本書は、運動の必要性を感じていたり、医師から「運動しなさい」と言われたりしていながらも、どうしても一歩が踏み出せないという人のために、取り組みやすく、かつ成果が得られるような運動法を提示するものである。
本書には、糖尿病、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、肩こり、腰痛、変形性膝関節症、ロコモティブシンドローム、骨粗鬆症、慢性疲労、抑うつ状態などの予防・改善のための運動が紹介されている。要約ではそのうち、糖尿病、メタボリックシンドローム、高血圧、肩こり、腰痛、変形性膝関節症を取り上げる。
まず、糖尿病は「血糖値が高くなる病気」で、動脈硬化や神経障害、腎症、網膜症など、さまざまな合併症を招く。自覚症状がない上、進行性の病気であるため、予備群であっても何もしないでいるとどんどん悪くなってしまいかねない。
糖尿病では、投薬や食事療法に加え、運動療法でも治療を行う。糖尿病予備群と診断された人も、血糖値が高めの人も、運動に取り組んで血糖値を下げよう。
血糖値のピークは食後1時間前後のうちにくるので、可能であれば毎食後、1時間以内に運動を開始するのがいい。特に血糖値を下げてくれるのは、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動だ。運動不足の人であれば、食後20分程度のウォーキングでも十分だろう。
有酸素運動と併せて、筋力トレーニングにも取り組みたい。筋肉量を増やせば糖を代謝しやすい体になるからだ。大きな筋肉が集中している下半身を中心に鍛えよう。
これまで運動をしてこなかった人にとっては、食後に必ず有酸素運動と筋トレを行うというのは高いハードルに感じるかもしれない。ならばまず、食後に体を動かすことを習慣づけたい。本書では、著者が考案した5分でできる血糖値を下げるエクササイズが紹介されている。
メタボリックシンドロームは、「内臓脂肪症候群」とも呼ばれる。食べ過ぎや栄養が偏った食事、運動不足が原因となって内臓脂肪がたまるもので、脂質異常(中性脂肪やコレステロールの異常)、高血圧、高血糖などを引き起こし、脳卒中や心臓病を招くこともある。
内臓脂肪がたまっていってしまうのは、運動不足だからだ。内臓脂肪は、余ったエネルギーを一時的に蓄積しておく役目を担っているが、エネルギーの消費が少ないとどんどんたまっていってしまう。
内臓脂肪を落とすためには、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が効果的だ。1日30分以上の運動が望ましいが、1日10分の運動を3回というように分割して行ってもいいし、週末にまとめて行ってもいい。
また、有酸素運動に加え、筋トレで筋肉量を増やし、基礎代謝を上げることも効果的だ。糖尿病の予防と同じく、下半身の筋肉を中心に鍛えるといいだろう。筋トレを行うと脂肪が分解されやすい状態になるため、有酸素運動による脂肪の燃焼効率がアップする。
血圧は、心臓が血液を押し出す際に動脈の内側にかかる圧力のことだ。高血圧は、「収縮期血圧」(上の血圧)が140mmHgまたは「拡張期血圧」(下の血圧)が90mmHg以上の場合に診断される。これを放置すると、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞や脳出血、腎臓病などのさまざまな病気を招く。
高血圧を改善するためには、ほぼ毎日「ややきつい」と感じるくらいの運動を30分以上行うことを目標にしよう。ウォーキングや軽いジョギング、水中運動、自転車などの有酸素運動が推奨される。
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