「自己肯定感」育成入門の表紙

「自己肯定感」育成入門

子どもの「やってみたい」をぐいぐい引き出す!


本書の要点

  • 子育ての究極目標は、子どもの自立である。親は子どもの自立を促す「コーチ」としての役割に徹するとよい。

  • 子どもが自己肯定感を育むためには、子どもがありのままでいられる「安全基地」の存在が重要となる。他人との比較はせず、その子自身の成長をほめるのが望ましい。

  • 大人が子どもの人生の責任を負いすぎる必要はない。「自分は自分、子どもは子ども」という姿勢を貫くことが、子どもの自立を促すことになる。

1 / 4

【必読ポイント!】 なぜ「自己肯定感」なのか

チャレンジしない子どもたち

子どもは好奇心旺盛なもの。そんな著者の思い込みに反して、「子どもがチャレンジをしない」という悩みを持つ親は少なくないという。親は子どもに新しいことにチャレンジしてほしいと願っている。その一方で、当の子どもはチャレンジせず、そもそも自分のやりたいことがわからない、どうでもいいという状態にある。こうした状況の根源には、子どもたちの自己肯定感の低さがあると著者はいう。自己肯定感とは、「自分はここにいていい」という感覚のことである。自己肯定感を充分に持てない子どもは、失敗を恐れ、新しいことに取り組もうとしない。子育てや教育の目標は、子どもの「自立」である。子どもが自立し、成長し続けるには、大人たちが子どもの自己肯定感を支えることが重要なのである。

成果ではなくプロセスに着目する

ulkas/gettyimages

子どもの自己肯定感を育むうえで留意したいのが、「ほめる」という行為だ。子どもがテストでいい点を取ったり、サッカーの試合で勝ったりしたとする。そのとき多くの親は、子どもの能力や成果に注目しがちだ。しかし、親が成果や結果だけを評価してしまうと、子どものなかにこうした感情が芽生えていく。「価値があるのは自分ではなく、あくまで〇〇ができる自分であり、ただの自分には価値がない」。こうした価値観は無意識に刷り込まれ、漠然とした不安や焦りとなって、子どもの心に棲みついてしまう。子どもの自己肯定感を支えるのは、無条件に自分の存在を受け入れてくれる「安全基地」の存在である。親には、成果に関してはどんな結果であっても受け入れる一方で、挑戦したプロセスを認めることが求められる。たとえば、子どものテストの結果が良かったとしよう。その際は、点数だけに着目するのはNGだ。「週末によく勉強していたからだね、頑張ったね」などと、プロセスに着目した声かけが望ましい。

子どもを「ちょっと前の子ども」と比べよう

子どもとの関わりで避けたほうがいいのは、我が子を他の子どもと比べることだ。子どもは周囲と比べられると、自分の努力よりも、周囲の客観的な評価ばかり気にするようになる。何かを達成したときには、自分が成長している実感を得られる。にもかかわらず、比較によって委縮してしまうのは、もったいない。子どもを評価するときには、「以前のその子と比べる」のがよい。誕生日、年末などの節目で、子どもを一年前と比べてみると、その子のさまざまな成長に気づける。「だいぶ〇〇ができるようになったね!」という伝え方なら、うまく子どもをほめられるため、子どもを叱りがちな親御さんにおすすめである。

「大人も失敗する」ことを教える

そもそも子どもがチャレンジしなくなった背景には、大人の失敗経験が減り、寛容さが減ったことがあるのではないか。そう著者は推察している。いまや、何をするにしても、その場で効率のいい方法や他者の評価を調べられる。そのため、失敗して恥をかいたり、周囲に迷惑をかけたりする機会が少なくなっている。親も子どもに失敗をさせて恥をかきたくないため、先回りして手を打つことが増えた。その結果、子どもが挑戦を恐れるようになったと考えられる。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2776/4098文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2019.06.23
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

すべては「好き嫌い」から始まる
すべては「好き嫌い」から始まる
楠木建
移動力
移動力
長倉顕太
自己啓発をやめて哲学をはじめよう
自己啓発をやめて哲学をはじめよう
酒井穣
科学的に証明された究極の「なし遂げる力」
科学的に証明された究極の「なし遂げる力」
児島修(訳)ショーン・ヤング
「アンコンシャス・バイアス」マネジメント
「アンコンシャス・バイアス」マネジメント
守屋智敬
実験思考
実験思考
光本勇介
優れた発想はなぜゴミ箱に捨てられるのか?
優れた発想はなぜゴミ箱に捨てられるのか?
岸良裕司
会話は、とぎれていい
会話は、とぎれていい
加藤綾子

同じカテゴリーの要約

ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
堀田秀吾
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
小川仁志
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
米澤創一
1つの習慣
1つの習慣
横山直宏
精神科医が教える! 心がスッと軽くなる93の処方箋
精神科医が教える! 心がスッと軽くなる93の処方箋
樺沢紫苑
社会は、静かにあなたを「呪う」
社会は、静かにあなたを「呪う」
鈴木祐
DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方
DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方
ピョートル・フェリクス・グジバチ
不機嫌を飼いならそう
不機嫌を飼いならそう
藤野智哉
時間・自己・幻想
時間・自己・幻想
マルクス・ガブリエル大野和基(インタビュー・編)月谷真紀(訳)
不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。
不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。
宮下友彰
無料