SNSで発信力をつけたいと思ったら、まずは「どうしたらフォロワーが増えるのか」に意識が向くだろう。たしかにフォロワー数を増やすテクニックはある。だが、それだけを真似ても「熱量」のあるアカウントはつくれない。
重要なのは、「SNSを通してやりたいことは何なのか」「なぜSNSで発信力をつけたいのか」という根本的な問いの答えを見つけることだ。
HKT48を脱退直後にTwitterを始めた著者は、あっという間に2万人のフォロワーを獲得した。だが、当時のファンイベントでは、たった3人しか人が集まらなかった。また、「料理アイドル」という肩書きで活動していたものの、なぜ料理なのかという問いに答えられないほど、発信のビジョンが欠けていた。自分がワクワクできるテーマを選べていなかったため、発信に熱量がなかったのである。
著者がSNSで影響力を持てるようになったのは、「モテる為に生きてる」という、本当に追いかけたいテーマで発信するようになってからだ。発信者の熱量が直接フォロワーに伝わるSNSでは、寝食を忘れられるほど没頭できるテーマを見つけることがカギとなる。
なりたい自分や発信したいテーマが絞れたら、「SNSの自分」をどうブランディングするかを考える。留意したいのは、自分のことは想像以上に相手に伝わっていないという点だ。画面の向こう側の相手が、自分の投稿をすべて追っているわけではない。よって、発信者は、意識的に自分のことを伝えていく必要がある。
著者は「ゆうこす」をブランディングする際、漫画の設定のように次の3つを考えているという。それは、「どんな主人公なのか」「どんなストーリーなのか」「どんな人に見てほしいのか」である。
主人公設定のポイントの1つは、自分の名前を「ゆうこす」にしたことだ。なぜこの名前にしたかというと、フォロワーが呼び捨てで呼びやすく、親近感を持ちやすいためだ。「ゆうこす」ならば誰でも読めるうえに、SNSでは致命的な「タグの表記ゆれ」によるタグの分散を防げる。また、名前のハッシュタグを1つに統一しやすい。さらには、あだ名で活動することによって、生身の自分のままのときよりも、尖ったことを発信する勇気が持ちやすくなる。
周囲が応援したくなる主人公の設定ができたら、次は、理想の最終回に向けての目標を決める。自分のタイムラインをストーリーとして捉え、最終回に向けて何話目までにどんな展開にしておきたいかを考える。
SNSでの失敗を恐れる人は多いが、失敗した内容も発信したほうがよいという。なぜなら、そのほうが、面白いストーリーになるからだ。フォロワーを楽しませる意識を持って、前向きに失敗談を発信すれば、それはむしろプラスの材料になる。
著者が「モテ」を強みにしようと決めた当初、フォロワーの大半は男性だった。だが、著者のターゲットは、男性ではなく、「ぶりっ子したい女性に共感してもらいたい」という女性である。そこで、多くの男性フォロワーに需要がないことを理解しつつも、モテたい女の子に向けて、モテ情報を発信し続けた。こうして、徐々に女性フォロワーを獲得していったのである。
ポイントは、自分の発信を見る相手の顔を思い浮かべ、相手の気持ちを考えながら投稿することだ。そうすれば、「共感」される投稿が生まれ、発信の軸もブレなくなる。
くわえて、ターゲットである10〜20代後半のフォロワーたちが好きなブランドやキャラクターをInstagramなどで検索。彼女たちの投稿内容やフォローしているアカウントを追っていき、興味の傾向を探っている。こうして、自分のアカウントを、ターゲット層にとって居心地のよい場所にしようとしているのだ。
著者がTwitterを始めた当初、ターゲット層の女性からの知名度はほぼ0だった。そこからフォロワーを増やしていくには、フォロワーが共感できる雰囲気やフォローするメリットをつくることが欠かせない。
そこでまずはアカウントの顔であるプロフィールづくりにこだわった。これは、本にたとえると、表紙づくりと同様に重要なものだ。
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