片づけたくても片づけられないのは、能力が足りないからではない。脳のバランスが悪いからだ。
「言語性知能」と「動作性知能」のどちらかだけが優れていると、物事の優先順位がつけられず、片づけに集中することや、必要なものと不要なものを仕分けることができない。たとえば著者の場合、「片づけをやらなければ!」と思っていても、そこに雑誌が落ちていると「雑誌に対する興味」が上回ってしまって片づけられなくなるという。
このような状態の人は、片づけだけでなく、掃除もできない。部屋にホコリがたまっていることには気がついても、ついダラダラしてしまう。
これも脳内の優先順位の問題である。このようなタイプの人に「片づけ」を無理矢理やらせようとすると、かえって気持ちが落ち込んでしまったり、むしゃくしゃして気分が不安定になってしまったりすることがあるので注意が必要だ。
完璧主義者は、「汚い部屋をきれいにしたい!」と思っても実際に行動に移せないことがある。なぜなら、やるからには完璧にやりたいと考えるからだ。「あれも、これも」と頭の中でいろいろ想像した結果、あきらめてしまう。読んでいない本を捨てたくても、本の内容をきちんとチェックしなければならないと思って尻込みする。さらには、ただ捨てるのではなく、不要な本を古本屋さんに持って行くことを考えて、めんどうになってしまう。頭の中で計画しているだけで疲れてしまい、結果的にいつまでたっても部屋が片づかない。
また著者は、大学生の時に突然片づけができるようになるという不思議な体験をしたことがある。実家から離れて母親の意識が届かないところに住み始めた途端、どんどん片づけられるようになったのだ。
大人になってこの経験を振り返ると、母親の嫉妬が根源にあることがわかった。著者の母親も、ものを捨てるのが苦手なタイプだ。著者が部屋をきれいにしようとすればするほど、母親からの「私よりもきれいにするなんてずるい!」という嫉妬の気持ちを敏感に感じ取ってしまい、その結果、片づけに手を出せなくなってしまっていたのだ。
本書では、「片づけられる自分に変わる方法」として、いくつかの方法が紹介される。要約ではそのうち、3つを取り上げる。
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