2018FIFAワールドカップのロシア大会にて、著者が所属する日本代表は、初めてのベスト8入りをかけてベルギーと対戦。逆転負けを喫した。
試合の後、著者の口から出たのは次のような言葉だった。「また4年後のワールドカップを目指します」
大きなショックを受けていながら、このようなポジティブな発言ができたのはなぜか。それは、肉体的にも精神的にも絶好調であり、またこの舞台に戻りたいと素直に思えたからだという。32歳という、アスリートとして決して若い年齢ではないにもかかわらず、完璧なコンディションを維持していたのだ。
その秘密は「ファットアダプト食事法」(以下、ファットアダプト)にある。これは、脂質(ファット)をエネルギー源として上手に使えるファット・アダプテーション(脂質適応状態)になるための食事法だ。糖質の摂取をコントロールして血糖値の乱高下を抑えて、良質のたんぱく質と脂質を積極的に摂る。著者は2022年のワールドカップを目指し、トレーニングと並行してファットアダプトに取り組んでいるという。
著者が食事の重要性に改めて気づいたのは、インテルでプレーしていた2015年頃のことだった。
その頃、著者のパフォーマンスは最悪だった。カラダが思うように動かないだけでなく、怪我が多く、その回復に時間がかかっていた。人一倍努力をしている自信があったので、トレーニングが足りないとは思えなかった。
そこで、食事に目を向けることにした。そのきっかけになったのは、世界一のテニスプレーヤーであるノバク・ジョコビッチ選手の本『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(三五館刊)だ。この本には驚かされた。ジョコビッチ選手の置かれた境遇が、あまりにも自分と似ていたからだ。彼は、思うような結果が出せず、あらゆる方法を試していた。その結果、自分に合った食事法を見つけたのだ。この本にヒントをもらった著者は、さまざまな食事法を試すことにした。
まず、糖質制限を試した。ご飯もパスタもお預けにし、朝ご飯は茹で卵2個とスムージーのみとした。
ところが、思うような結果は出なかった。練習を始めて1時間もすると頭がボーッとしてくる。試合をしていても、頭もカラダも動かない。糖質制限は、著者には合っていなかった。
本書では、ファットアダプトによるファット・アダプテーションで期待できる6つの効果が紹介される。要約ではそのうち、3つを取り上げる。
まず、筋肉の質の変化だ。著者のカラダを10年以上見ているトレーナーたちが、口を揃えて「筋肉の質が変わったね」と言ってきたのだという。
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