企画は、ひと言。

“今までにないもの”を生み出すシンプルな技術
未読
企画は、ひと言。
企画は、ひと言。
“今までにないもの”を生み出すシンプルな技術
未読
企画は、ひと言。
出版社
日本能率協会マネジメントセンター
出版日
2014年05月30日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

世の中にはウケるアイデアや企画がまるで湯水のごとく噴き出してくる人がいる。しかもそうした人が出すアイデアは机上の空論に終わらず、「確かにそれなら行けそうだ」と皆を納得させるだけの実現性をも有していることが多い。一方で、どんなに考えても何も思い浮かばない、思い浮かんだとしても他人に話すことすら憚られるようなつまらないアイデアしか出てこないことに悩む人も大勢いることだろう。かく言う私も周囲のアイデアマンを羨ましく思っていたものだが、本書を読んで「ウケるアイデアや企画を生み出すには、秘訣があったのだ」と思わず目から鱗が落ちた。

この本の著者である石田章洋氏は『世界ふしぎ発見!』などの有名番組で企画・構成を担当する放送作家だ。『世界ふしぎ発見!』と言えば、毎週異なる国・地域をレポーターが訪れ、現地ならではの風習や魅力を紹介するテレビ番組であり、毎週視聴者を飽きさせない企画力がモノを言う現場だ。放送作家として25年ものキャリアを持つ石田氏はまさに企画を生み出すことにかけては一流の域に達していると言えよう。

石田氏は本書のなかで、優れたアイデアの条件とは「ひと言」で言えることだ、と説いている。「ひと言」で言える企画は周りに理解されやすく、実現もしやすい。もちろん肝心の「ひと言」を生み出すためのノウハウも余すところなく紹介されていて、これさえ読めばあなたもアイデアマンと呼ばれるに違いない。広告・メディア関係の方のみならず、多くのビジネスパーソンにとって参考になる一冊であろう。

ライター画像
苅田明史

著者

石田章洋(いしだ あきひろ)
放送作家。日本脚本家連盟員・日本放送協会会員。1963年12月生まれ、岡山県出身。
プランナー&ライターズオフィス、株式会社フォーチュンソワーズ代表取締役。
日本大学在学中に三遊亭円楽(当時は楽太郎)に弟子入り。落語家になるも数年後、放送作家に転身。以来、25年以上にわたり、各キー局のバラエティ番組・情報番組・クイズ番組・報道番組など、あらゆるジャンルのテレビ番組で企画・構成を担当。
手がけた番組の合計視聴率は5万%を超える。
最近の主な担当番組は『世界ふしぎ発見!』(TBS)『TVチャンピオン』(テレビ東京)『情報プレゼンターとくダネ!』(フジテレビ)『BSフジLIVEプライムニュース』(BSフジ)など。
特に、構成を手がけた「世界ふしぎ発見! ~エディ・タウンゼント 青コーナーの履歴書」は第45回コロンバス国際フィルム&ビデオ・フェスティバルで優秀作品賞を受賞するなど番組の企画・構成に関して高い評価を受けている。

本書の要点

  • 要点
    1
    企画を実現するためのコツは「ひと言」で見える企画をつくることだ。「ひと言」には短いほど言葉は強くなり、どんな企画なのかが見えやすく、企画の売りが分かりやすくて他人に共有しやすい、などの強みがある。
  • 要点
    2
    ウケるアイデアはベタ(定番)に新しさをプラスしたものだ。企画は全く新しいものでも、定番すぎるものでもうまくいかず、実現可能性と新しさのバランスが取れていることが重要である。
  • 要点
    3
    「ひと言」は3つのC、すなわち「Compare(たとえる)」「Can(~できる)」「Change(~に変える)」のいずれかの形をとる。アイデアをひと言にまとめるには、3つのCにあてはめ、無駄な言葉は削ることだ。

要約

ウケる企画はみんな「ひと言」

優れたアイデアはひと言で言える
lineartestpilot/iStock/Thinkstock

石田章洋氏はいまでこそテレビ番組の放送作家として誰もが認める存在だが、駆け出しの頃は放送作家として重要な「企画立案」が苦手だったという。しかしある時をきっかけに企画が面白いように通るようになり、通した企画の台本を書かせてもらえるようになり、その番組が高視聴率を獲得するようになった。

企画を実現するためのたったひとつのコツ、それは「ひと言」で見える企画をつくることだ。「ひと言」はマスコミの世界だけではなく、商品開発や営業企画といったあらゆるビジネスの現場で効果を発揮する。必要なのは分厚い企画書ではなく、「ひと言」なのである。トヨタのプリウスは「地球にやさしいエコカー」、AKB48は「会いに行けるアイドル」のように、優れたアイデアは必ずひと言でいえるのだ。

ひと言はベタな方が良い

「ひと言」にはコピーライターのようなセンスは必要ない。「ひと言」はキャッチコピーではないからだ。キャッチコピーはむしろ企業や商品、企画内容とは直接結びつかないケースが多いからである。

たとえば糸井重里さんがつくった伝説的なコピー「おいしい生活」。これは西武百貨店がモノを売るのではなく生活の提案をするデパートを目指して生み出されたものだが、若い世代の多くは何の広告のコピーかわからないだろう。キャッチコピーになる前の「ひと言」は「モノを売るデパートから生活の提案をするデパートへ」というわかりやすいものであった。

企画を実現させるためには、それがどんな企画なのか、関わる人がイメージできることが重要であり、むしろ「ベタ」なほうが良いのである。

ひと言の強み「5つのS」

企画が「ひと言」でうまくいくのは、「ひと言」ならではの5つの強みがあるからである。

① 「Short」 ひと言は話すなら10秒以下、文字にするなら30文字以内に纏めるのがよい。言葉は短ければ短いほど強くなるからだ。

② 「Simple」 この企画の売りはコレだ!と言い切れる「シンプルな軸」がある企画は必ず通る。シンプルであれば、企画を聞いた上司が上層部を説得する際にもその魅力を伝えやすい。

③ 「Sharp」 アイデアが凝縮した研ぎ澄まされたひと言は、相手の心に深く刺さるものだ。逆にインパクトがなければ、人もカネも動かすことはできない。

④ 「See」 企画を実現したいなら「見える」こと、すなわち、ひと言で相手の頭のスクリーンに映像を浮かべることが決定的な条件になる。

⑤ 「Share」 任天堂のWiiは「家族全員に触ってもらえるゲーム」というひと言のおかげで、開発者だけでなく責任者や広報などが各々の領域で自分の役割が何かをイメージできた。すなわち「シェアできる」力があったといえる。

ウケるアイデアとは

100%新しい企画はNG
johavel/iStock/Thinkstock

「今までにない新しいことをやろう」といって考えた、斬新でとっておきの企画が通らずに憤慨したことはないだろうか。

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要約公開日 2014.06.10
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