仕事と人生がうまく回り出すアンテナ力

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仕事と人生がうまく回り出すアンテナ力
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仕事と人生がうまく回り出すアンテナ力
出版社
出版日
2019年04月05日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

スマートフォンが登場したことによって、私たちの周りには「情報」が氾濫するようになった。ここで言う「情報」には、「人」や「チャンス」も含まれる。方向を見定めることなく、こうした「情報」の海に飛び込んでいった結果、いつの間にか遭難してしまっている人も多いのではないだろうか。

本書は、そんな人のために書かれた本だ。著者の吉田将英氏は、社会人になったばかりの頃、将来への不安から、手当たり次第にビジネス書を読み漁っていた。しかし読んでも読んでも不安は消えず、次々に新刊が出ることから、漠然とした不安が消えることはなかったという。だが自分に合ったアンテナの張り方がわかり、必要な情報だけを効率的に収集できるようになると、その悩みは消えていったそうだ。

本書では、「アンテナ力」を高め、「情報」を集め、「人」とつながり、「チャンス」をつかむ方法が語られている。具体的な内容は要約の中で紹介したが、「『マイ賢者』を持つ」「『相手との記念日』に連絡を取る」「『小さな決断』を増やす」など、どれも今日から実践できるものばかりだ。

やるべきことに追われて情報の取捨選択ができていない人、人とのつながり方に悩んでいる人、チャンスをつかみたい人に強くおすすめしたい一冊である。新年度が始まってしばらく経った今、アンテナ力を磨いて心機一転、歩き出してみてはいかがだろうか。

著者

吉田 将英(よしだ まさひで)
プランナー/若者研究者/プロジェクトプロデューサー/コンセプター/ファシリテーター/エスノグラファー
2008年慶應義塾大学卒業後、前職を経て、2012年電通入社。 戦略プランナー・営業を経て、現在は経営全般をアイデアで活性化する電通ビジネスデザインスクエアに所属し、さまざまな企業と共同プロジェクトを実施している。また、「電通若者研究部(電通ワカモン)」では、研究員として10代~20代の若者の心理洞察から、共同プロジェクト開発まで幅広く従事。
会社外の活動では「考好学(こうこうがく)研究室」を発起し、人が物事を好きになるメカニズムの研究やワークショップを実施している。
年間100本観るほどの映画好き、週に一度通うほどのサウナ好き。
共著に『若者離れ』(エムディエヌコーポレーション)、『なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。』(宣伝会議)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    アンテナを張ると、不要なものがはじかれ、欲しいものや必要なものが入ってくるようになるため、仕事も人生もうまく回るようになる。
  • 要点
    2
    必要な情報を効率的に収集するためには、自分が詳しくない分野に明るい「マイ賢者」を頼ったり、「定点観測地」を決めて変化を見逃さないようにしたりするのが有効だ。
  • 要点
    3
    誰かを誘うときには、その人との「記念日」をきっかけにすること、お酒の場は苦手でランチを好むなどといった相手の「個人ルール」を尊重することが効果的である。
  • 要点
    4
    チャンスをつかむには、即断即決の習慣をつけたり、紙の手帳で先々のToDoを管理したりするのがよい。

要約

「アンテナ力」で仕事も人生もうまくいく

自分にぴったりのアンテナを張る
Mintr/gettyimages

著者は日々、「自分のためにカスタマイズした、精度の高いアンテナ」を張り巡らせている。だがアンテナの張り方を確立するまでは、仕事も人生もうまくいかなかったという。ヒントを得ようとビジネス書を読み漁っていたものの、不安が消えることはなかった。

そんな過去の自分に伝えたいのは、おもしろいと思えないものや、知っておくべき理由が見いだせないものは、追いかけなくてよいということだ。自分にとって必要でない情報は、血肉になることはないからだ。

なぜアンテナを張ると仕事と人生がうまく回り出すのか。それは、「いらないもの」がはじかれ、「欲しいもの」「必要なもの」が入ってくるようになるからだ。だからアンテナを張るというのは、仕事からプライベートまで、「アンラッキーを減らし、ラッキーを増やす仕組み」をつくるということである。この仕組みが実現している状態こそが「仕事と人生がうまく回っている」状態だ。

いま、情報量が増え、人間の脳は次から次へと「目移り」してしまっている。こんな状態における情報収集は、漁のようだ。なんでもすくい上げる「地引き網」を使うと情報過多になって混乱してしまう。その一方で「一本釣り」では、釣り上げるたびに大きな労力がかかり、すぐに疲れてしまう。

情報の海に投げる網は、目が粗すぎず細かすぎない、ちょうどいいものを使おう。「アンテナを張る」というのは、「欲しい魚」だけがかかるように網の目を調整するようなものだ。

アンテナを張るとラッキーが蓄積されていく
scyther5/gettyimages

ピカソにまつわるこんなエピソードがある。カフェのウェイターから、「絵を描いてくれないか」と頼まれたピカソは、紙ナプキンに絵を描いた。所要時間はわずか30秒ほど。そして「この絵の価値は100万ドルだ」と言ったという。これに驚いたウェイターが「たった30秒で描いた絵じゃないか」と言うと、ピカソは「違う。40年と30秒だ」と言い返したのだ。

このエピソードの教訓は、「積み上がっていくものには価値がある」ということだ。たった30秒で仕上げた絵でも、その絵が描けるようになるまでに何十年分もの蓄積がある。その年数に見合う価値があるわけだ。

これは「アンテナ」にも通じる話だ。今日アンテナを張れば、1年後には1年分、2年後には2年分の「ラッキー」が蓄積される一方で、「アンラッキー」ははじかれていく。

新しい仕事を任せられたときには、蓄積の価値を感じやすいはずだ。勝負を分けるのは、「仕事を任せられてから結果を出すまでの3週間」ではなく、「それまでの人生でどんな情報を得て、どういう人とのつながりをつくってきたか」「いかにそれらを、目の前の仕事に向かって適切に引っ張り出せるか」の2つだ。3週間で仕事をやっつけようとしている人は、「それまでの数十年と3週間」で勝負してくる人に太刀打ちできないだろう。

一度アンテナを張ってしまえば、基本的には受け身のスタンスでかまわない。アンテナを張ることで無用な努力をせずに済み、省エネできるからだ。すると、浮いた分の労力を活用し、情報からアイデアを考える、もう一歩踏み込んだ人付き合いをする、新しい挑戦をしてチャンスをつかむ……などといった、本当にやるべきことに集中できる。

【必読ポイント!】 「情報」が勝手に集まる仕組み

「マイ賢者」を持つ

誰しも「すごく関心がある」ことには、いくらでも労力を割ける。その一方で、「そこそこ関心がある」ことに詳しくなるのは大変なものだ。だから「そこそこ関心がある情報」に関しては、自分で勉強するのではなく、そのテーマに「すごく関心がある人」から教えてもらったほうが手っ取り早い。実際、「このテーマならあの人に教えてもらおう」といったことは、誰しも自然とやっているだろう。

著者はそうした「ある特定の情報に詳しい人」をリスト化し、「マイ賢者」として頼っている。メモアプリのEvernoteに「マイ賢者」のノートブックを設けており、「カメラ」「漫画」「心理学」「離島」など、多種多様なテーマのマイ賢者のリストを持っているという。

またそのリストには、「賢者の空席」も用意してある。

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要約公開日 2019.05.19
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