優れた発想はなぜゴミ箱に捨てられるのか?

限界を突破するTOCイノベーションプロセス
未読
優れた発想はなぜゴミ箱に捨てられるのか?
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限界を突破するTOCイノベーションプロセス
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優れた発想はなぜゴミ箱に捨てられるのか?
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2019年04月03日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は、世界で1000万人が読んだベストセラー『ザ・ゴール』のエリヤフ・ゴールドラット博士が開発した全体最適マネジメント理論の知識体系を集めたイノベーションプロセスを紹介した一冊である。

このプロセスには、アイデア発想から事業化してイノベーションを起こすまでの全プロセスが網羅されている。そのため、プロセスの一部だけを切り出すことで、現在抱えている課題を解決するなどといった応用も可能だ。経営企画や商品企画など企画系の仕事だけでなく、経理や調達など管理系の仕事にも役立てられるだろう。

イノベーションプロセスは3つのステップからなる。「価値を創る」「価値を伝える」「実現への道のりを創る」である。各ステップではいくつかの質問が準備されており、その質問に答えていくことで、イノベーションの実現に近づいていくというわけだ。

主力製品、サービス、ビジネスモデルがいつまで会社の屋台骨を支えることができるのか。ある日、競合がイノベーションを起こし、自社のビジネスに破滅的な打撃をもたらすかもしれない。変化が急速に進む時代においては、常にイノベーションを起こすことが絶対不可欠なのである。本書は、そんな時代の必読書だ。本書で紹介されているイノベーションプロセスを実践するだけで、誰でも世の中をWOW! と言わせるイノベーションを実現することができるのだから。

ライター画像
木下隆志

著者

岸良 裕司(きしら ゆうじ)
1959年生まれ。ゴールドラットジャパンCEO。全体最適のマネジメント理論TOC(Theory of Constraints:制約理論)をあらゆる産業界、行政改革で実践。活動成果の一つとして発表された「三方良しの公共事業改革」は、ゴールドラット博士の絶賛を浴び、2007年4月に国策として正式に採用された。成果の数々は国際的に高い評価を得て、活動の舞台を日本のみならず世界中に広げている。2008年4月、ゴールドラット博士に請われてゴールドラットコンサルティング(現ゴールドラット)ディレクターに就任し、日本代表となる。東京大学MMRC(ものづくり経営研究センター)非常勤講師。
主な著書に『全体最適の問題解決入門』『「よかれ」の思い込みが、会社をダメにする』『考える力をつける3つの道具』(以上、ダイヤモンド社)、『最短で達成する全体最適のプロジェクトマネジメント』(中経出版/KADOKAWA)、『問題解決の極意』(PHP研究所)、『子どもの考える力をつける3つの秘密道具』(ナツメ社)、監修書に『ザ・ゴール コミック版』(ダイヤモンド社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    プロセスを踏めば、誰でも世界を変えるイノベーターになれる。そのプロセスは3つからなる。
  • 要点
    2
    ステップ1「価値を創る」:WOW!をもたらす価値を発見し、そのコンセプトを既存のカタログに落とし込む。
  • 要点
    3
    ステップ2「価値を伝える」:顧客の立場になって商品の価値を検証し、まだ世の中にない商品のコンセプトをどうやって広めていくかを検討する。
  • 要点
    4
    ステップ3「実現への道のりを創る」:みんなの知恵を結集してWOW!と言わせるイノベーションを実現する。

要約

イノベーションを生み出すプロセス「E4V」

イノベーションが生まれない理由

従来の考え方しか知らない人たちにとって、新しい発想を適切に評価し、受け入れるのは難しい。発想が優れていればいるほど、その可能性は高い。

なぜなら、企画にYESと言うには責任が伴うが、NOは無責任に発することができるからだ。そのため、どうしてもYESという答えは出しづらく、NOばかりになる。結果として、優れた発想はゴミ箱に捨てられてしまう。

プロセスさえあればイノベーターになれる
Ekaterina-84/gettyimages

本書で紹介するTOCイノベーションプロセス「E4V(Eyes for Value)」は、世の中にWOW!と言わせるイノベーションを創り出すために開発された。世界的ベストセラー『ザ・ゴール』の著者であるエリヤフ・ゴールドラット博士が開発した全体最適のマネジメント理論TOC(Theory of Constraints:制約理論)の知識体系の粋を集め、アイデアの発想から事業化してイノベーションを起こすまでの全プロセスを網羅している。

博士は、「プロセスさえあれば、誰でも世界を変えるイノベーターになれる」と言う。本要約では、そのプロセスを3つのステップに分けて紹介する。

【必読ポイント!】ステップ1:価値を創る

3つの目で価値を見つける

どんなに優れた商品でも、顧客に価値をもたらさなければ、世の中にイノベーションを起こすことはできない。ゴールドラット博士によると「価値は、顧客にとって重要な限界を、過去には不可能だった方法で、他のどの競合もできなかったレベルで取り除くことで、もたらされるもの」である。つまりイノベーションとは、世間の常識を打ち破り、顧客に「そんなことできるの!?」というWOW!をもたらすものだ。

WOW!をもたらす価値を発見するために役立つのが、「価値を見つける3つの目」だ。

1つ目は「顧客の目」である。顧客の立場に立ち、望ましくない現象(マイナス)を考えよう。そして、どのマイナスを消せばWOW!という価値につながるのかを考えてみる。

次に「市場の目」だ。マニアやオタクなど一部の人だけが、ありとあらゆる苦労を重ねることで満たしている要望がある。そんな要望を簡単に満たせる方法があれば、イノベーションにつながるはずだ。

最後に「商品の目」である。

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要約公開日 2019.06.20
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