クラウドソーシングでビジネスはこう変わる

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クラウドソーシングでビジネスはこう変わる
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クラウドソーシングでビジネスはこう変わる
出版社
ダイヤモンド社
出版日
2014年06月06日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「クラウドソーシング」とは、インターネットを通じてクラウド(群衆)に業務をアウトソーシング(委託)することを指す。本書の著者、吉田浩一郎氏が創業したクラウドワークスは、国内でクラウドソーシングのプラットフォームを提供するリーディングカンパニーだ。発注者はそのプラットフォーム上で最適なワーカーを選び、仕事単位でお金を払えばよいため、コストが割安で済む。受注者にとっては、自分ができる仕事をできる時間に引き受けることが可能だ。

2013年に注目を集めた『ワーク・シフト』(プレジデント社)という書籍では、フリーランスという働き方がごく普通のことになると予言されている。これを証明するかの如く、クラウドソーシングを活用すれば会社や組織に属さなくても仕事ができることから、「個」として働くことがますます一般的なものになる仕組みと言えよう。

吉田氏の前著『世界の働き方を変えよう』は彼の波乱万丈な半生に着目していたのに対し、本書はクラウドソーシングがもたらす既存ビジネスへの影響についてデータや統計を用いて考察している。特にクラウドワークスのユーザー調査による「時給水準」を見ると、東京と地方の報酬ギャップは全くないことがわかる。むしろ、地方にいながら「東京価格」で仕事をするフリーランスが非常に多いことを実感することだろう。

また、クラウドソーシングが抱える情報セキュリティの問題や著作権の侵害への対処方法、最近よく取り沙汰される報酬破壊の懸念についても正面から向き合って言及している点も高く評価したい。

ライター画像
苅田明史

著者

吉田 浩一郎
株式会社クラウドワークス代表取締役社長兼CEO。1974年生まれ。東京学芸大学卒業後、パイオニア、リードエグジビションジャパンを経て、株式会社ドリコムの執行役員として参画。東証マザーズ上場を経験した後に独立。21世紀のワークスタイル「クラウドソーシング」に着目し、2011年11月、株式会社クラウドワークスを創業。クラウドソーシングサービスを提供する日本のリーディングカンパニーとして急成長を遂げ、現在、上場企業をはじめとする3万社以上の企業が同社のサービスを活用している。

本書の要点

  • 要点
    1
    発注者にとってクラウドソーシングのメリットは、仕事のマッチングの「早さ」、仲介業者がいないことによる「安さ」、ワーカーのスキルが見える化されていることによる「質の高さ」の3点だ。
  • 要点
    2
    ワーカーはクラウドソーシングを活用することで、正社員と非正社員、仕事中心の人生と私生活中心の人生、都会と地方のギャップが縮小し、これまで難しいとされてきた自由な働き方を選択することができるようになった。
  • 要点
    3
    国内でも拡大を続けるクラウドソーシング市場だが、さらなる普及のためには、フリーランスの生活を保障できるような仕組み構築や受発注者の育成などの課題を解決していく必要がある。

要約

クラウドソーシングの仕組み

2nix/iStock/Thinkstock
クラウドソーシングとは何か

「クラウドソーシング」とはインターネットを活用したアウトソーシングを意味する。様々な企業がクラウドソーシングのプラットフォームを提供しており、職種や分野を特定せずに幅広い仕事を手掛けるところから、写真や翻訳など特定の分野に特化したところまである。

発注のスタイルも様々だ。発注者が依頼した案件に対していくつかのワーカーから提案を受け、そこから発注相手を選ぶプロジェクト型や、デザインやネーミングなどをコンテスト形式で募集し、そこから優れたものを選ぶコンペ型など。発注案件のタイプごとにふさわしいものを選択することができる。

「個人」を前提にした働き方が根付いている米国では既にクラウドソーシングが普及しており、市場規模は2013年時点で3000億円。2015年には1兆円市場になると見られている。

そのなかでも特に有名で規模が大きいのが「oDesk(オーデスク)」だ。オーデスクを介した仕事の発注額は年間400億円近くに上り、しかもオーデスクはこの3年間で毎年70%以上成長しているのだという。さらにオーデスクでは遠隔監視ソフトを用いて時給制の支払いを可能にしているほか、週30時間以上働くワーカーに対しては健康保険や退職金などの社会保障をサポートしている。「個」の働き方をバックアップするオーデスクは、会社に代わるインフラになりつつある。

クラウドソーシングのメリット①「早い」

クラウドソーシングのメリットは「早い」「安い」「質が高い」の3点だ。

「早い」というのは必要な人材を見つけられるスピードを表わしており、発注者が投稿した仕事をワーカーが見つけて契約にいたるまで、最短15分でマッチングが完了する。

従来の人材採用フローでは履歴書の提出や面接などの手続きが必要で、最低でも2か月はかかる。外注の場合でも、見積もり、稟議、契約書作成、といったプロセスに加えて顔合わせや相見積もりが必要となるケースも多く、どれだけ早くても2週間はかかってしまう。

こうした旧来のやり方がなくなることはないだろうが、スピードや臨機応変さが求められる現在のビジネスにおいて、クラウドソーシングは大きな威力を発揮するのである。

クラウドソーシングのメリット②「安い」
ilyast/iStock/Thinkstock

クラウドソーシングのもう一つのメリットは「安い」だ。仕事の発注相手が個人であるため、仕事の仲介者に支払う費用が発生せず、仕事そのものに対してのみフィーを払えばよいからである。

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要約公開日 2014.06.27
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