令和の時代を迎えた今、終身雇用がこれ以上続けられないことを私たちははっきりと自覚した。組織が個人の生活を一生守ってくれる時代は過去のものとなったのだ。個人が組織に依存せず、1人でも、つながりながら働く時代になりつつある。
高度に発達した情報化社会では、「役に立つ」だけの機能やスキルはすぐに模倣されて勝負にならない。これからの時代は、「他の誰かではなく、あなたに仕事を頼みたい」と言われるような、誰かにとって「意味のある」存在になることが求められる。信頼の根拠になるのは、偏差値ではない。SNSのフォロワー数でもない。そうした「数字のオバケ」に負けず、肩書きや学歴でなく、実践で証明された経験を持つ「バトルテスティッド」な人材が必要とされているのだ。
誰かに喜んでもらうためのGIVE(ギブ)を積み重ねていると、バトルテスティッドな経験値も積み上がる。特定の誰かにとって「意味のある」存在になることは、いずれ「何者かになる」ことにつながっていく。そのためには、まず数字を追いかける世界からおりなければならない。
コロナショックは、生活基盤が足元から崩れていくような経験を私たちにもたらした。そんな中で目を引いたのは、大量のキャンセル商品を抱えることになった農業や漁業の関係者たちが、Facebookを通じて各地の支援者とつながり、サポートし合う様子である。
個人がこのような「互助・共助のつながり」をつくっていくことは、今後も重要になるだろう。物理的に離れた場所にいる者同士がつながることで、物事を多角的に見られるようになるだけでなく、非常事態にある相手をもう一方がサポートすることをも可能となるからだ。
ここでちょっと視点を変えて、ビジネスにおけるつながり・信頼関係についても考えてみよう。多様性あふれるグーグルでは、同じ価値観を共有しているグーグルの仲間である限り、相手を無条件で受け入れて仕事を進めるのが常だ。「人を疑うことこそ無駄なコスト」であるからだ。これは「ハイパー性善説」とでも言えよう。相手を信頼して自分の知識やノウハウをギブする。そのほうが、アイデアは加速度的に進化し、アウトプットは圧倒的なスピードで生み出され、結果的に自分の可能性が広がっていくことになる。
与える行為=ギブには2種類ある。
3,400冊以上の要約が楽しめる