デール・カーネギーの歴史的名作である『道は開ける』。本書はアメリカで見つかった初版本から、重要な部分をセレクトして再編集した新訳版である。7章構成になっていて、不安や悩みを消すための24個のMaxims(格言)が紹介されている。ハイライトでは、その格言のなかからいくつかを選び紹介していきたい。
また、本書にはこの7章に入る前に、「この本を最大限に活用するために不可欠なこと」として「9つの約束」が記載されている。不安や悩みを克服するという強い決意を持つこと、何度も読み返すこと、読むだけでなく「行動」すること、などがそれに当たる。
ハイライトを読んだことをきっかけに本書を手に取る方は特に、この決意と実践を忘れずに本書とともに悩みと向き合っていただきたい。
本書で最初に紹介されている言葉がこの言葉だ。
1871年の春、ウィリアム・オスラーという医学生が試験に悩み、将来に悩み、進路に悩み、開業手段を心配し、この先食べていけるのか不安になっていた。
だが彼は、後にジョンズ・ホプキンス医科大学を設立し、大英帝国での医師の最高名誉オックスフォード大学欽定医学教授にして、ナイト叙勲者となった。彼はトーマス・カーライルの「遠くのはっきり見えないものを見るな。目の前の明白なことをやれ」という言葉によって、人生から不安を取り除くことができたのだという。
サー・ウィリアムの成功の秘訣は、「今日だけを見て生きる」ことだった。明日の準備をする必要がないというわけではない。今日やるべきことにすべての知性と情熱を注ぐこと、それが明日に備える最高の方法である。
イエス・キリストも「明日のことを思いわずらうな」と説いている。明日のことを周到に考え、計画し、準備することは構わない。だが、思いわずらうことはない。
本書では、「明日のことを思いわずらうな」というイエスの言葉と、「今日だけを見て生きる」というサー・ウィリアムの言葉を心に留めておくだけで、神経や精神疾患の患者の多くは幸せで充実した生活を送れるはずだ、と述べている。
古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトスは弟子たちに「すべては変化する。誰も同じ川に、二度と足を踏み入れることはできない」と言った。人が足を踏み入れようとする間に、川の流れは刻々と変化する。人生もまた、絶え間なく変化する。唯一確かなものは今日という日だけだ。今日生きる楽しさを、なぜ未来の問題を解決しようとして台無しにするのだろうか。未来は不確実で絶え間なく変化しており、見ることも予知することもできないというのに。
困った状況を、確実かつ、あっという間に解決するテクニックとして、本書で紹介されているのが、カーネギーがエアコンの発明者ウィルス・キャリア氏から聞いたという「最悪の状態を受け入れる」というものだ。キャリア氏は、若い時に仕事で2万ドルの損失を招いてしまったが、悩まずに問題に対処する方法を考えた。そのときに使ったテクニックは、次の3つのステップで行われた。
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