大学受験を控える高校生は、そもそも「大学」とはどのようなものか知っているだろうか。大学は高校までの教育機関とは大きく異なる。何かを教えてくれる場所だが、それと同時に、教授らによる研究が行われている場所であり、自分が研究に参加する場所でもある。高校までとは違って、学校側から手厚いサポートを受けられることはない。大学で求められていることは、授業を受け、それを自分の中で咀嚼し、オリジナリティを加えて「研究」という形で発表することである。大学とは、積極的な学びが求められる場所なのだ。
できれば受験生のみなさんには、ビジョンなく受験勉強をするのではなく、「大学で何をしたいのか」まで考えたうえで受験に臨んでほしい。その意志こそ、受験における最高のエンジンになる。そして強い意志を持って受験に成功した経験そのものが、希望の学校に入った後にも価値を持ち続け、自分を動かし続けるはずだ。
万人に当てはまる「理想の勉強法」は存在しない。だから試行錯誤を重ね、自分にフィットする勉強法を追い求めなければならない。
ただ一つ言えるのは、万人に共通する理想の勉強法は存在しないが、万人に共通するダメな勉強法はあるということだ。それは「勉強の原理」に背いた勉強法だ。たとえば野球でいうと、「俊敏に動ける」「力が強い」「スタミナが多い」「ファンの期待に背く行為はしない」などは、野球選手に共通する原理である。これと同様に、勉強にも原理がある。この原理を踏み外すことなく、自己分析を行い、自分にマッチする勉強法を見つけ出そう。
そもそも「勉強法」とは、最短の努力で合格にたどり着くために「勉強を効率よく進めていくための方向性」のことだ。いくら勉強しても、勉強法の方向性が合っていないと余分な努力が必要になってしまう。同様に、方向性が合っていても、努力が足りなければ合格できない。努力はすべての受験生に必要だが、どのような努力が求められるのかは、自身の目標によって違ってくるわけだ。目標が違えば勉強法も違うと心得よう。
「日常生活」を「受験生活」に変えていくにはどうすればいいか。著者は夏休みのはじめに、いくつかのマイルールを決めて環境を整えることにした。強い意識と戦略をもって受験のためのルーティンを作り、自分の時間をコントロールしたのだ。
たとえば、睡眠時間をしっかり確保すること。夏休みの朝、自習室のオープンと同時にやって来た生徒たちは、数時間後には机に突っ伏して寝てしまっていた。睡眠時間を削ってまで朝早くから勉強し、自習室の机で質の悪い睡眠を取っているようでは意味がない。夜型の著者は、起床時間を10時と決めた。
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