GAFA(グーグル、アマゾン・ドットコム、フェイスブック、アップル)をはじめとする、米国発のプラットフォーマーの破壊力はすさまじい。ここ10年を振り返っても、その影響により、米国では小売、アパレルなどの業界で倒産が相次いだ。
とくに新型コロナが発生した2020年以降は、こうした変化が加速している。しかし、よく見ると、同じ小売でもシアーズやJCペニーのように白旗をあげる会社がある一方、ウォルマートや米ディスカウントストア大手ターゲットのように、復活し好調を維持している会社もある。その違いを生んだのが「攻め」のDX(デジタルトランスフォーメーション)ができていたかどうかである。
インターネットがもたらしたもう1つの変化は、企業と消費者が直接つながり、あらゆる業界に存在していた中間業者(旅行代理店、自動車ディーラー、広告代理店など)が締め出されるようになったことである。それは膨大な社会コストの削減を意味している。
限界費用とは、売り上げの伸びに対して発生する追加コストである。たとえばゲーム業界の場合、ゲームをつくる際のコストやユーザーを獲得するためのコストなど、初期の投資は必要だ。しかし、ユーザー数が1万人でも100万人でも、比例して発生する追加コストはほとんどない。つまり、限界費用は小さく、売り上げが伸びれば伸びるほど、相対的にゼロに近づいていく。損益分岐点を超えると売り上げの大半が収益となり、それをユーザーに還元することも可能だ。
いま、モビリティー(輸送)、通信コミュニケーション、エネルギーの3つの主要なインフラ分野で、コストが限りなくゼロに近づく可能性が出てきた。まさしく「コストゼロ社会」の到来である。
まずモビリティー(輸送)の分野では、今後数年で自動運転が搭載されたEV(電気自動車)が街中にあふれ出すと予想される。そうなれば、タクシー無料化の流れができるだろう。
3,400冊以上の要約が楽しめる