明日から仕事がうまくいく24のヒント

マーケティングプロフェッショナルの視点

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マーケティングプロフェッショナルの視点
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マーケティングプロフェッショナルの視点
出版社
出版日
2019年04月08日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

読者のみなさまは、マーケティングという仕事にどのようなイメージを持っているだろうか。広告などのコミュニケーションやメディアのプランニングに関わる人であれば、マーケティングを極めていくと、専門的な技術だけでなく、多様な視点と深い思考力も必要になることを実感しているだろう。それらは一朝一夕に身に付くものではない。マーケターのプロフェッショナルとともに働くなかで学べるものである。

しかし、誰もがそのような機会に恵まれるわけではない。より多くの人にマーケティングの真髄に触れてもらいたい――。そんな著者の願いから生まれたのが本書だ。

著者は、P&G、ダノンジャパン、ユニリーバ・ジャパンなど、世界の消費財のトップ企業で腕を磨いてきた人物である。本書には、応用性の高い「プロマーケター」の常識がちりばめられている。しかも、マーケティングやブランディングに関して、世界のマーケターの間で共通言語となっているコンセプトやフレームワークも扱っているという充実ぶりだ。それらは、国や業種の垣根を越えて広く共有されているものである。仕事をしているうちに、いつか同じ「言語」を話すマーケティングのプロフェッショナルに出会うかもしれない。そうしたチャンスがきたときに、共通言語を使う準備ができていれば、あなたのブランド価値も信頼も、よりいっそう高まるにちがいない。

ライター画像
山下あすみ

著者

音部 大輔 (おとべ だいすけ)
クー・マーケティング・カンパニー代表取締役
P&Gジャパン、マーケティング本部に入社。17年間の在籍中、ブランドマネジャー、マーケティングディレクターとしてアリエール、ファブリーズ、アテント、パンパースなどのブランドマネジメントを経て、US本社セントラルチームでイノベーションに関する知識創造プロジェクトのマーケティングサイを主導。帰国後、ダノンジャパン、ユニリーバ・ジャパン、日産自動車、資生堂などさまざまな文化背景、製品分野の企業でブランドマネジメントやマーケティング組織構築を指揮。2016年、CNET JapanのCMO Awardを資生堂ジャパンCMOとして受賞。2018年より株式会社クー・マーケティング・カンパニー代表取締役。博士(経営学 神戸大学)。

本書の要点

  • 要点
    1
    新しい価値を提案して変化をリードするのがマーケティングである。これに対し、ブランディングとはブランドの「意味」を確立することであり、その意味を具現化するのがブランドマネジメントである。
  • 要点
    2
    戦略とは、「目的達成のための資源利用の指針」である。効果的なマーケティング活動を行ううえで重要なのは、「目的の明確化」を徹底することだ。
  • 要点
    3
    ブランドを中心とした経営体制がブランドマネジメント制である。その主役となるブランドマネジャーがブランドの長期的な成長を牽引する。

要約

市場創造とブランドマネジメント

あなたのブランドの「競合は何か」
Creativeye99/gettyimages

競合先は必ずしも同じ業界の同じ形態のものとは限らない。自分のブランドが提供するベネフィットがどのような競合と市場を構成していくべきか。これを俯瞰することは、ブランド戦略を立てる際に重要とされる懸案事項の1つである。

例えば、ある万年筆の競合は何かを考えてみよう。競合は別の万年筆だけでなく、高級ボールペンかもしれない。紙に書く機能という意味では、100円のボールペンかもしれない。また、文字を記すという意味では、パソコンやタブレットも競合として考えられる。文字をコミュニケーション手段の1つと考えると、電話もそうかもしれない。

さらに視点を変えると、万年筆はギフトで購入されることが多いことに気づくだろう。このとき、競合は、ギフトの検討候補となるネクタイだと捉えられる。そうすると「お父さんが父の日にほしがっているのはネクタイではなく万年筆ですよ」というメッセージが有効だといえる。このように、万年筆同士の比較だけでは、もっと大きな市場を取り損ねてしまう。

マーケティングとブランドの定義

マーケティングとブランディングは、「消費者の認識に作用して、消費者行動に必然性を提供する企業活動」という点では共通している。だが、その役割には違いがある。マーケティングの最も重要な役割は、属性の順位を転換して「いい○○」を定義することである、そして、「いい○○」の新しい定義が市場を創造していく。消費者の嗜好が変化したから追いかけるのではなく、新しい価値を提案して変化をリードするのがマーケティングである。

一方、ブランディングは、ブランドの意味の確立をめざす。その過程で重要なのはパーセプション、つまり認識や知覚に影響を与えることであり、市場創造もブランディングも認識管理が必要となる。

ブランドマネジメントの要諦

ブランドの意味管理・意味づくりの活動を、ブランディングと呼ぶ。そしてその意味を具現化するのがブランドマネジメントである。

ブランドマネジメントの要諦は「市場」「ターゲット」「ベネフィット」の3つだといわれている。市場を定める際のポイントは、確立した市場を選ぶのではなく、競合と競い合う場を新たに市場と定義することだ。そしてターゲットとしては、既存の愛用者よりも、確立した意味やベネフィットに共感してくれる消費者層を据えるべきだ。さらに、ベネフィットに関しては、技術の進化によって生まれた「機能」ではなく、ブランドから得られる「消費者の期待」、その期待値を適切に設定しなければならない。

戦略の実践

目的と資源は、正しく明示できているか
HAKINMHAN/gettyimages

戦略を立てるときに注目すべき要素は、「目的」と「資源」に集約される。この場合、戦略を「目的達成のための資源利用の指針」と解釈すると理解しやすい。勝負において、論理的に勝つための第一歩が、目的を明確に意識することだ。目的が曖昧なままでは、目的が達成されたかどうかもわからない。マーケティングの活動でも、目的を明確にせずKPIを達成したとしても、KGIを達成できないことがある。

一般的に、競争に勝つときには、資源に恵まれているものだ。ただ、ジャイアントキリング(自分より強大な競合に勝つこと)の要諦は、現有資源をいかに強化するか、あるいは競合に資源をいかにうまく使わせないかである。こういった状況では、見えにくい資源を見通す視点が欠かせない。

現場の観察力を引き出すために、何を聞くべきか

「現場の声を聞こう」。これは、ビジネスの調子が悪いときによく聞くフレーズだ。とはいえストレートに聞くだけでは、単なる不満が噴出するだけのことも少なくない。現場の声を聞くのは、顕在化していなかったり言語化していなかったりする、現場でしか得られない知見を手に入れるためである。それを引き出すために効果的な3つの質問を紹介する。

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要約公開日 2019.09.19
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