ZERO IMPACT ゼロ・インパクト

あなたのビジネスが消える
未読
 ZERO IMPACT ゼロ・インパクト
ZERO IMPACT ゼロ・インパクト
あなたのビジネスが消える
著者
未読
 ZERO IMPACT ゼロ・インパクト
著者
出版社
出版日
2021年03月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
3.5
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

本書には「サイバー植民地」というショッキングな言葉が出てくる。GAFAをはじめとする米国発のプラットフォーマーに席巻される日本のマーケットのことだ。

過去のオンラインの競争において、その影響を受けたのはインターネット業界とその周辺にとどまっていた。しかし、あらゆるものがデータ化するいま、その変化はリアルな業界に急速に広がり、第1次から第3次まで全ての産業が巻き込まれようとしている。しかも、そこにゼロ・インパクトが重なる。ゼロ・インパクトとは、モビリティー、通信コミュニケーション、エネルギーの3つのインフラ分野をはじめ、住居、教育、金融、医療などの分野において、コストが限りなくゼロに近づく未来である。

想像してみてほしい。たとえば電力エネルギーのコストがほぼゼロになれば、自社のコスト構造や業界地図はどうなるだろうか。チャンスとなるか、それともピンチにおちいるか。こうした大きな地殻変動を察知し、プラットフォーマーは早くもDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる。日本企業も一刻も早くDXに舵を切らなければ、市場で生き残ることは難しいだろう。

ただし希望はある。新型コロナがもたらした働き方や移動、オフィス環境などの変化によって、日本企業の間でDXへの関心が急速に高まっている。このタイミングを活かさない手はない。まずは本書が描く「さほど未来でない『未来』」に触れてみよう。

ライター画像
しいたに

著者

鉢嶺登(はちみね のぼる)
デジタルホールディングス代表取締役会長。早稲田大学商学部を卒業後、森ビルに入社。その後、1994年にオプト(現:デジタルホールディングス)を設立した。2015年に持ち株会社体制へ移行し、代表取締役社長グループCEO(最高経営責任者)に就任。20年4月より現職。著書は『ビジネスマンは35歳で一度死ぬ』『GAFAに克つデジタルシフト経営者のためのデジタル人材革命』など。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本企業は、DXの総合プロデューサーというべきCDO(最高デジタル責任者)を設置すべきだ。
  • 要点
    2
    攻めのDXを実現するうえで必要なのが、マインドセットの変化、徹底した情報収集、全社員のデジタルリテラシー向上の3つである。
  • 要点
    3
    アジャイル開発を成功させるカギは、ビジネス側とエンジニア側が相互信頼のもと、密に連携をとって進めていくことだ。理想は、企画からプロダクト開発まで連動した開発体制を社内に持ち、内製化することである。

要約

コストゼロ社会の到来

中間業者が排除される
cokada/gettyimages

GAFA(グーグル、アマゾン・ドットコム、フェイスブック、アップル)をはじめとする、米国発のプラットフォーマーの破壊力はすさまじい。ここ10年を振り返っても、その影響により、米国では小売、アパレルなどの業界で倒産が相次いだ。

とくに新型コロナが発生した2020年以降は、こうした変化が加速している。しかし、よく見ると、同じ小売でもシアーズやJCペニーのように白旗をあげる会社がある一方、ウォルマートや米ディスカウントストア大手ターゲットのように、復活し好調を維持している会社もある。その違いを生んだのが「攻め」のDX(デジタルトランスフォーメーション)ができていたかどうかである。

インターネットがもたらしたもう1つの変化は、企業と消費者が直接つながり、あらゆる業界に存在していた中間業者(旅行代理店、自動車ディーラー、広告代理店など)が締め出されるようになったことである。それは膨大な社会コストの削減を意味している。

限界費用が限りなくゼロに近づく社会

限界費用とは、売り上げの伸びに対して発生する追加コストである。たとえばゲーム業界の場合、ゲームをつくる際のコストやユーザーを獲得するためのコストなど、初期の投資は必要だ。しかし、ユーザー数が1万人でも100万人でも、比例して発生する追加コストはほとんどない。つまり、限界費用は小さく、売り上げが伸びれば伸びるほど、相対的にゼロに近づいていく。損益分岐点を超えると売り上げの大半が収益となり、それをユーザーに還元することも可能だ。

いま、モビリティー(輸送)、通信コミュニケーション、エネルギーの3つの主要なインフラ分野で、コストが限りなくゼロに近づく可能性が出てきた。まさしく「コストゼロ社会」の到来である。

モビリティー分野はこう変わる

まずモビリティー(輸送)の分野では、今後数年で自動運転が搭載されたEV(電気自動車)が街中にあふれ出すと予想される。そうなれば、タクシー無料化の流れができるだろう。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3209/4052文字

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2021.05.06
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
News Diet
News Diet
ロルフ・ドベリ安原実津(訳)
未読
ファーウェイ 強さの秘密
ファーウェイ 強さの秘密
鄧斌光吉さくら(訳)楠木建(監修)
未読
ディープテック
ディープテック
丸幸弘尾原和啓
未読
教養としてのAI講義
教養としてのAI講義
メラニー・ミッチェル松原仁(解説)尼丁千津子(翻訳)
未読
ウィニングカルチャー
ウィニングカルチャー
中竹竜二
未読
買い物ゼロ秒時代の未来地図
買い物ゼロ秒時代の未来地図
望月智之
未読
問いの立て方
問いの立て方
宮野公樹
未読
人類とイノベーション
人類とイノベーション
大田直子(訳)マット・リドレー
未読