この本の主題は以下の通りだ。
「戦略的にストーリーを活用していけば、自分の考えていることの実現に一歩近づける」
ストーリーとは、「いくつかの連続した出来事」である。そして戦略的にストーリーを活用する「ストーリー思考」を身につけることができれば、やりたいことの実現に一歩近づくのだ。
「企画を通したい」
「プロジェクトを成功に導きたい」
「新商品を世に送り出したい」
このような物事がうまく実現できないのは、以下2つの理由が考えられる。
1.実現に向けたプランが十分に練られていない
2.実現のために必要な関係者の説得が十分できていない
ストーリー思考は、こういった問題を突破することができる強力な武器である。ストーリーを使うことで、「感情に訴えかけやすくなる」「イメージを共有することができる」「記憶に残りやすい」といったメリットがあるからだ。
著者は、このメリットはストーリーが持つ「ゆるさ」に起因するものであると主張している。人はがちがちに固まっているロジックよりも、勝手にいろいろ補足してイメージを膨らませられるストーリーのほうが馴染みやすい。ストーリーにはこうした余地が存在するのだ。
しかし、ストーリーの持つゆるさは、時に「例外を指摘される」「逆に反感を持たれる」「本題はまだか?といらつかれる」といった危険性も持っている。
それでは、ストーリーを戦略的に使いこなすためにはどうしたらよいのだろうか。
ストーリーをビジネスで使う場合、大きく2つの種類に分けることができる。ひとつが、すでに起こった出来事をストーリーにすること(これまでストーリー)。もうひとつが、将来実現したい出来事をストーリーにしたもの(これからストーリー)である。これまでストーリーで大事なのは、ある程度相手に興味を持ってもらえる題材の選び方である。一方、これからストーリーで大事なのは、ひとつひとつの出来事の「つながり」である。実現される可能性がほとんどないことを並べられても、相手にとっては夢物語にしか聞こえないのだ。
ストーリーの具体的な活用場面としては、以下の4つが考えられる。具体的な解説は本書に委ねる。
1.相手に理解を深めてもらう場面
2.イメージを共有する場面
3.やり方を理解してもらう場面
4.プランやアイデアを作り出す場面
ストーリーを組み立てていくのは楽しい。自分の頭の中であれこれとイメージを膨らませながら出来事を組み立てる。
しかし、ストーリーを作っていく最中で、結局自分はそのストーリーでなにを伝えたかったのか、ふと見えなくなってしまうことがある。それでは本末転倒だ。
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