医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本
医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本
医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本
出版社
出版日
2018年10月22日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

日々の生活ではほとんどできていなくても、やった方がいいことだけは確かなようだ――運動について、多くの人がそう感じているのではないだろうか。

地域の体育館に行けば運動教室の生徒募集は常に行われているし、民間のフィットネスクラブも至る所にある。インターネットでも「一緒に体を動かしましょう」という類の募集は簡単に見つけられる。したがって運動する環境を手に入れることは、さほど難しくはないようである。だが、実践に移すことは簡単ではない。

本書は、運動しなければいけないと感じていたり、医師に「運動しなさい」と言われていたりするのに、実践に移すことができないでいる人にとって、打ってつけの一冊だ。歩くことや寝っ転がる場所さえあればできる手軽なエクササイズが紹介されており、「運動している自分」を明確にイメージさせる工夫がなされているからだ。

本書はやみくもに「運動レベルを上げましょう」というスタンスではないし、医学的見地から注意した方がいいこと、運動する前にやっておくべきことなども、わかりやすく丁寧に解説されているので、運動習慣がない人や、運動に苦手意識がある人にもおすすめである。糖尿病やメタボリックシンドローム、高血圧だと診断された人はもちろんのこと、その危険がある人や数値が高めで心配な人にも、「予防・改善のために、重い腰をあげて運動に取り組んでみよう」と思わせてくれる一冊だ。

ライター画像
三浦健一郎

著者

中野 ジェームズ 修一(なかの じぇーむず しゅういち)
スポーツモチベーションCLUB100最高技術責任者
PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー
米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)
フィジカルを強化することで競技力向上や怪我予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。卓球の福原愛選手やバドミントンの藤井瑞希選手など、多くのアスリートから絶大な支持を得る。2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。早くからモチベーションの大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍。東京・神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」の技術責任者を務める。『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)などベストセラー多数。

田畑尚吾(たばた しょうご)
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター 助教
2009年、秋田大学医学部卒。自治医科大学附属さいたま医療センター(初期研修医)、慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター(後期研修医)、北里研究所病院(内科)などを経て、2013年より現職。糖尿病専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター等の資格を有し、生活習慣病の診療や運動処方に従事する傍ら、日本陸上競技連盟、全日本スキー連盟のドクターとして、アスリートの内科的サポートも行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    糖尿病、メタボリックシンドローム、高血圧といった生活習慣病の予防・改善のためには、有酸素運動と筋トレを組み合わせるのが理想的だ。
  • 要点
    2
    加齢によって筋力は落ち、体重は増える。まずは、ランニングによって筋力と心肺機能を取り戻し、体重を減らそう。
  • 要点
    3
    ウォーキングは運動習慣の入り口として最適だが、散歩の延長線上のような歩き方をするのではなく、歩幅と強度を意識することが重要だ。

要約

【必読ポイント!】 運動が効果的な症状

糖尿病
wutwhanfoto/gettyimages

本書は、運動の必要性を感じていたり、医師から「運動しなさい」と言われたりしていながらも、どうしても一歩が踏み出せないという人のために、取り組みやすく、かつ成果が得られるような運動法を提示するものである。

本書には、糖尿病、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、肩こり、腰痛、変形性膝関節症、ロコモティブシンドローム、骨粗鬆症、慢性疲労、抑うつ状態などの予防・改善のための運動が紹介されている。要約ではそのうち、糖尿病、メタボリックシンドローム、高血圧、肩こり、腰痛、変形性膝関節症を取り上げる。

まず、糖尿病は「血糖値が高くなる病気」で、動脈硬化や神経障害、腎症、網膜症など、さまざまな合併症を招く。自覚症状がない上、進行性の病気であるため、予備群であっても何もしないでいるとどんどん悪くなってしまいかねない。

糖尿病では、投薬や食事療法に加え、運動療法でも治療を行う。糖尿病予備群と診断された人も、血糖値が高めの人も、運動に取り組んで血糖値を下げよう。

血糖値のピークは食後1時間前後のうちにくるので、可能であれば毎食後、1時間以内に運動を開始するのがいい。特に血糖値を下げてくれるのは、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動だ。運動不足の人であれば、食後20分程度のウォーキングでも十分だろう。

有酸素運動と併せて、筋力トレーニングにも取り組みたい。筋肉量を増やせば糖を代謝しやすい体になるからだ。大きな筋肉が集中している下半身を中心に鍛えよう。

これまで運動をしてこなかった人にとっては、食後に必ず有酸素運動と筋トレを行うというのは高いハードルに感じるかもしれない。ならばまず、食後に体を動かすことを習慣づけたい。本書では、著者が考案した5分でできる血糖値を下げるエクササイズが紹介されている。

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームは、「内臓脂肪症候群」とも呼ばれる。食べ過ぎや栄養が偏った食事、運動不足が原因となって内臓脂肪がたまるもので、脂質異常(中性脂肪やコレステロールの異常)、高血圧、高血糖などを引き起こし、脳卒中や心臓病を招くこともある。

内臓脂肪がたまっていってしまうのは、運動不足だからだ。内臓脂肪は、余ったエネルギーを一時的に蓄積しておく役目を担っているが、エネルギーの消費が少ないとどんどんたまっていってしまう。

内臓脂肪を落とすためには、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が効果的だ。1日30分以上の運動が望ましいが、1日10分の運動を3回というように分割して行ってもいいし、週末にまとめて行ってもいい。

また、有酸素運動に加え、筋トレで筋肉量を増やし、基礎代謝を上げることも効果的だ。糖尿病の予防と同じく、下半身の筋肉を中心に鍛えるといいだろう。筋トレを行うと脂肪が分解されやすい状態になるため、有酸素運動による脂肪の燃焼効率がアップする。

高血圧
nortonrsx/gettyimages

血圧は、心臓が血液を押し出す際に動脈の内側にかかる圧力のことだ。高血圧は、「収縮期血圧」(上の血圧)が140mmHgまたは「拡張期血圧」(下の血圧)が90mmHg以上の場合に診断される。これを放置すると、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞や脳出血、腎臓病などのさまざまな病気を招く。

高血圧を改善するためには、ほぼ毎日「ややきつい」と感じるくらいの運動を30分以上行うことを目標にしよう。ウォーキングや軽いジョギング、水中運動、自転車などの有酸素運動が推奨される。

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要約公開日 2019.08.03
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