成功をひそかに妨げる「人生の落とし穴」

やってはいけない7つの「悪い」習慣

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おすすめポイント

世界的ベストセラー『7つの習慣』の系譜を次ぐ1冊――そういわれると手に取らずにはいられない読者も多いはずだ。著者の一人であるデビッド・M・R・コヴィー氏は、『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー氏の三男だというのだからなおさらだろう。生まれたときから7つの習慣の中で暮らしているという同氏は、いったいどんな考え方を持っているのか。

本書を読んだ多くの読者は、自分が罠に落ちていることに気付くことになる。罠から抜け出そうと懸命にもがいている真最中であることも少なくないはずだ。罠はそれほどまでに魅力的で、いとも簡単に人を陥れる。そして、罠に落ちてしまったら最後、抜け出そうともがけばもがくほど深みに入り込むことも少なくない。考えてみれば、罠というのはこの現代社会で生きることそのものではないか。もしかしたら、人生というのは罠から抜けだそうと懸命にもがき続けることと捉えている方もいるかもしれない。

しかし本書を読むと、そもそも罠は避けることができるものだと気づくだろう。そして、罠を避けることができたのであれば、本書の主人公であるアレックスのように、確かな幸せを手にすることができる。7つの習慣のなかで暮らしてきたというデビッド・M・R・コヴィー氏だからこそ、きっとそのことに気付くことができたのだろう。

ライター画像
香川大輔

著者

デビッド・M・R・コヴィー
世界規模での人材教育・研修の分野における著名な専門家として知られる。SMCOVの共同創業者、共同CEOであり、ThomasLelandの共同創業者でもある。リーダーシップおよびグローバル・ライセンシングの専門家。スティーブン・R・コヴィーの三男として、生まれたときから「7つの習慣」の中で暮らしている。

スティーブン・M・マーディクス
世界規模での人材教育・研修の分野における著名な専門家として知られる。SMCOVの共同創業者、共同CEOであり、ThomasLelandの共同創業者でもある。

野津 智子(のづ ともこ)
翻訳家。獨協大学外国語学部フランス語学科卒業。主な訳書に、『〈新訳〉最前線のリーダーシップ』『チームが機能するとはどういうことか』『謙虚なコンサルティング』
『サーバントであれ』(いずれも英治出版)、『仕事は楽しいかね?』(きこ書房)、『グレートカンパニー』(ダイヤモンド社)、『夢は、紙に書くと現実になる!』(PHP研究所)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    人はいとも簡単に罠にかかるが、罠から抜け出すのは至難の業だ。忍び寄る罠にかからないようにするためには、今までのアプローチとは異なる「啓示的(エピファニー)ブレイクスルー」が効果的だ。
  • 要点
    2
    私たちを陥れようとする罠は7つある。「夫婦・恋人関係の罠」「金・借金の罠」「焦点(フォーカス)の罠」「変化の罠」「学びの罠」「キャリアの罠」「目的の罠」だ。
  • 要点
    3
    「夫婦・恋人関係の罠」から抜け出すための啓示的ブレイクスルーは、夫婦の展望を共有し、それを実現するための方法を話し合うことだ。

要約

【必読ポイント!】罠に落ちていると認識する

「トラポロジスト」との出会い
yacobchuk/gettyimages

家族思いだが金遣いが荒く、悪友に影響されやすい――それがこの物語の主人公、アレックスだ。多額の借金があるうえ、子どもの学費を工面しなければならないにもかかわらず、悪友から「最高の掘り出し物」とけしかけられ、オープンカーを購入する。そんな彼にとうとう愛想をつかし、妻のキムは家を出ていってしまった――。こうして物語は動き出す。

キムが家出して1週間。アレックスと2人の子どもたちは、すでに予約していたハワイ旅行へと旅立った。もちろんキムは同行していないが、今さらキャンセルできなかったのだ。彼は途方に暮れていた。これから先、どうすればいいのだろう?

そんなとき、アレックスに救いの手が差し伸べられる。子ども時代の親友であるボブの母親、ヴィクトリアだ。彼女には、まだ17歳だったボブを末期がんで亡くすというつらい過去がある。

ヴィクトリアは自らを「トラポロジスト」と自称する。「トラップ(罠)」と「オロジー(学問)」をかけ合わせた造語である「トラポロジー」を研究しているそうだ。そんなヴィクトリアに対し、アレックスは、堰を切ったように自分の置かれた状況を話した。

ヴィクトリアはマイケルの話を聞き終えると、次のように語りだした。「人生の落とし穴というのは、落ちるのはあっという間なのに、抜け出すのは至難の業なの」。「私たちが陥る罠は大昔から存在するけど、昔と今で違うのは、罠がより魅力的で厄介なものになっていることよ」。

そしてこう続けた。「忍び寄る罠から永遠に自由になるためには、これまでにないアプローチが必要になるわ。私はそれを『啓示的(エピファニー)ブレイクスルー』と呼ぶことにしている」。

第一の罠「夫婦・恋人関係の罠」

ヴィクトリアはまず、アレックスとキムが「夫婦・恋人関係の罠」に陥っていることを指摘した。それは、夫婦が2人とも「既婚独身者」になっているということらしい。結婚して2人で暮らしているのに、お互いの価値観をすり合わせることなく、ひとり暮らしのように暮らしてしまっているというのだ。結婚生活の進め方を話し合っていないばかりに、意見が合わずに口論を繰り返している。

既婚独身者を生み出す理由は、3つある。自分が育った環境のほうが正しいと思い込むこと、考え方の軸を「私」から「私たち」にシフトできていないこと、相手が先に変わるのを待っていることだ。

この状況を改善するためにはどうすればいいのか。ありがちなアプローチは、意見の相違を認め、夫婦の意見が一致する部分にのみフォーカスするというものだ。しかしそれでは、いずれ困難や試練にぶつかることになる。

「夫婦・恋人関係の罠」から抜け出す啓示的ブレイクスルーは、「お金の使い方」「子どもの育て方」「家事の分担」の3つについて意見を一致させることだ。夫婦のあり方や展望についてお互いの考えを共有し、それを実現する方法を話し合わなければならない。

第二の罠「金・借金の罠」
Kritchanut/gettyimages

借金も致命的な害をもたらす罠だとヴィクトリアはいう。借金の罠に落ちてしまう理由は3つだ。すなわち、今を楽しむために将来に備えることを忘れてしまう「金銭的近視眼(マネー・マイオピア)」、見栄のための消費、そして、現実から目をそらし、自分は大丈夫と根拠もなく思いこんでしまうことである。

多くの本には、予算を立てて計画的にお金を使おうと書かれている。だが、それは長続きしない。短期間であれば自制できても、長期間となるとそうはいかないものだ。

「金・借金の罠」から抜け出す啓示的ブレイクスルーは、ゲーム感覚で借金返済や貯蓄に取り組めるプランを考えることだ。ヴィクトリアも以前、借金に苦しめられていた。そこで彼女は、借金の残額を示すスコアボードを作り、家に掲示した。これによってやる気がかきたてられ、あっという間に借金を完済できたという。

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要約公開日 2019.03.28
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