本書におけるコンタクトレス・アプローチとは、客先へのリアル訪問(コンタクト)を減らし、WEB等を活用してアプローチ数を増やすことで、より大きな成果を上げる一連の営業行為のことである。リアル訪問をコンタクトレス(非接触)に切り替えることで、営業パフォーマンスは落ちるかもしれない。しかし、コンタクトレスに切り替えることによって生まれた時間や労力を使って、アプローチ数を増やすことができる。結果としては全体のパフォーマンスは上がるという計算だ。
リアル訪問での商談では、たとえ近場であっても交通費や移動の時間がかかる。商談時間1時間のために1時間の移動時間をかけていたとすれば、移動がなければその時間で他の企業にアプローチすることが可能なはずだ。
営業先が遠方であればさらに高額な交通費と、場合によっては宿泊費も必要になり、商談のためだけに多大な時間とコストがかかっている。コンタクトレス・アプローチの実践はアプローチ数を増やすだけでなく、時間とコストを大幅に削減することにもつながるのだ。
コンタクトレス・アプローチには、資源を無駄遣いせず、環境にやさしいというエコの視点からのメリットがあるだけでなく、時間効率がよく、経済コストを削減できるというエコノミーの視点からのメリットもある。これらのメリットがあるからこそ、コロナ危機がなくともコンタクトレス・アプローチに移行すべきなのだと著者は主張する。
そうは言っても、先方から「会いたい」と申し出があったとき、「コンタクトレス・アプローチの方がメリットがあるので行きません」とはいかなかった。しかし、今ではウィルス対策の一環として「会わない」ことがすんなり認められるようになってきた。
現在の状況下では、従来通り「営業は会うのが仕事だ」ととらえていると、営業活動が止まってしまう。本来果たしたい目的は、会うこと自体ではなく、商品を知ってもらい購入を検討してもらうことのはずだ。会えないことのマイナスをプラスに変える視点を持てば、今は「ウィルス対策」という旗を掲げながら、コンタクトレス・アプローチを推進する絶好の機会としてとらえることができるだろう。
コンタクトレスのWEB商談に切り替えると、取引先との関係がドライでビジネスライクになるのではないかと考えるかもしれない。しかし、コンタクトレス・アプローチにおいても、人間関係の構築は必要不可欠だ。
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