テレワークを始めて、職場との環境の違いに戸惑うことはないだろうか。職場では、相手の表情や態度などから、その様子をうかがい知ることができる。そのため、自然とマナーに沿った行動がとりやすい。ところが、テレワークはお互いの様子がわかりにくいため、不安や疑心に陥りやすいのだ。上司は「部下が真面目に働いているのだろうか」と不安になり、部下は「上司に勤務態度を疑われているのでは?」とストレスを抱えてしまう。
そんなとき、上司や先輩の立場なら、部下や後輩の環境や気持ちを考えて声をかけることが必要だ。また若手社員は、上司や先輩の立場を慮って接することが求められる。
疑問点があれば遠慮なく尋ねるとよい。心の扉を開き、礼節のある言い方をすれば、自分の気持ちが正しく伝えられる。それにより人間関係も円滑になるため、テレワークのストレスも軽減するだろう。相手が目の前にいないからこそ、お互いを思いやる心に基づいた「マナーあるコミュニケーション」が重要となる。
著者の会社では、東日本大震災をきっかけにテレワークを導入した。導入当初は、職場で顔を合わせているときと同じような感覚で働いていたという。そのため、認識のズレや誤解が頻発した。
スタッフは「いちいち会社に報告しなくていいだろう」と考えた。これに対し上司である著者は、気がかりな点があっても「スタッフのストレスになったら申し訳ない」と、連絡を躊躇していたのだ。それが社内の連携をいっそう希薄にしてしまった。
あるとき著者とスタッフは話し合いの場を持ち、思いを率直にぶつけ合った。その結果、コミュニケーションの大切さを共有でき、毎日2回「業務報告書」を送るようになった。これにより、定期的に「報告・連絡・相談・確認」が行われ、誤解が生じなくなったのだ。もしトラブルが起きた場合には、業務報告書を証拠資料として活用することもできる。
実のところ、業務報告書をまとめることは本人にもメリットをもたらす。1日を振り返り、それを文章にまとめることで、自分が何をしたかが実感でき、それが自信へとつながるのだ。
テレワークの環境を整えることは、仕事を円滑にするだけでなく、仕事相手に迷惑をかけないことにもつながる。具体的には次のポイントをおさえるとよい。
(1)インターネット環境を整える
(2)古いパソコンは新しい機種に替える
(3)パソコンのカメラやマイクを使える状態にする
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