人工知能(AI)と人間の対立論争は、全くもって意味がない。「AIが仕事を奪う。人間の将来は大変なことになる」「雇用問題にどう対処すべきか考えもつかない」といった意見に代表されるように、AIの登場に対して漠然とした危機感を抱く原因は何であろうか。あるいはまったく無視してしまうのはなぜだろうか。それはひとえに、これらの感覚をもつ人びとが、未来の世界に対する展望を持っていないことにある。
これからの日本、そして金融がどのような世界となるか。それを予想することが、経営そのものだ。「他社が導入したので、当社も何らかのAIを導入しなくては」というような、世界観なきAIの導入では、成功することは難しいだろう。加えて大事なのは、AIと人間の協業を創造することである。本書は、それについて具体的で有意義なプロセスを提示する。
デジタルツールを使いこなす「新人類」は、すでに若者だけではない。60代間近の人もデジタル・ネイティブといえよう。テレビを見なくても、スマートフォンを通じてネットフリックスなどで大量のデジタル消費を行なっている。タクシーはもはやスマホ配車が当たり前となった。タクシーが迎えに来る状況を地図アプリで確認でき、車内のタブレットには顧客向けにカスタマイズされたデジタル広告が流れている。楽しいショッピングのお会計は、お得なクレジットカードで支払われ、現金払いはほぼ行われない。私たちの生活は、すべてにおいてデジタルの世界で営まれている。
そうした環境を後押ししているのが、あらゆるものをインターネットに連結するIoT、誰もがほかの電子データにアクセスできるオープンAPI、高速・大容量通信に耐えられる5Gといった最新技術だ。こうして経済取引は、常時電子連結、多次元相互、即時共鳴によってなされるようになっている。
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