本来、組織やチームにとってミーティングは必要不可欠なものだ。ミーティングがなければ、チームワークや協力関係、メンバーの帰属意識を高めることもできない。また、問題解決をみんなで共有できるといった効果がある。
しかし現実には、「悪いミーティング」が多数存在する。多くのリーダーは、無駄なミーティングを必要悪と考えて、放置しているのではないだろうか。
まずはミーティングにかかるコストを考えてみよう。米国では1日に5500万回ミーティングが行われている。人件費などのコストは約1兆4000億ドル、2014年の米国GDPの8.2%にも及ぶとされる。加えて、悪いミーティングは「機会損失コスト」「心理的なコスト」という間接コストを伴う。こうしたことから、悪いミーティングはコストの大いなる無駄使いといえる。
経営の神様、ドラッカーは、「ミーティングは悪い組織に特有の病状である。少なければ少ないほどいい」と語っていた。しかし、ミーティング自体は必要であり、大事なのはミーティングを改善することだ。
著者はミーティングをより生産的で効果的な時間に変えるために、「ミーティング学」の研究を進めてきた。ミーティング学とは、ミーティングを科学的に、集団力学の観点から研究する学問分野である。その対象は「構造」「意思決定のスタイル」「遅刻」「団結力」など、実に幅広い。また、現場に介入してデータを集めることも重要視する。科学×現場で様々な手法を使うことにより、ミーティングの多様な側面、ミーティングを成功に導く秘訣を知ることができる。
人間は自分を過大評価する傾向にある。それゆえ、ミーティングにおける自分のリーダーシップを正しく評価することは難しい。著者らが行った調査によると、ミーティングのリーダーは、一般出席者に比べてミーティングの出来に高い点数をつけるという。また、たくさん発言した人ほど満足度が高くなるという結果もある。しかし、出席者の評価はそれとはまったく異なるものだ。リーダー層は自分のリードするミーティングを過大評価し、自分の欠点や弱みが見えなくなっている。それは参加者にとっても不幸なことだ。
リーダーが自己を正しく評価するためには、自分がリードするミーティングの実態を知ることが欠かせない。具体的な評価ポイントは次の通りだ。参加者がスマホで別作業をしている、関係のない雑談をしている、リーダーばかりが発言をしている、出席者の1人か2人が発言を独占している。こうした様子が見受けられるなら、改善に向けた努力が必要となる。
ミーティングの正式な評価を受けるには、アンケートをとるとよいだろう。アンケートでは次の3つの質問をするとよい。(1)私の行動のうち「リーダーにふさわしくないこと」(やめるべきこと)は何か、(2)「新しく始めなければならないこと」は何か、(3)リーダーとして「うまくやっていること」(今後も続けること)は何か、である。
ミーティングで理想とされるリーダーは、チームのサポートに徹する「サーバント・リーダー」である。サーバント・リーダーは他者の成功を助け、メンバーがそれぞれ才能を発揮し、より効率的にチームの目標を達成することを促すリーダーだ。
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