行動力は、3階層のピラミッドで表される。志、情熱など、動く力の源泉になる「マインド」の上にさまざまな「スキル」が、そして一番上に「アクション(行動そのもの)」が積み重なっている。この3つを鍛えていくことで、少しずつ「動ける」ようになる。
行動力のある人は、「思い立ったらすぐ行動」→「行動したら振り返って気づきを得る」という形で、マインド・スキルとアクションのサイクルを常に回しているので、結果的にさらに行動できるようになっていく。
たとえば上司から、「1週間後までに○○の市場についてのレポートを提出してください」という指示を受けたとする。
Aさんは、完璧な形に仕上げて提出しようと考え、提出期限のギリギリまで調査を続け、1人でレポートを完成させて提出した。
Bさんは、仕事を頼まれた翌日、調査の目的と方向性、報告書の体裁案を簡単にまとめ、上司に確認を取った。上司のゴーサインをとると、3日間かけて調査をし、ラフなレポートを提出。ここで再度上司に確認してもらい、仕上げへと進んだ。
AさんとBさん、どちらの進め方が望ましいだろうか。著者は、Bさんの仕事の進め方を高く評価するという。
インターネットサービスでは、「ベータ版(β版)」をリリースすることがある。これはいわば、正式版を公開する前のお試し版だ。正式版が出た後に致命的なバグが見つかったら、一度販売した商品を回収したり、そのための広告を出したり、たくさんのお客さんに返金したりしなければならない。だからまずユーザーにお試し版を使ってもらい、改善点などを集めて、正式版をブラッシュアップするのだ。
日々の仕事でも、まず早い段階でベータ版を出すようにしよう。現在のビジネスシーンでは、トライアンドエラーのサイクルを回していくことで、徐々に完成度を高めていく手法が高く評価されるようになっている。
すぐ動ける人は、事実やデータから仮説を立て、素早く結論を出している。だから動く力を高めるには、仮説を立てる力、すなわち「仮説力」を磨くことが必要だ。
「仮説」というと難しく聞こえるかもしれない。だが誰しも、日常的に仮説を立てているものだ。たとえば出かける前に「今日の夜は冷えそうだから、長そでを用意していこう」と考えるのも、仮説を立てて結論を出し、行動しているといえる。
仮説を立てるには、「直感」が大きな役割を果たしている。直感を鍛えるために重要な要素は4つ。体験、志、妄想、好奇心である。
まず、体験だ。ワイルドな選択をした経験があれば、過去に学べるし、経験値も高まる。それ以外にも、自分が挑戦したいことのパーツとなる経験や、目指すべき未来が映像として浮かぶような経験、そして、失敗・後悔の経験は仮説力アップにつながる。
次に、志だ。「こんなふうになりたい」「自分の人生や仕事でこれを成し遂げたい」という思いが強ければ強いほど、それに基づいて結論が出しやすくなる。
次に、妄想だ。志が明確になると、何を見ても「自分だったらどうするか」と妄想するようになる。著者自身、妄想が構造化されてビジネスの仮説につながっていった経験があるという。
最後に好奇心だ。
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