UCLA医学部教授が教える

科学的に証明された究極の「なし遂げる力」

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科学的に証明された究極の「なし遂げる力」
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科学的に証明された究極の「なし遂げる力」
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2019年04月11日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

何かを「なし遂げる」ことは簡単ではない。仕事で大きな成果を出すというようなこと以外でも、「ダイエットする」「ゲームをやめる」といった身近なことでも難しいのは同じだ。そういったことを「なし遂げる力」を高める方法があるとしたら、誰でもぜひ知りたいと思うだろう。

本書は、UCLAの医学部教授であり、15年に渡って「なし遂げる力」の研究を行ってきた著者が、研究を通じて開発した「人の行動を継続的に変えるための方法」を2年がかりでまとめた一冊だ。といっても、論文のような堅苦しいものではなく、一般向けに書かれたやさしい内容となっている。これらを理解すれば、仕事にもプライベートにも大いに役立つことだろう。様々な事例やケーススタディも紹介されており、自分の生活にも応用しやすいはずだ。

この要約では、著者がまとめた「心に効く7つの力」のうち、「目標を小さく刻む」「簡単にする」「ニューロハックス」の3つを紹介する。これらを読み、もし他の力も気になったなら、ぜひ本書を手に取ってすべての力を学んでみて欲しい。一般的な自己啓発書では「何かをなし遂げたいのなら、自分を変えろ」というメッセージが書かれていることが多いが、本書のメッセージはそれとは真逆である。科学的に裏付けされた、心ではなく行動にフォーカスするアプローチに、目から鱗が落ちることだろう。

ライター画像
山下あすみ

著者

ショーン・ヤング
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部教授。UCLAデジタル行動センター(CDB)およびカリフォルニア大学予測技術研究所(UCIPT)創設者兼エグゼクティブ・ディレクター。その活動は、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、ハフィントン・ポスト、サイエンス誌、NPR、Yahoo!ファイナンス、TechCrunch、マッシャブル、CNN、CBSニュースなどの大手メディアで紹介された。スタンフォード大学心理学博士、ヘルスサービスリサーチ修士。南カリフォルニア在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    「なし遂げる力」に性格は関係ない。科学的な裏付けのある方法を、自分に合った形で取り入れればよい。
  • 要点
    2
    行動を変えるために有効な力は7つある。目標を小さく刻む、コミュニティ、重要性を認識する、簡単にする、ニューロハックス、夢中になる、ルーチン化するだ。「なし遂げる力」は、この7つの力を組み合わせることで飛躍的に高めることができる。
  • 要点
    3
    人間の行動には、3つのタイプがある。「心に効く7つの力」の中から、行動のタイプに合ったものを選ぶことが重要だ。

要約

【必読ポイント!】 「なし遂げる力」の科学

「なし遂げる力」と性格は無関係
Daisy-Daisy/gettyimages

統計によれば、ダイエットを始めた人の4割が1週間以内に失敗し、半数以上がダイエット開始前より体重を増やしてしまう。リピート顧客を増やせずに倒産してしまう企業も多い。

一見、ダイエットの挫折と企業の倒産という2つの「失敗」は、原因が異なるように見える。だが実は、問題のカギは共通している。それは、「人が何かを途中でやめてしまう」ことだ。逆に言えば、科学的な裏付けのある方法で「なし遂げる力」を高めれば、あらゆる問題を解決できるということだ。

一般的に、何かをなし遂げたい人には、「性格を変えろ」というアドバイスがなされる。物事を続けるには、強い意志と困難を乗り越えられる情熱が必要だと。だが実際のところ、何かを続けるのに、性格を変える必要はない。科学的な裏付けのある方法を、自分に合った形で取り入れればよいのである。

行動を変える7つのフレームワーク

本書のスタンスは、人間の行動の3つのタイプを科学的に理解し、読者の人生によい変化を起こすための具体的な方法を示すというものだ。

後述するが、人間の行動には、自動行動、衝動行動、一般行動の3つのタイプがある。それらを変えるのは、「心に効く7つの力」だ。私たちが「なし遂げる」ことができないのは、心に効く力がうまく作用していないからであって、意欲や動機付けが足りないからではない。行動を変えるには、意欲や動機付けよりももっと繊細な方法が必要である。

まず、変えたい行動が3つのうちどれに当てはまるのかを判断し、それに相応しい「心に効く7つの力」を活用する。私たちの心に効く力をうまく扱えば、自分や他人の行動を意のままに操ることができる。その7つの力とは、次のとおりだ。

(1)目標を小さく刻む:「ステップ」「目標」「夢」のモデルに基づいて行動する。ステップをできるだけ小さくすることがポイントだ。

(2)コミュニティ:望ましい行動を続けている人たちの仲間になれば、周りから支援を受けたり、他者と競争したりすることができる。

(3)重要性を認識する:行動を続けるには、それを「本当に」重要なものにする必要がある。

(4)簡単にする:人は難しいものよりも簡単な行動をとろうとするものだ。だから物事を「本当に」簡単にしなければならない。

(5)ニューロハックス:まずは行動を変えるべきだ。行動を変えて脳を「騙す」ことで、心も変えられる。

(6)夢中になる:夢中になるために、行動を魅力的なものにする。

(7)ルーチン化する:同じことを最小限の労力でしようとする脳の働きを利用し、行動を何度も繰り返す。

目標を小さく刻む

目の前の一歩に集中する
Huseyin Bostanci/gettyimages

登山をしているとき、頂上につながる切り立った壁を登ることになったとする。そこには、いくつかの梯子が設置され、階段を登れば頂上まで行けるようになっている。そんなとき、頂上に到達することを夢見ているだけでは、梯子は登れない。ここでなされるべきアドバイスは「頂上にたどり着くことは頭から消し、目の前の梯子で次の一歩を進むことだけに集中せよ」である。

だからといって目の前のことだけに集中すればいいというわけではない。大切なのは「正しい一歩」を見つけることだ。夢と目標を抱きながらも、目の前の小さなステップを乗り越えるために全力を尽くす。そして今までの歩みを振り返り、また次の小さなステップを見つけて実行する。一つひとつのステップをクリアするごとに自信がつき、一番上まで登り続けられる可能性が高まっていく。これが「目標を小さく刻む力」である。

夢、目標、ステップの3段階に分ける

「目標を小さく刻むこと」の大切さを頭では理解していても、実際にはステップが大きすぎるケースがほとんどだ。なぜなら、小さなステップを計画するのは楽しくないからだ。誰だって、「今日ジムに行く」よりも「来月に参列する結婚式までに5キロ痩せる」と考えたほうがワクワクするだろう。

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要約公開日 2019.06.13
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