内臓脂肪は、「胃や肝臓にベッタリついた脂肪」と誤解されることも多いが、内臓そのものにつくわけではなく、腹筋の下にある「腸間膜(ちょうかんまく)」に蓄積して「お腹ぽっこり」の原因になるものだ。男性は腹囲85センチ以上、女性は90センチ以上、BMI25以上であれば内臓脂肪型肥満といえる。
内臓脂肪の蓄積に加えて、「脂質」「血圧」「血糖」のうち2つ以上の項目が基準を超えていると、メタボリックシンドローム、通称「メタボ」と呼ばれる。日本ではメタボ予備群がかなり多く、厚生労働省の調査によれば40~74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人が、メタボが強く疑われる、または予備群だとされている。
内臓脂肪はつきやすいが、落としやすくもある。食べすぎや運動不足で急速に蓄積する一方、食事改善や運動などのエネルギー消費によって急速に減少させることもできるのだ。
ただし「食べずにガマンする」という減量は絶対にしてはならない。極端に食事を減らすと筋肉が減ってしまう。筋肉が減ると、食事制限をやめたときにそこに脂肪がついて、健康上とてもキケンな状態になってしまうのだ。そもそもダイエットは無理なく続けられなければ成功しないので、食べないことよりも、かしこく食べることが重要である。
また、一般的な腹筋運動をしても、内臓脂肪を減らす効果はほとんどない。内臓脂肪を減らすには、「食生活の改善+運動」が最も王道かつ近道である。
内臓脂肪は「見た目がカッコ悪い」だけでなく、さまざまな病気のリスクを上げる。たとえば代表的な生活習慣病である「糖尿病」と、食後に血糖値が過剰に上昇する「食後高血糖」は、内臓脂肪によって引き起こされる可能性がある。
内臓脂肪が増えると、血糖値を下げるホルモンである「インスリン」の働きが弱くなる。すると、食後の血糖値が異常に上昇し、体がさらにインスリンを分泌する。過剰となったインスリンはやがて低血糖を引き起こすため、血糖値がジェットコースターのように上下する。この状態は倦怠感や空腹感を引き起こし、運動不足や過食に陥りやすくなるのだ。
さらに、インスリンは脂肪細胞に脂肪を溜め込むため、ますます内臓脂肪が増える。最終的にすい臓が弱ってインスリンを出せなくなると、糖尿病が引き起こされる。
国際がん研究機関の報告によると、内臓脂肪はがんの発症リスクを高める。しかも、腹囲が増えるごとに、がんの発症リスクが高まるという。内臓脂肪はさまざまな炎症物質を出して、体のあちこちで慢性の炎症を引き起こす。これらががんを発症させたり、進行させたりするのだ。
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