本書は、主に「問いや注意に関するリスト」を中心として進められていく。リストには「いかにして問題をとくか」という書名と同じタイトルがつけられており、表紙を開いてすぐの見開きと、裏表紙をめくった見開きにそのリストが掲載されている。
そして本文では、リストの目的が論じられ、実例によってその使い方が示され、そこに出てくる考え方や思考作用が説明されている。このリストを上手に使い、本書に書かれている「問いや注意」を自分に与えることができれば、自分が問題を解くときにきっと役立つだろう。そして、同じ「問いや注意」を学生(職場の部下や後輩に置きかえてもよいだろう)に与えれば、彼らが問題を解くのを助けることができるだろう、と著者は述べている。
著者は、「問題を解く」という仕事を4つに区分し、それをリストにも反映している。区分の1つめは、「問題を理解する」こと。第2に、いろいろな項目がお互いにどう関連しているか、わからないこととわかっていることがどのように結びついているか、解がどんなものであるかを知り、「計画を立てる」こと。第3に、その計画を「実行する」こと。そして第4に、解答ができ上がったら振り返り、もう一度よく「検討する」ことだ。
たとえば学生が数学の問題を解くときに一番よくないのは、「問題をよく理解しないうちに計算や作図に飛びついてしまうことだ」と著者は言う。「問題の大きなつながりを理解しなかったり、何等の計画をも持たずに、細かい仕事をはじめるということは無意味である」。
さらに、自分の計画を実行しながら各段階を検討すれば、多くの場合は間違いを避けることができるだろう。また万一、自分が導き出した解答を調べ直すことを怠れば、大切な結果が失われてしまうだろう。
われわれが問題を解くためには、まずそれをよく理解しなければならない。わからない問いには答えようがないからだ。
問題を理解するためには、「問題を説明してある言葉が分り易い」ことが重要だ。問題文を読んで、わからないこと、わかっていること、与えられている条件などのような問題の重要な部分をつかむ。そのためには、次に挙げるような質問が役に立つ。「未知のものは何か、与えられているものは何か、条件は何か」。
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