移動力

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出版社
出版日
2019年04月07日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

地球約23.7周、月まで1.2往復。これが本書の著者、長倉顕太氏が会社を辞め、独立して以降に移動した距離だ。

もちろん、これだけの距離になるまで年がら年中移動している人は、多くはないだろう。しかしインターネットも新幹線もなく、飛行機の移動もハードルが高かった時代なら夢物語でも、今の時代なら「そんな人もいるだろうな」くらいには思える。まるっきり現実感のない数字ではないだろう。

もちろん、移動する生活をしたいかしたくないかは、別問題だ。しかし自分の今の環境から抜け出し、全く新しく生まれ変わるような気持ちで何かをスタートさせたいとお考えの方ならば、本書から吸収できる考え方は多いだろう。新しいことを始めようとするとき、できるかできないかをとにかく考えてしまう人は、特にだ。

著者のように地球を約23.7周することは、自分には不可能だろうか。お金、仕事、言葉など、無理と判断する理由はいくらでも思いつく。しかし現代なら仕事はどこにいてもできるし、仕事ができればお金は入ってくる。日本よりはるかに物価の安い国で生活することも可能だ。現地の言葉が話せなくても、海外旅行は楽しかったりする。できない理由を突き詰めていくと、どこかで勝手に自分自身で「無理」だと決めつけているという事実にぶち当たりはしないだろうか。

もっと自由に、可能性を広げてもいい。そんなことに気づかされる一冊だ。

ライター画像
三浦健一郎

著者

長倉 顕太(ながくら けんた)
プロデューサー、作家、編集者としてあらゆるコンテンツの企画やプロモーションに携わるほか、インターナショナルスクール、人財育成会社を経営。学校などの講演活動も。
現在は、サンフランシスコ在住。
1973年東京生まれ。大学卒業後、アルバイトなど職を転々とするも、28歳のときに出版社に拾われ、編集者としてベストセラーを連発。
現在は独立し、サンフランシスコに住みながら、ハワイにコンドミニアムを持ち、東京、大阪、福岡を拠点とし、コンテンツ(書籍、電子書籍、オウンドメディア)のプロデュースおよび、これらを活用したマーケティングを個人や企業にコンサルティングのほか、教育事業(若者コミュニティ運営、インターナショナルスクール事業、人財育成会社経営)に携わる。
主な著書に 『モテる読書術』(すばる舎) 、『親は100%間違っている』(光文社)、 『超一流の二流をめざせ!』(サンマーク出版)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    定住からもたらされた不幸がある。そんな不幸から抜け出し、人生を変えるには、とにかく移動することが必要だ。
  • 要点
    2
    引っ越しは一番手っ取り早くインパクトも大きい移動だ。さらに会社も辞めて、より多く移動できる選択肢を増やすべきである。環境を変えることで、新しいキャラクターになり、新しい人生を始めることも可能だ。
  • 要点
    3
    どんどん移動する人生を送るにあたり、悩んだり迷ったり、反省したり、しっかり準備をしたり、他人の目を気にしたりすることは、時間の無駄だ。大事なことは、淡々とやり続けることである。

要約

【必読ポイント!】 移動は人生を変える

定住がもたらす不幸

旅行でも引っ越しでも、とにかく移動していくことにより、人生がより豊かになっていく。これが本書のテーマだ。

テレビのワイドショーでは、妬みからだろうか、成功した人が何か失敗するとよってたかって叩かれる。ツイッターではユーザー同士が罵倒し合っている。とにかく「憎しみ」が蔓延しているようだ。

こうした、人が憎しみ合い、人と人を比べ、人に優劣をつける行為の起源は、「定住」にあるのではないだろうか。農耕がはじまり、定住したことにより権力が生まれた。領土という概念も、定住によって生まれたものだ。農耕によって余剰の食べ物が生まれ、納税という概念もできた。そしてヒエラルキーが生まれたのだ。

著者の移動人生
thekopmylife/gettyimages

著者の移動人生が始まったのは、38歳のときのことだった。東日本大震災を機にハワイに移住したが、それまでは出版社で編集をしていた。出張も滅多になく、年に1回大阪に行くのでさえウキウキしていたくらいだ。

移住を機に当然、独立することになる。独立してからは毎週のように東京、大阪、福岡と飛び回り、毎月ハワイと日本を往復するようになっていった。さらにはサンフランシスコに拠点を増やしたり、コミュニティを主宰するようになったりと、海外にもいろいろな場所が加わった。こうして毎週の国内出張、月2回の海外往復をする生活を送ることになった。

移住と独立をきっかけに、会社員時代には見えなかった自分の可能性に気づけた。「定住」「安定」の環境にいる会社員時代は、その環境内でのキャラクターで生きていただけ。そのキャラクターは、完全に固定されてしまっていた。

「定住」「安定」の外に出ると、環境そのものが流動的になり、キャラクターも変化する。すると人生も変わるし、能力も変わっていく。逆に言えば、「定住」「安定」は私たちの能力を制限し、人生を徹底的につまらないものにしているのだろう。

「移動」で自分の人生を取り返す
bixpicture/gettyimages

私たち人類が「定住」を選んだのは、「安定」が欲しかったためだろう。私たちはいまだに「安定」を欲してしまうようにできている。安定は制限とイコールなのに、それでも「安定」を求めるのだ。とくに日本にはその傾向が強い。中学生のなりたい職業の第1位が公務員だということが、この傾向を体現している。

この傾向が根付いているのは、安定を求めるような教育を受けているためだ。この教育により、自分自身に制限をかける人間が作られている。多くの会社員、学校の先生、生徒、親はそういう人間である。そんな環境において、安定志向はどんどん強化されていく。視野もどんどん狭くなっていく。

そんな人生を変えるには、環境を変えるしかない。環境を変えるのは、移動だ。移動することで今までと違う景色が見えるようになり、それまで狭い世界に閉じ込められていたことに気づくようになる。

制限のない、本来の自分の人生を取り戻すには、安定が大事だと植え付けられてきた脳に「移動」という刺激を与えることが必要だ。

とにかく移動する

住んでいる場所を移動する

引っ越しすらできないなら、人生は変わらない。なぜなら、人の行動は環境によって決まるからだ。環境を変えるにあたって、一番手っ取り早く、インパクトも大きいのが「引っ越し」である。

私たちはなんとなく、勉強して良い学校に入って、良い会社に入って結婚して、子どもを育ててマイホームを買ってという「幸せのレール」を植え付けられている。まるでマイホームを買うのが「一人前になった証拠」とでも言わんばかりに。

しかし人生の豊かさは、「選択肢の多さ」にこそある。

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要約公開日 2019.06.22
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