプト型)は、直感で思いつくタイプで、新しいことや変わっていることに挑戦するのが好きだ。会議では、「とりあえずやってみよう」「こんな感じで」などの発言が多い。
思考特性は4種類あるが、「ひとり、ひとつ」ではない。誰もが4つの思考特性を備えている。ただし、普段どの色をどれだけ使うかという割合は、人によって異なっている。
診断テストで23%以上の数値を占める思考特性は「顕性である」とよばれ、その色の思考が顕著に表れる。人によっては、2つ以上の思考特性が23%以上になることもある。
EGでは、人の行動の傾向を3つの特性に分類する。「自己表現性」「自己主張性」「柔軟性」だ。それらの強弱は、棒グラフによって示され、「左寄り」「真ん中」「右寄り」の3つに分かれる。「真ん中」は場合により、左寄りにも、右寄りにもなるということだ。それぞれの特性の詳細をみていこう。
「自己表現性」とは、自分の感情を「他人に発信したい」というエネルギーの強さのことだ。左寄りの人は、会議のでは聞き役になることが多い。感情をあまり表に出さず、人の注目を浴びることを好まない。一方、右寄りの人は、会議ではよく話し、人前に出ることに抵抗がないタイプだ。
「自己主張性」とは、自分の考えや意見を「他人に受け入れてほしい」と感じる頻度と、エネルギーの強さのことである。左寄りの人は、自分の意見よりも集団の和を大切にし、慎重に物事を進める。一方、右寄りの人は、自分と異なる意見が出ても、気持ちよく議論ができる。競争心も強い。
「柔軟性」とは、自分と異なる考えや状況、行動を受け入れようとするエネルギーの強さのことだ。左寄りの人は、首尾一貫していて、ブレない。一方、右寄りの人は、他人の意見を受け入れるタイプで、変化に応じて対応することを好む。
著者は、EGのプロファイルを、部下の指導、人材育成、新卒採用、業務分担の見直し、適材適所の実現などに活用している。「強い組織」をつくるために意識しているのは、4つのポイントだ。
1つ目は、EGは、その人の「特性」を知るものであって、「能力」を測定するものではないということだ。EGのプロファイルはその人の好みや傾向を分析するツールであって、能力を分析することはできない。そこで著者は、社員の能力を測定するために「エナジャイザー」というツールを併用している。
2つ目は、
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