「ビジネスモデル」はここ数年取り上げられることの多いキーワードであるが、簡単に言うと、「企業が利益を上げる仕組み」のことを指す。ビジネスモデルは厳密に言えば各社違うものではあるが、細かい違いはさておき大枠の部分で括ると、ビジネスモデルが同じ会社はたくさん存在する。
ではなぜ、今ビジネスモデルがキーワードとなっているのか。それは、個別の製品やサービスでは差別化がしにくい競争環境になっているためである。どれだけ革新的な製品を出しても、すぐに追いつかれてしまう。従来、新規ビジネスの立ち上げというと、どんな商品・サービスを提供しようかと考えることが主な検討事項になっていたが、現在はビジネスモデルの検討が欠かせない。
とはいえ、どのようにビジネスモデルを考えればいいのだろうか。商品・サービスの検討は、4Pで整理すれば比較的簡単に概要を作ることが可能である。商品の使用を考え、価格を決めて、販売チャネルを考えて、プロモーションのプランを考える。商品・サービスは4Pという型が存在するため、検討が比較的簡単なのだ。
しかし、ことビジネスモデルの検討となると、決まった型が存在しておらず、全く思い浮かばないという方も多いだろう。ここで著者らが推奨している考え方は、他から「借りてくる」というものだ。借りてくるといっても、いわゆる「パクる」ことではなく、もう少し高度化・抽象化した状態で、他のビジネスのアイデアを持ってくる(アナロジー思考)ということである。
例えば、コピー機の業界においては、機械の値段を抑え、消耗品や保守サービスで利益を得る「消耗品モデル」を昔から採用している。このモデルは消耗品を継続的に販売することができるため収益が安定しやすい非常に優れたビジネスモデルと言われている。このモデルをコピー機以外の領域でも適用することはできないだろうか。ビジネスの構造を見抜き、構造を理解し、それを利用しようとすることが本書の推奨する「ビジネスモデル思考」の考え方だ。
まずは消耗品モデルのように借りてきやすい状態で考えることがこの思考方法を身に着ける近道となる。本書では20個のビジネスモデルのパターンを紹介しているが、パターン名だけではなく、中身をしっかりと理解し、ビジネスモデル思考力を鍛えていただきたい。
ビジネスモデルを借りてくるというのは、決してビジネスの立ち上げにだけしか利用できないわけではない。たとえば、我々の日々の仕事にも、ビジネスモデルを借りてくることによって役立つことがたくさんある。ビジネスモデルが優れているということは、すなわち利益を上げる仕組みが優れていることであり、これは仕事の評価と給料に当てはめて応用することができる。
例えば、ビジネスモデルのパターンとしてよく挙げられるソリューションモデルというものがある。
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