科学的に正しい筋トレ 最強の教科書

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科学的に正しい筋トレ 最強の教科書
出版社
出版日
2019年03月28日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は、理学療法士、トレーナー、そして医学博士として病院に勤務しながら6万人の体づくりに携わってきた著者が最先端の知見を詰め込んだ「筋トレの教科書」である。最先端の研究論文に基づき、トレーニング法や筋トレのフォーム、タンパク質摂取法、トレーニング継続法などが徹底的に解説される。筋肉肥大には高強度トレーニングではなく総負荷量が重要である、最適な休憩時間は性別やトレーニング経験によって異なるなど、今までの常識を覆す新常識が次々に明らかにされている。

本書によると、筋トレにはさまざまなメリットがある。具体的には、「病気の死亡率が23%減少する」「睡眠の質が向上する」など。そうはいってもなかなか継続できないのが人間だが、本書では、心理学、生物学、脳科学の知見を組み合わせた筋トレ継続法が紹介されている。

定期的に筋トレを行っている方は、本書で最新の筋トレ術を知り、トレーニング効果を最大化することができるだろう。仕事が忙しくて運動不足の方には、筋トレ継続法を熟読することをオススメしたい。筋トレを行えば、筋肉が増え、外見的な魅力がアップし、睡眠の質が向上し、不安を払拭して笑顔が増え、そして健康的で病気に強い身体を手に入れることができる。つまり筋トレは、人生の課題を解決してくれる究極の手段なのだ。

ライター画像
木下隆志

著者

庵野 拓将(あんの たくまさ)
理学療法士、トレーナー、博士(医学)。大学院修了後、大学病院のリハビリセンターに勤務。けがや病気をした患者やアスリートのトレーナーとして、これまで延べ6万人の体づくりに携わってきた。大学病院では、世界最先端の研究成果を現場でのトレーニングにフィードバックするため、研究発表、論文執筆も行っている。
筆名・庵野拓将として、筋トレ、スポーツ栄養学をはじめとする最新の研究報告を紹介するブログ「リハビリmemo」を主宰。本書が初の著書となる。

本書の要点

  • 要点
    1
    「筋肉を大きくする(筋肥大)方程式」は、「総負荷量(強度×回数×セット数)×セット間の休憩時間×関節を動かす範囲×運動スピード×筋収縮の様式×週の頻度」である。
  • 要点
    2
    「筋力を強くする(筋力増強)方程式」は、「トレーニング強度×運動スピード×週の頻度」である。
  • 要点
    3
    筋トレには、「病気を予防できる」「睡眠の質が上がる」「メンタルを改善できる」などのメリットがある。
  • 要点
    4
    筋トレを続ける上で大切なことは、筋トレのために意志力を温存しておくことだ。

要約

【必読ポイント!】科学的に正しい「筋トレ方程式」

筋トレを行う目的を明確にする
g-stockstudio/gettyimages

なぜ、筋トレをするのか? ひとくちに「筋トレ」と言っても、目的によって取り組むべきトレーニング内容は異なる。鍛えられたスマートな身体を手に入れたいのか、それともスポーツを楽しむための身体を手に入れたいのか。筋トレを始める前には、「何のために筋トレをするのか?」という目的を明確にする必要がある。

筋トレの目的は大きく2つに分けられる。まず、筋肥大である。これは、たくましい大胸筋や美しい腹筋、盛り上がった上腕筋などを手に入れるために、筋肉を大きくすることだ。もう1つは、筋力増強だ。これは、より重い重量を持ち上げる、より速く走れるようになるなど、筋肉がもつパワーそのものを底上げすることを指す。多くのビジネスパーソンは前者を、アスリートは後者を目指しているのではないだろうか。

あらかじめ目的を決めたうえで手段を選択し、課題解決のために取り組んでいくのは、ビジネスもトレーニングも同じだ。筋トレの目的を決め、筋トレを理論としてしっかり理解すれば、目的達成へと着実に進んでいけるだろう。

「筋肉を大きくする」方程式

アメリカスポーツ医学会は、「トレーニングによる筋肥大の効果を高めるためには、1RMの70%以上の高強度で、初心者は8~12回、経験者は1~12回の回数を行うことを推奨する」としている。

RMとは「Repetition Maximum(最大反復回数)」の略語である。ある一定の重さに対して何回反復できるかにより、自分の限界となる運動強度を判断する方法だ。ベンチプレスの場合、全力で1回だけ挙げられる重量が「1RM」となる。この重量を「最大筋力」とし、全力で5回まで反復できる重量を「5RM」と表す。「1RMの80%」と表記されている場合は、「最大筋力の80%」という意味だ。本書では、高強度=1RMの80%以上、中強度=1RMの60~79%、低強度=60%未満と定義している。

かつては、低強度のトレーニングでは十分な筋肥大の効果が得られないとされてきた。ところが近年、低強度トレーニングでも「総負荷量」を高めることで、高強度トレーニングと同等の効果が得られることがわかっている。総負荷量とは、トレーニング強度(重量)×回数×セット数のことである。

これにより、現在では、筋肥大の効果を最大化するための「筋トレ方程式」が導き出されている。それはすなわち、「筋肥大の効果=総負荷量(強度×回数×セット数)×セット間の休憩時間×関節を動かす範囲×運動スピード×筋収縮の様式×週の頻度」である。

総負荷量・セット間の休憩時間・関節を動かす範囲
Nikolas_jkd/gettyimages

ここでは、先に述べた、筋肥大の効果を最大化するための「筋トレ方程式」の各項について解説していく。

まず、総負荷量だ。カナダ・マクマスター大学のバードらの研究では、低強度トレーニングにおいても、回数を多くし、総負荷量を高めることで、高強度トレーニングと同等の筋肥大の効果が得られることが示されている。

次に、セット間の休憩時間だ。長年スポーツ科学の業界では、短時間派(1分間)と長時間派(3〜5分間)に分かれて議論が行われてきた。しかし現在では、「セット間の休憩時間が短いほど良いというわけではない」ということが明らかになっている。また最適な休憩時間は、性別やトレーニング経験、運動強度によって異なるという。

次に、関節を動かす範囲だ。筋トレには、関節の可動域いっぱいに曲げ伸ばしする「フルレンジ」と、中間の角度で動かす「パーシャルレンジ」がある。最新の研究では、「筋肥大を目的とした場合、フルレンジのトレーニングが有効である」ことが判明している。

運動スピード・筋収縮の様式・週の頻度

筋トレが筋肉に与える効果は、「運動スピード」によって大きく変わってくる。効果を高めるためには、目的に合わせて適切な運動スピードを選ぶべきだ。

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要約公開日 2019.06.09
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