赤字続きで閉園の危機にあったハウステンボスを黒字化させたエイチ・アイ・エスグループの澤田社長。彼の突破力の秘訣は一体何か?
澤田社長は「明るく元気に」というメッセージを社員に投げかけ、ハウステンボスで1カ月の大半を過ごし現場主義を徹底した。現場にこそ顧客の真のニーズや不満を探るヒントがあると考えたためだ。社員にはテーマパークの顧客から見えないところまで目を配るように注意喚起をした。率先垂範を端的に示す例は、クリスマスイブに社長自らがサンタに扮してキャンディーをお客に配ったことである。社長が前向きに働く姿を社員に見せ、さらに入場料の値下げや、季節ごとの集客ターゲットの明確化、夜間のイルミネーションなど、次々に改革にも着手し、ハウステンボスは開業以来初の黒字を達成した。
澤田社長の側近は社長を「大胆かつ慎重」と評する。また、部下へのフォローアップを欠かさず、問題が起これば部下に対策を求め続けることで、部下の気持ちを上手くマネジメントしているというのだ。業界の常識がおかしいと気づいたら、とことん切り込んでビジネスチャンスに変えていく。
社長の突破力は次の5つに支えられている。
① 「スピード」:意思決定は即断即決。早く決断すれば、結果も早く表れるし、失敗時の軌道修正も早められる。
② 「任せる力」:社員に手本を「見せる」段階から、有能な人材に「教える」段階を経て、育てた人材をリーダーにして「任せる」段階へと進むという、育成のサイクルを作っている。
③ 「慎重さ」:チャレンジのためにリスクを検討し、入念な準備を怠らない。
④ 「夢を語る力」:世界を見る目を養い、ビジョンを浸透させていく。
⑤ 「顧客目線」:顧客が喜ぶアイデアは先入観なく取り入れ、細部にまで顧客の不満がないよう気を配る。
どんな窮地においても、前向きなリーダーのパワーこそが、社員を鼓舞し突破口を開ける原動力になっていくのだ。
経営において突破力を発揮するためには、経営者の考えを浸透させ、同じ方向を向いた社員育成が不可欠だ。
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