ゼロからはじめる力

空想を現実化する僕らの方法
未読
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ゼロからはじめる力
出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2020年04月15日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

堀江貴文氏が宇宙ビジネスを手がけている――そう言われてもピンと来ない人もいるかもしれない。しかし、「ホリエモンロケット」という言葉は、聞いたことがある人も多いだろう。本書は、堀江氏が設立したロケット開発・打ち上げ会社「インターステラテクノロジズ」(IST)のこれまでとこれからが書かれた一冊だ。

IST社はすでに宇宙空間に達する観測ロケットを成功させ、今は衛星を打ち上げるためのロケットの開発を進めている。冷静に考えてみれば、ゼロからはじめて宇宙空間に達するロケットを作るというのは、とんでもないことだ。本書でも触れられている通り、実現の秘訣はとにかく動いて試行錯誤し、ノウハウを手に入れることだという。

では、なぜ堀江氏はロケットを作るのか? その理由は2つある。一つは、ビジネスとして大きな成長が見込まれるから。もう一つは、自動車産業に代わって日本を支える産業になると考えているからだ。

ロケットが自動車に代わる産業となるという主張は、にわかに信じがたいかもしれない。しかし本書では、その根拠がきわめて合理的に述べられている。あなたも、きっと納得するはずだ。

いま世界では、「ニュースペース」と呼ばれる、宇宙開発を手がけるベンチャー企業が次々と立ち上がっている。各国に堀江氏と同じ未来を見ている人々がたくさんいるのだ。日本のニュースペースの旗手が著した本書は、次世代ビジネスの潮流を学ぶにあたり、非常に有効な一冊だといえるだろう。

ライター画像
ヨコヤマノボル

著者

堀江貴文(ほりえ たかふみ)
1972年福岡県生まれ。実業家。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。インターステラテクノロジズ株式会社ファウンダー。元・株式会社ライブドア代表取締役CEO。東京大学在学中の1996年、23歳でインターネット関連会社の有限会社オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)を起業。2000年、東証マザーズ上場。2004年から2005年にかけて、近鉄バファローズやニッポン放送の買収、衆議院総選挙立候補など既得権益と戦う姿勢で注目を浴び、「ホリエモン」の愛称で一躍時代の寵児となる。2006年、証券取引法違反で東京地検特捜部に逮捕され、懲役2年6カ月の実刑判決。2011年に収監され、長野刑務所にて服役するも、メールマガジンなどで獄中から情報発信も続け、2013年に釈放。その後、スマホアプリのプロデュースや、2019年5月に民間では日本初の宇宙空間到達に成功したインターステラテクノロジズ社の宇宙ロケット開発など、多数の事業や投資、多分野で活躍中。

本書の要点

  • 要点
    1
    堀江氏が設立したインターステラテクノロジズ社は、宇宙空間に到達するロケット「MOMO」の打ち上げに成功した。続いて小型ロケットの開発も進めている。
  • 要点
    2
    いま、世界中で、衛星の数に対してロケットの数が全く足りていない。十分な性能を持つロケットが開発できれば、市場をある程度寡占することも夢ではない。
  • 要点
    3
    電気自動車の登場で、日本の自動車産業は崩壊の危機にある。日本の産業を救うために、ロケット産業への投資を進めるべきだ。

要約

なぜ、僕は宇宙を目指すのか

インターステラテクノロジズとは
Elen11/gettyimages

インターステラテクノロジズ(IST)は、著者・堀江貴文氏が2013年1月に設立した宇宙ベンチャーで、ロケットを開発し、打ち上げサービスを実施する会社だ。立ち上げから7年、ISTは弾道飛行を行なう観測ロケット「MOMO(モモ)」を開発、2019年に打ち上げた「宇宙品質にシフト MOMO 3号機」(以下、MOMO 3号機)は高度100km以上の宇宙空間に到達した。民間企業が民間資金で開発したロケットが宇宙空間に到達するのは日本初の快挙であり、世界的に見ても政府系組織以外の民間企業としては9社目だ。

ISTの本社は北海道広尾郡大樹町にある。十勝平野の中核都市である帯広市から南に約50km離れた酪農と農業の町だ。社屋はもともと農協のマーケットだった建物で、打ち上げ場として、かつて防衛省がジェットエンジンの運転試験をしていた町有地を借りている。

ロケットが足りない

いま世界では、「ニュースペース」と呼ばれる、宇宙産業に関するベンチャー企業が続々と立ち上がっている。イーロン・マスク氏の設立したスペースX社や、ジェフ・ベゾス氏によるブルー・オリジン社などが代表格で、スペースXはすでに大掛かりな衛星の打ち上げを成功させている。

これらの企業の狙いは、今後大幅に増えるであろう衛星打ち上げ需要の取り込みだ。特に重さ500kg以下の小型衛星は、2027年までに累計で7000機が打ち上げられるとの予測もある。

現在、衛星の打ち上げができそうな企業は、世界に数社しかない。打ち上げたい衛星に対して、圧倒的にロケットが足りない状況だ。ISTは、この市場への参入を目論んでいる。

宇宙産業の発展がもたらすもの

宇宙開発や宇宙ビジネスという言葉は知っていても、その実態はよく知らないという人も多いだろう。しかし、いまの日本で宇宙に関わりを持たずに生きている人はほとんどいない。スマホやカーナビの位置情報が得られるのは衛星が飛んでいるからだし、天気予報やBS放送にも衛星は不可欠だ。

今後は、より細かいニーズに沿った衛星ビジネスが生まれてくるだろう。たとえば自動運転を実現するための位置情報や、世界のどこにいても使えるインターネット、漁業のための地球観測、さらには、店舗の駐車場の空き具合から業績を予測するなどといったことにも、衛星は活用できるはずだ。宇宙空間そのものを利用した、宇宙旅行や宇宙ホテルの計画もある。衛星の用途が多様になればなるほど、産業の裾野も広がり、結果として大きな雇用が生まれる。

宇宙を身近にする
3DSculptor/gettyimages

いま、宇宙にモノを届けるとしたら、いくらかかるのか。

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要約公開日 2020.06.20
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