改訂新版 書く技術・伝える技術

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改訂新版 書く技術・伝える技術
出版社
出版日
2019年06月27日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

著者によると、日本人は「悪文によって仕事の生産性が落ちていても、それに気付いてもいない」という。これは衝撃的であった。これは、書く技術を学ぶ機会が少ないことに原因があるそうだ。実際、アメリカでは、学校教育の中で効果的なコミュニケーションのための文章作成法を学ぶという。時折読みづらく感じる本に出会うのは、読み手側の問題ではなさそうだ。

本書は、論理的な文章の書き方を学んだことのあるなしにかかわらず、全てのビジネスパーソンをターゲットに、書く技術・伝える技術を習得させることを目的にしている。最終的な目標は、読み手に「読ませない」文章を書けるようになることである。本書で提唱される7つの法則を知り、実践することで、伝えたいことが読み手に正しく伝わる。ビジネス文章を書けない、思うように伝わらないという悩みが一気に解消されるだろう。

また著者は、書く技術は経験だけでは身につかず、実践が必要なものだという。そこで本書では、随所に「トレーニング」を設けたり、「実践編」として提案書や調査報告書、技術報告書、回答書、作業指示書の作成という課題を提示したりしてくれている。読者は、一つひとつステップを踏んでいけばよい。

ビジネスパーソンは、一日の中で何度もビジネス文書を書いている。書く力に自信がない方はもちろん、ライティングの効率を上げたい方にも迷わず読んでいただきたい。きっと今後の仕事に役立つはずだ。

ライター画像
加藤智康

著者

倉島 保美(くらしま やすみ)
1961年東京生まれ。85年東京大学工学部卒業。同年NEC入社。92年よりライティングの指導を開始。03年NECエレクトロニクスを退職。現在、有限会社ロジカルスキル研究所代表取締役。英語、日本語のライティング、プレゼンテーション、ディベート、論理的思考法についての指導を企業や自治体、大学などで年間150回以上行っている。著書に『論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』や『論理が伝わる 世界標準の「プレゼン術」』(ともに講談社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    本書のゴールは、「読み手に負担をかけないビジネス文章」を書けるようになることだ。良いビジネス文章とは、読み手が少ない労力で必要な情報を入手でき、かつその情報を記憶しておけるような文章である。
  • 要点
    2
    良いビジネス文章を書くための7つの法則は、「文章の冒頭に重要な情報をまとめる」「詳細はパラグラフを使って書く」「パラグラフの冒頭に要約文を書く」「文頭にはすでに述べた情報を書く」「並列する情報は、構成と表現をそろえる」「ポイントはひとつに絞る」「無駄なく簡潔に書く」だ。

要約

「読み手に負担をかけないビジネス文章」とは

漏れなく伝わり、記憶に残る文章である
Cecilie_Arcurs/gettyimages

本書のゴールは、「読み手に負担をかけないビジネス文章」を書けるようになることだ。ビジネス文章とは、報告書や論文、提案書、議事録など、ビジネスの世界で読み書きされる文章を指す。

ビジネス文章は、読みたいから読むものではない。必要にかられて読むものだ。だからビジネス文章を読む人は、できるだけ労力を使わず、必要な情報を入手したいと思っている。そのため書き手は、読み手に負担をかけない文章を書く必要がある。

読み手に負担をかけないために重要なことは3つある。まず、読み手になるべく文章を読ませずに、それでいて必要な情報を伝達することだ。必要な情報は読み手によって違うため、どんな文章にも必要な情報と不要な情報が混ざっている。そんな中で必要な情報だけを読めばいいようにしておけば、読み手の負担を減らせるし、ビジネスの生産性が上げられる。

2つめは、内容を一読で理解してもらえるようにすることだ。忙しい読み手は、文章を繰り返し読んだり、熟読したりはしてくれない。したがって、たった1回サッと読んだだけでわかる文章を書かなければならない。一度読んだだけでは理解できなかったり、違う意味にとらえてしまったりする可能性がある文章は、会社に莫大な損害を与えてしまうかもしれない。

3つ目は、重要な情報を記憶してもらえるようにすることだ。管理職は、誰にどのようなアクションを取らせればよいかを判断するための情報収集に、平均約30秒しか費やさないといわれている。だから忙しい管理職に対しては、30秒で情報を伝達できるような文章を書かなければならない。さもないと、無視されてしまうか、優先度を下げられてしまうか、不適切な処置をされてしまうだろう。30秒で漏れなく伝わり、一度読んだだけで記憶に残る文章であることが求められる。

読み手のメンタルモデルに配慮している
undrey/gettyimages

読み手が内容を一読で理解できるような文章を構成するには、読み手のメンタルモデルに配慮する必要がある。メンタルモデルとは、人が頭の中に作る自分なりの理解の世界のことだ。読み手は、メンタルモデルに基づいて、次の展開を予想しながら文章を読んでいく。だから文章が予想通りに展開されていけば、情報を高速で処理することができる。

例えば「第1の原因は、」という書き出しに続くのは、原因の説明か、第2の原因だろう。こうした予想を裏切らないように文章を展開することが、理解しやすい文章を書くコツだ。

読み手に明確なメンタルモデルを作らせるためには、ポイントとなる情報を先に述べることだ。「~なのが原因です。~なのも原因です」と書くより、「第1の原因は~です。第2の原因は~です」とするほうがいい。

ポイントとなる情報を述べた後は、その順番を崩さず、それぞれのポイントについて詳しい説明を続ける。例えば、「原因はAとBとCです」と先に述べたなら、A、B、Cの順番で原因の詳細や対策を述べよう。

【必読ポイント!】 ビジネス・ライティングを改善する7つの法則

(1)文章の冒頭に重要な情報をまとめる

いよいよ書く技術の詳細に触れていく。本書では、「『書く技術』が驚くほどアップするビジネス・ライティング7つの法則」として、7つの項目が挙げられている。本要約でも一つひとつ紹介する。

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要約公開日 2019.10.28
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