多くの読者が実感していると思うが、コンピューターサイエンスは驚くほどのスピードで進化して、私たちの生活の一部となっている。
本書では、基本的なコンピューターサイエンスについて、ハードウェア、ソフトウェア、コミュニケーションの側面からそれぞれ確認する。10年後には、本書に書かれている内容は古くなる点もあるだろう。しかし、デジタルシステムの基本的なアイディアは共通しているので、いま知識を得ておけば、未来のシステムについても理解できるようになる。またコンピューターサイエンスについての知識は、コンピューターと自分自身との付き合い方やこれからの社会を考える上で、重要な判断材料となるはずである。
ハードウェアは、見たり手を乗せたりすることができる機器や装置を指す。単純なPCについて考えてみると、プロセッサーと一次記憶、そして二次記憶すなわちディスクがある。それに加えて、ディスプレイやマウス、キーボードなどのコンポーネントがあり、全てがバスとよばれる線で接続されている。
プロセッサーあるいはCPUは、人間でいえば脳に該当する。CPUが計算を行い、データを移動させ、他のコンポーネントの動作を制御する。CPUは、データを比較し、その結果に基づいて次に自分が何をするかを決定できる。そのおかげで、人間のオペレーターからは独立して、システム全体を自分の判断で実行していけるのだ。
一次記憶またはランダムアクセスメモリー(RAM)は、コンピューター使用時に利用される情報を記憶しておく部分である。ランダムアクセスと呼ばれる理由は、情報がどこに保存されていても、読み出すためにかかる時間が変わらないからである。ビデオテープなどに使用されているシーケンシャルアクセス方式では、最終シーンをみるために最初から順送りをする必要がある。ランダムアクセスであれば、どの部分にも同じスピードでつながることができる。手持ちのコンピューターを速く動かしたいと考えるならば、追加のRAMを買うのが最善ということだ。
ただし多くのデバイスでは、RAMで保存された情報は電源を切ると消えてしまうため、情報を長く保持するための二次記憶装置が必要となる。
3,400冊以上の要約が楽しめる