心穏やかに。の表紙

心穏やかに。

人生100年時代を歩む知恵


本書の要点

  • 心を健やかにするためには、まず体の健康を大切にしよう。体の健康が、心を含めたすべての健康の源になるからだ。

  • 社会で生きるにあたって、他人との関わりは避けられない。ストレスを溜めないために、嫌な人とでもうまくつきあうか、嫌なことはすぐに断るようにしよう。

  • 嫌な出来事を忘れるには、異なる活動を2つ、3つ続けて行い、時間の流れを変えるのが効果的だ。「講演」「瞑想」「音楽」などといったようにこなしていけば、嫌な出来事が遠い昔のことのように感じられるはずだ。

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小林弘幸氏【思索編】人の心は弱いもの

がまんの閾値をコントロールする

心穏やかに生きられるのは、もともと精神の強い人だけではないか。そう思っている人も少なくないだろう。だが、この世に心の強い人間など存在しない。心が強いと思われている人も、本当は必死に強いふりをしているだけだ。だからこそ、自分と他人を比べて「自分は心が弱いからダメなのだ」とは思わないでほしい。「人間の心は弱いものだ」と認めることが、心を穏やかにするための重要な一歩になる。たとえば今、厳しい状況に置かれているとしたら、「このラインを超えたらやめよう、逃げよう」という自分の「がまんの閾値(いきち)」をどこまで上げていくかがポイントになる。閾値を自分自身でコントロールできるという意識を持つことで、心に余裕が生まれるはずだ。

ストレスのかかる状況からは早めに抜け出す

PKpix/gettyimages

人生の中で、絶望的な状況に陥ることは残念ながらある。どんなことが起きたとしても、人生が悪い運命へと走りはじめたときに「どこでどのようにこの状態から抜け出すか」を考えることが、その後の人生を生き抜くために重要だ。苦しみの記憶はなかなか消えるものではない。それでもどうにか抜け出して新しい人生に舵を切ることができれば、歩みを進められるはずだ。だが多くの人は、ストレスのかかる状況から抜け出せないまま、苦しい記憶に苛まれ、それを引きずりながら生きている。その結果、先に待っているはずの新しい希望を見逃し、せっかくの人生経験を活かせず、無駄な時間を過ごしてしまっている。苦しくてもつらくても、心穏やかに生きることはできるものだ。その鍵になるのは、体と心を司る「自律神経」のシステムだ。自律神経については、後述する。

まずは体を健康にする

心穏やかに生きられたら、健康になるのはもちろんのこと、対人関係における苦労も格段に減っていく。そんな状態をつくり上げるための根本となる考え方が、「心技体」ならぬ「体技心」だ。まず何よりも重要なのが、「体」の健康だ。体の健康が、心を含めたすべての健康の源になるからだ。たとえば、腸内環境を整えれば、体のなかのホルモンバランスや体内リズム、体温調整や血流に至るまで、すべてが整う。自律神経のバランスと腸内環境が体の調子を維持する基盤となっていると言っても過言ではない。しかし、人間は常に体のコンディションが万全なわけではない。そういったときにどのように立て直せばいいのか、あるいは体調を崩さないようにどのような習慣を持つべきなのか。それは「技」の問題だ。「技」さえ身につければ、どんな人でも簡単に体調を整えることができる。いずれにせよ、「体」に「技」がついてくれば、「心」は自然と整っていくと考えていい。「技」については、後のパートで紹介する。

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齋藤孝氏【思索編】取り戻すべき精神

ビビらず行動する

Asia-Pacific Images Studio/gettyimages

自分のなかにある溢れんばかりのエネルギーをより大きな目的や志のために使うには、「勇気」が必要だ。勇気は、いろいろなものを獲得していく原動力になる。勇気がなければ、なにをやるべきかわからないし、やるべきことを行動に移すこともできない。そして行動しなければ、次のステップは見えてこない。行動するにあたって、「ビビる」ことは最悪だ。

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要約公開日 2020.09.26
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