著者は日本の大学を卒業後、ニューヨーク大学大学院で異文化コミュニケーション論を学んだ。博士課程では、オックスフォード大学(以下、OXON)に留学。教育学大学院の博士号を取得して帰国し、現在は東京外国語大学で教鞭をとっている。こうした経験から、現代の日本人には次に挙げる6つの能力が欠けていることに気づいたという。
(1)統率力:自然に人の上に立ち、他のものをリードする力
(2)創造力:模倣を繰り返し、そこから斬新な発想を生み出す力
(3)戦闘力:相手の意志を尊重しながら、結果的に自身の主張を通す力
(4)分解力:問題解決の近道として問題の所在を分析する力
(5)冒険力:試練や苦難を糧として邁進する力
(6)表顕力:自身を深く印象づける力
本書では、これら6つの能力を身に付ける方法が紹介される。要約ではそのうち、「創造力」と「冒険力」、そして「表顕力」を取り上げる。
創造力を身に付けるために最も重要なのは、知識ではない。それよりも、旺盛な好奇心を持ち、果敢に行動することのほうが重要だ。
創造力を養う方法は4つある。1つ目は、情報を一元化した「ストック」ノートを作成すること。アイデアやインプットした情報を1冊のノートに集約し、いつでも手元に置いて書き込めるようにしよう。OXONでは、青色のボールペンを使う人が多い。
2つ目は、とりあえず書き出し、人に説明してみること。書き出すことでアイデアを客観視できるし、話すことで自分の考えが整理され、その過程で新たなアイデアが生まれるからだ。
3つ目は、区切りのいいところではなく、「+α」で終わらせること。アイデアを書き留める際には、結論までで止めず、次の展開まで書いておこう。
4つ目は、「コピー・アンド・ペースト」をしないこと。コピペを繰り返していると、自分の頭で考え、表現することができなくなってしまう。誰かが書いたものを使いたいときには、引用であることを明記する。
英国のテレサ・ベルトンの研究によると、著名な科学者や芸術家、アスリートの多くが、幼少のころの「ひとりの時間」「退屈な時間」が自分の創造力を育むのに役立ったと考えているという。幼いときから宿題、習い事、塾などに追われる日本の子どもたちは、創造力を育む機会を逃しているのではないだろうか。
著者はOXON時代、論文の執筆に行き詰まることがあった。
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