本書のゴールは、「読み手に負担をかけないビジネス文章」を書けるようになることだ。ビジネス文章とは、報告書や論文、提案書、議事録など、ビジネスの世界で読み書きされる文章を指す。
ビジネス文章は、読みたいから読むものではない。必要にかられて読むものだ。だからビジネス文章を読む人は、できるだけ労力を使わず、必要な情報を入手したいと思っている。そのため書き手は、読み手に負担をかけない文章を書く必要がある。
読み手に負担をかけないために重要なことは3つある。まず、読み手になるべく文章を読ませずに、それでいて必要な情報を伝達することだ。必要な情報は読み手によって違うため、どんな文章にも必要な情報と不要な情報が混ざっている。そんな中で必要な情報だけを読めばいいようにしておけば、読み手の負担を減らせるし、ビジネスの生産性が上げられる。
2つめは、内容を一読で理解してもらえるようにすることだ。忙しい読み手は、文章を繰り返し読んだり、熟読したりはしてくれない。したがって、たった1回サッと読んだだけでわかる文章を書かなければならない。一度読んだだけでは理解できなかったり、違う意味にとらえてしまったりする可能性がある文章は、会社に莫大な損害を与えてしまうかもしれない。
3つ目は、重要な情報を記憶してもらえるようにすることだ。管理職は、誰にどのようなアクションを取らせればよいかを判断するための情報収集に、平均約30秒しか費やさないといわれている。だから忙しい管理職に対しては、30秒で情報を伝達できるような文章を書かなければならない。さもないと、無視されてしまうか、優先度を下げられてしまうか、不適切な処置をされてしまうだろう。30秒で漏れなく伝わり、一度読んだだけで記憶に残る文章であることが求められる。
読み手が内容を一読で理解できるような文章を構成するには、読み手のメンタルモデルに配慮する必要がある。メンタルモデルとは、人が頭の中に作る自分なりの理解の世界のことだ。読み手は、メンタルモデルに基づいて、次の展開を予想しながら文章を読んでいく。だから文章が予想通りに展開されていけば、情報を高速で処理することができる。
例えば「第1の原因は、」という書き出しに続くのは、原因の説明か、第2の原因だろう。こうした予想を裏切らないように文章を展開することが、理解しやすい文章を書くコツだ。
読み手に明確なメンタルモデルを作らせるためには、ポイントとなる情報を先に述べることだ。「~なのが原因です。~なのも原因です」と書くより、「第1の原因は~です。第2の原因は~です」とするほうがいい。
ポイントとなる情報を述べた後は、その順番を崩さず、それぞれのポイントについて詳しい説明を続ける。例えば、「原因はAとBとCです」と先に述べたなら、A、B、Cの順番で原因の詳細や対策を述べよう。
いよいよ書く技術の詳細に触れていく。本書では、「『書く技術』が驚くほどアップするビジネス・ライティング7つの法則」として、7つの項目が挙げられている。本要約でも一つひとつ紹介する。
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