HSP(Highly Sensitive Person)とは、「敏感すぎる人」「繊細すぎる人」のことを指す。HSPは感覚から得た情報を処理する神経が敏感で、ちょっとしたことに敏感に反応してしまったり、疲れてしまったりする。国籍や性別にかかわらず、人口の5人に1人はHSPだと考えられているが、外見からそれと見分けることはできない。
HSPは病気でも障害でもない。したがって、「治療」するものではない。その特徴をじっくり理解し、受けとめて、現実的に折り合いをつけていく必要があるものだ。
HSPは性格ではなく、持って生まれた「気質」である。つまり、成長に従って変化することもなければ、状況をみて使いわけることもできない。
HSPには大きくわけて4つの気質がある。
1つ目は処理の深さだ。HSPは人よりも多くの情報を取り込むため、脳が情報を処理するのに時間がかかる。情報を処理している間、まわりからは「考えてばかりで手が止まっている」ように見えてしまうため、「考えすぎ」「心配しすぎだよ」と言われてしまうこともある。
手を動かす前に頭の中で何度もシミュレーションし、納得したがるのも、HSPの特徴だ。自分の行動がどんな結果につながるのか、そしてその結果は自分の想定している通りなのか、納得しなければ動き出すことができない。
その一方で、「なぜそうするのか」がみえ、深く理解できれば、優れた成果をあげることができる。HSPが先見性や洞察力に優れているのも、処理の深さによる。
2つ目は神経の高ぶりやすさだ。HSPは疲れやすさに悩むことが多いが、それはこの特徴に起因している。処理が深いため、脳が疲れやすく、神経が高ぶりやすいのだ。よくない気分が増幅して落ち込んでしまうことが多い反面、いいことがあった場合には気分が高まって、はしゃいでしまうことがある。
驚いて反応が止まってしまうこともある。たとえば、職場で突然、大声で叱られたとする。そんなとき、HSPはショック状態に陥り、思考停止してしまう。言われたことは頭に入ってはいるが、きちんと理解できていない状態だ。家に帰ってからようやく内容を咀嚼し、「言われる覚えのないことで怒鳴られていた」などと気づくこともある。
このようにHSPは、自分の意見をまとめるまでに時間がかかる。テンポよく反応を返すのは苦手だ。
3つ目は感情反応の強さだ。HSPはまわりにいる人の気持ちや考えに強く影響を受けやすく、感情表現が他の人より大げさになることが多い。なぜならHSPの脳は、そうでない人に比べて、ミラーニューロンが活発だからだ。ミラーニューロンとは、ほかの人の行動を自分のことのように感じて反応する脳の神経細胞である。
4つ目はささいなことを察知する力が強いことだ。その場の雰囲気や他の人の機嫌のよしあしなど、小さな変化によく気づく。壁紙の模様や光の強さなどといった細部が気になってしまうこともある。
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