VUCA時代の仕事のキホン

本当は大切なのに誰も教えてくれない
未読
VUCA時代の仕事のキホン
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本当は大切なのに誰も教えてくれない
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VUCA時代の仕事のキホン
出版社
出版日
2019年03月14日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

VUCAとは、「あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、想定外の事象が次々と発生するため、将来の予測が困難な状態」を表す言葉である。現代はまさにこの時代のなかにあり、多くのビジネスパーソンが少なからず将来に対する不安を抱えていることだろう。情報があふれる時代にあって、仕事をするうえで一体何が変化し、今後も大事にすべきものは何なのか、迷う場面も多い。

そんな時代においては、変化に無関心でもなく、かといって変化に過剰に反応して恐れるのでもなく、やるべきことを見定めて着実に取り組む必要がある。著者は、イノベーションもこれからの時代を生き抜くことも、「ちょっとした仕事の工夫」で可能になると語る。本書では「生産性」「問題解決」「リーダーシップ」「働き方」について、「ちょっとした仕事の工夫」が具体的な事例を用いて簡潔にまとめられており、忙しいビジネスパーソンにも読みやすい構成になっている。

著者は「仕事の本質は変わっていない。しかし、その形式は大きく変わっている」という。必要以上に攻撃的だったり、煽ることを目的にした表現が増えていたりすることを危惧する著者が、より地に足のついたスタンスを読者に届けようと執筆したのが、本書である。時代に乗り遅れず、これからの仕事のやり方に悩む読者にとっては、肩の荷を下ろすヒントを得られるにちがいない。一度落ち着いて仕事の進め方を見直したい方に、ぜひお勧めしたい一冊である。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

河野 英太郎(こうの えいたろう)
日本アイ・ビー・エム(株)部長、(株)Eight Arrows代表取締役、グロービス経営大学院客員准教授。
1973年、岐阜県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学水泳部主将。グロービス経営大学院修了(MBA)。(株)電通、アンダーセンコンサルティング(株)(現・アクセンチュア(株))などを経て、日本アイ・ビー・エム(株)にて、コンサルティングサービス、人事部門、専務補佐、若手育成部門リーダー、サービス営業、ソフトウェア営業などを歴任。2017年に(株)Eight Arrowsを起業し、代表取締役に就任。
著書に、シリーズ140万部超のベストセラーとなった『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ』『同リーダーのコツ』、田中ウルヴェ京氏との共著に『同メンタルのコツ』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    すぐに終わる仕事は後回しにせず、すぐにやるべきだ。「今の1分」は夕方の10分、明日の1時間、来週の半日に匹敵する。特にクレーム対応は、すぐにやるべきだ。
  • 要点
    2
    VUCAの時代に目指すべきリーダー像は、自分以外のメンバーに最大限の力を発揮させることで結果を出す人だ。メンバーの価値観を知ることで、それぞれのエンゲージメントを高めよう。
  • 要点
    3
    成長し続けるには、自分にとって居心地の良い環境である「コンフォートゾーン」を抜け出し、不安やストレスを感じる「ストレッチゾーン」に挑戦しなければならない。

要約

生産性

非合理な仕事を見つける
Deagreez/gettyimages

VUCAの時代がやってきた。VUCAとは、「Volatility」(変動性)、「Uncertainty」(不確実性)、Complexity(複雑性)、「Ambiguity」(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、「あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、想定外の事象が次々と発生するため、将来の予測が困難な状態」を指す。

VUCAの時代においては、ビジネスサイクルの短縮が求められる。長い時間をかけて成果を出そうとしても、その間に「優れた成果」の定義が変わってしまうからだ。定義が変わってしまう前に成果を出すには、生産性を上げる必要がある。

「生産性向上」という言葉は、2通りに解釈できる。まず、「分子を増やす」こと。すなわち、時間を固定し、より多くの成果を上げることだ。次に、「分母を減らす」こと。成果を固定して、より少ない時間で達成することだ。この2つのうち、生産性が高いビジネスパーソンは、必ず「分母を減らす」考え方で働いている。

分母を減らすには、一つひとつの仕事が目的に対して合理的かどうかを考えることが重要だ。そして、非合理な仕事を極限まで排除する。

では、どうすれば非合理な仕事を見つけられるのか。著者が勧めるのは、「なくしたい仕事」をリスト化することだ。そして、「この仕事をなくしたい」と人に話してみる。そうすると、「なくせない理由」を聞き出せたり、「早速なくしてみよう」と話が進んだりするはずだ。

もう一つ重要なのが、非合理な仕事の形式にしばられないこと。たとえば上司は、パワーポイントやワードできれいに作られた資料は不要で、手書きのメモで十分だと思っているかもしれない。ためしに「手書きでも良いですよね?」と聞いてみよう。この一言を言えるかどうかが、仕事にかかる時間を左右する。

後回しにせず、すぐ対応する
BrianAJackson/gettyimages

スケジュール通りに仕事が進まないと悩む人に勧めるのが、仕事を分解し、一つひとつの作業の所要時間を計算することだ。そうすれば、全体の作業時間を正確に見積もれるし、途中で急な仕事が入ったときにも、柔軟に対応できる。

また、日数ではなく時間単位で考えるクセをつけることも意識したい。「3カ月」ではなく「500時間」と表現すれば、残り時間が意外と少ないことを認識できる。1日に働ける時間は限られているのだから、決して余裕ではないことに気づくだろう。

生産性を数字で説明できる点もメリットだ。「生産性を上げよう」と言うよりも、具体的な数字を挙げたほうが意識しやすい。四半期のノルマを時間あたりに直して考えてみれば、1分1秒でもムダにできないことが実感できるはずだ。

しかし、人はサボりがちな生き物だ。取引先からメールが届いていることに気づいても、後回しにしてしまう。著者は、すぐに終わる仕事は後回しにせず、すぐにやるべきだという。「『今の1分』は夕方の10分、明日の1時間、来週の半日」だと覚えておこう。

メールの返信を後回しにすると、後で追加作業が必要になる。返信するときにメールを読み直したり、状況が変わってしまって追加でやり取りをしなければならなくなったり、返信がないことに怒った相手に対応しなければならなくなったり。こうした手間を考えると、すぐにやってしまったほうがいい。

特にクレーム対応は、すぐにやるべきだ。待たせるほど、相手の怒りは膨らんでいく。メールを見てすぐ電話すれば1分で済むはずのことも、翌週まで待たせれば、何時間も費やすどころか、取引を失うことさえある。

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要約公開日 2019.05.06
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