そもそも買い物とはどのような行動か。本書では買い物を「仕方」と「探し方」という2つの面から考察する。
買い物の仕方は、6つに分類できる。どれもアナログからデジタルに移行する中で生まれた新しい手法だ。
(1)ウィッシュリストショッピング
気になった商品を「お気に入りリスト」に入れ、まとめて検討し購入する。忘れたくないものを保存しておく方法だが、買わずにリストに残るケースも多い。
(2)レコメンドショッピング
調べたり選択したりするのが面倒な人が、SNSで誰かがすすめている商品をそのまま買うケースが増えている。調べる手間が無く、楽で手っ取り早い方法だ。
(3)カウンセリングショッピング
これは店舗やブランドに、自分に合う商品を選んでもらう買い方だ。典型例はコスメ購入時に店員に相談しながら買うことである。現在ではリアルでのカウンセリングが激減し、オンラインカウンセリングに移行しはじめている。
(4)インフルエンサーショッピング
影響力を持つインフルエンサーや友人がすすめる商品を購入する。レコメンドショッピングと近いが、「知らない誰かのおすすめ」と「名前を知っている人のおすすめ」という違いがある。
(5)DtoCショッピング
卸や小売りを通さず、メーカーから直接個人に販売する方法だ。双方向コミュニケーションが可能となり、個人とメーカーがつながれるようになったことから生まれた。
(6)ストップウォッチショッピング
買い物にかける時間を短縮したい消費者のニーズに応えたもので、サイトの注文履歴から「同じ商品」を注文するなど、短時間で手間をかけずに購入するショッピング形態を指す。究極的には思考時間をゼロにし、選択から配送までを自動化することが狙いだ。
これら6つに共通しているのが、煩わしさの排除だ。デジタル化がこうした新しい買い方を、私たちの生活に定着させはじめている。
次に商品の「探し方」だ。探し方のパターンは、「目的系」と「発見系」に分類される。今後、この2つは両極化していくだろう。目的系は、日用品や食品などの商品が対象で、面倒を無くすため、今後は自動化が進む領域だ。一方で発見系は、SNSのレコメンドやバーゲン情報から商品を購入するような行為を指す。魅力的なコンセプトがあればあるほど、その商品は発見されやすい。
世の中の買い物の大半は目的系だ。毎日発生する目的系に対し、発見系は時折発生する程度である。しかし発見系の場合、SNSなどの情報を介してヒット商品になるポテンシャルを秘めている。
人々がネットの買い物で意識しているのは、「失敗を避けたい」ということだ。アマゾンと楽天が強いのは、はじめての買い物でも失敗しにくい仕組みが備わっているからである。ECでの買い物では、はじめて買う商品を手に取って確認できない。そこでアマゾンや楽天には、レビューや口コミを公開し、すでに購入した人の書き込みを確認して安心感を得られるようにしている。そして両社とも、膨大なレビューや口コミの蓄積がある。
では楽天とアマゾンの違いは何か。
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