従来の考え方しか知らない人たちにとって、新しい発想を適切に評価し、受け入れるのは難しい。発想が優れていればいるほど、その可能性は高い。
なぜなら、企画にYESと言うには責任が伴うが、NOは無責任に発することができるからだ。そのため、どうしてもYESという答えは出しづらく、NOばかりになる。結果として、優れた発想はゴミ箱に捨てられてしまう。
本書で紹介するTOCイノベーションプロセス「E4V(Eyes for Value)」は、世の中にWOW!と言わせるイノベーションを創り出すために開発された。世界的ベストセラー『ザ・ゴール』の著者であるエリヤフ・ゴールドラット博士が開発した全体最適のマネジメント理論TOC(Theory of Constraints:制約理論)の知識体系の粋を集め、アイデアの発想から事業化してイノベーションを起こすまでの全プロセスを網羅している。
博士は、「プロセスさえあれば、誰でも世界を変えるイノベーターになれる」と言う。本要約では、そのプロセスを3つのステップに分けて紹介する。
どんなに優れた商品でも、顧客に価値をもたらさなければ、世の中にイノベーションを起こすことはできない。ゴールドラット博士によると「価値は、顧客にとって重要な限界を、過去には不可能だった方法で、他のどの競合もできなかったレベルで取り除くことで、もたらされるもの」である。つまりイノベーションとは、世間の常識を打ち破り、顧客に「そんなことできるの!?」というWOW!をもたらすものだ。
WOW!をもたらす価値を発見するために役立つのが、「価値を見つける3つの目」だ。
1つ目は「顧客の目」である。顧客の立場に立ち、望ましくない現象(マイナス)を考えよう。そして、どのマイナスを消せばWOW!という価値につながるのかを考えてみる。
次に「市場の目」だ。マニアやオタクなど一部の人だけが、ありとあらゆる苦労を重ねることで満たしている要望がある。そんな要望を簡単に満たせる方法があれば、イノベーションにつながるはずだ。
最後に「商品の目」である。
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