働きざかりのビジネスパーソンである主人公は、突然、余命3か月であると宣告を受けた。妻の志織、幼い娘の晴香と3人で暮らすマンションのローンを払うために、満員電車に揺られ仕事に向かう日々。そんな日常が当たり前のように続くと思っていたときのことだった。
自分がいなくなれば、持病のある志織が、幼い晴香を一人で育てることになる。ショックや不安や怒りなどといった感情が入り混じるなか、主人公はゾウの神様、ガネーシャと出会う。ガネーシャができることは、主人公の寿命を延ばすことではない。「天啓」、つまりは「アドバイス」を与えることだけだ。
ガネーシャとともにやってきた死神は、主人公の寿命を表すろうそくを手にしていた。ろうの部分がかなり短くなっていて、儚げな炎がゆらめいている。この火が消えるまでは残り90日だという。
死に際に正しい行動をとれる人間は少ない。こんなときこそ、助言を受けることが重要なのだ――そう死神に諭され、主人公は半信半疑のままガネーシャに教えを乞うことになる。「教えが理解できなくても必ず実行する」という注意事項のもと、ガネーシャからの「課題」をこなす日々が始まった。
ガネーシャからの最初の課題は「健康に良いことを始める」だった。余命宣告をされた病人には酷な課題だ。今さらそんなことを始めて何になるのかという主人公に、死神は、人間は死に際に健康を大切にしなかったことを後悔するのだと語る。暴飲暴食や喫煙など、健康に悪い習慣だけではない。体の異変を感じつつも、目の前の仕事を優先して病気を放置してしまい、手遅れになったことに後悔する人は大勢いる。
残りの命を悔いのないように使い切るようにと進言された主人公は、寝る前にストレッチをすることを決める。首や腰に仕事の疲れを溜めないようにと以前から勧められてはいたが、実行に移してはいなかったのだ。
そんな主人公に、ガネーシャは伊能忠敬の話を始める。伊能忠敬は健康を保つために食事や睡眠のスケジュールを管理し、規則正しい生活をしていた。自分の行動を徹底的に管理していたからこそ、日本地図を作るという大事業を正確に進めることができたのだ。
健康に気を遣うということは、長生きのためだけではなく、自分の行動を管理し、目標を達成しやすくするという効果もある。つまり、健康に気を遣うことが、夢への第一歩だというわけだ。
自分がこの世を去った後、妻子が暮らしていくためには、まとまったお金が必要だ。そう考えた主人公は、ギャンブルでその費用を得られないかと考え、ガネーシャとともに馬券を買う。まさに神頼みのギャンブルであったが、あっけなく負けてしまった。
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