筋の良い仮説を生む問題解決の「地図」と「武器」
筋の良い仮説を生む問題解決の「地図」と「武器」
筋の良い仮説を生む問題解決の「地図」と「武器」
出版社
朝日新聞出版

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出版日
2020年03月19日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

世の中が複雑化するにしたがい、問題解決力の重要性はますます増してきている。あらゆる現場で、誰もが日々それぞれの問題と格闘している。だが何を考えればいいかわからず、思考停止してしまう場面も多いのではないだろうか。そんなときの救世主となるのが本書である。

著者はマッキンゼーやリクルート等を経て、いまは株式会社ビジネス・ブレークスルーの問題解決力講座の責任者を務めており、法人研修やBBT大学の講師としても登壇している。だが当初は、問題解決に苦手意識があったという。そんな著者だからこそ、現場のニーズに即した、本当に使える「新しい問題解決の教科書」を書けたのだろう。

何か問題を解決しようとするとき、私たちはまず情報収集をしようとする。インターネットを使えば、世界中のあらゆる情報の収集が可能だ。だがその量は膨大であり、情報の海で途方に暮れるのがオチである。そうならないためにはどうすればいいのか。

本書では問題解決に必要なものとして、「問題解決マップ」と「7つの武器」が示されている。RPGにおいては「地図」と「武器」がかならずあるものだが、現実も同様だ。地図がなければ、いまいる位置も進むべき方向もわからない。そして武器を有効に使えば、より良い結果が得られる。

正しい地図と武器が手に入れば、きっとハッピーエンディングにたどり着ける。ぜひ本書とともに、問題解決の旅に出かけよう。

ライター画像
金井美穂

著者

高松康平 (たかまつ こうへい)
株式会社ビジネス・ブレークスルー執行役員。問題解決力トレーニングプログラム講座責任者。ビジネス・ブレークスルー大学専任講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。その後、リクルート等を経て現職。現在は「考える力」を中心に様々な教育プログラムを提供するビジネス・ブレークスルーにて、教育コンテンツ開発室長を務め、年間5000名以上が受講する「BBT問題解決力トレーニング」の講座責任者でもある。自らも法人研修講師として年間約100日登壇している。2019年7月からは毎日1題10分考えるオンラインサービス「BBTルーティン」を提供中。

BBT大学 https://bbt.ac/
BBT大学オープンカレッジ https://www.lt-empower.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    ビジネスリーダーが注力すべきは、仮説検証型の問題解決である。その要となるのが「筋の良い仮説力」だ。
  • 要点
    2
    問題解決をするうえでは、現状理解(WHERE)、本質的課題発見(WHY)、解決策立案(HOW)という順に取り組んでいくことが求められる。
  • 要点
    3
    重要なのは「事業部長の視点」を持つことだ。事業全体を俯瞰して知り得た情報から、原因としてもっともありえそうな仮の答えを設定していくこと、それが筋の良い仮説力となる。

要約

本書の概要

問題解決に必要なのは仮説力:「地図」と「武器」を手に入れよ
libre de droit/gettyimages

本書は若手向けでも経営者向けでもない。ビジネスリーダー(課長・係長)向けの問題解決力を説いたものである。ビジネスリーダーは、部分ではなく事業全体を見渡したうえで、取り組むべき課題を自ら探り当てていかなければならない。そこで求められるのは事業全体を俯瞰して推論する力、つまり「筋の良い仮説力」であり、仮説検証型の問題解決力である。

問題解決にあたって重要なのは情報だ。しかし多くの人は、明確な目的もなく情報収集に走ってしまい、解決への道筋を見つけられず迷子になってしまう。それでは非常に効率が悪い。まず筋の良い仮説を立ててから、その仮説検証に必要な情報を集めたほうが、問題解決ははるかに容易になる。

本書では、問題解決で迷子にならずに進むべき道を確認するための「地図」(問題解決マップ)と、筋の良い仮説を立てるための「武器」を紹介していく。

まずは「地図」を手に入れよ:問題解決マップ

問題解決で大切になるのが、自分の立ち位置を把握することだ。進むべき方向のあたりをつけ、軌道修正が必要かそうでないか、進んできた道を評価しなければならない。

そのために有用なフレームワークが問題解決マップだ。これは問題解決の筋道を、「現状理解(WHERE)」、「本質的課題発見(WHY)」、「解決策立案(HOW)」の3つに分類するものである。各ステップの取り組み内容は次のとおりだ。

まず現状理解(WHERE)においては、現状を分析して問題が起きている場所を特定し、何を問題として定めるかを考える。多くの人は、ここを飛ばしてWHYの部分から考えてしまうが、現状理解なくして筋の良い仮説は生まれない。

次に本質的課題発見(WHY)では、仮説に沿った情報を収集し、それらの情報を要約する。そして本質的課題が何かを考える。

解決策立案(HOW)では、問題解決の大きな方向性を決めたうえで、具体的なアイデアを考える。方向性を決めないままアイデアを出すと、単なる思い付きに終わってしまうからだ。そして最後にアイデアを評価し、実行策を決定する。

現状理解(WHERE)

現状分析:こだわりを持って分ける
Chainarong Prasertthai/gettyimages

ここからは架空のケースを設定し、問題解決マップにおける3つのプロセスを、さらに7つのステップに分けて解説するとともに、それぞれのステップにおける「武器」を紹介していく。

舞台は東京都心で10店舗を展開するオーダースーツの店、株式会社スーツスペシャルの有楽町店だ。これまで順調に業績を伸ばしてきたが、最近は広告費率が上がり、売上が低迷している。今回店長であるあなたは、売上回復のための特別プロジェクト責任者に任命された。本質的課題を発見し、その解決策を社長に提案しなければならない。

問題解決は、起きている現象の細分化から始まる。とにかく丁寧に分けることが肝心だ。会社や組織は複数の要素で成り立っている。問題とはそうした複合体の中で均等に発生するのではなく、どこか特定のポイントで生じることが多い。問題の発生場所を突き止めるためには、分ける作業が何より大事になる。それが問題解決の成否を左右するほどに。

ここでの武器は、「こだわりを持って分ける」ことだ。

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要約公開日 2020.06.29
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.Copyright © 2020 高松康平 All rights reserved. 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権は高松康平、株式会社フライヤーに帰属し、事前に高松康平、株式会社フライヤーへの書面による承諾を得ることなく本資料およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。
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