会話や議論をするには、3つの力が必要だ。言いたいことを相手に伝える力、相手の言うことをちゃんと聴きとる力、そして互いに質疑応答・議論をする力である。
だが、自分の「言いたいこと」が曖昧だったり、価値のないものだったりすると、この3つの力だけをつけても意味がない。まず身につけるべきは、「言いたいこと」をはっきりさせる力である「重要思考」だ。
「重要思考」を使って次の4つのステップを踏めば、コミュニケーションはうまくいく。
(1)言いたいことをはっきりさせる(「重要思考」で考える)
(2)言いたいことを相手に伝える(「重要思考」で伝える)
(3)相手が言いたいことを理解する(「重要思考」で聴く)
(4)相手とちゃんと会話・議論する(「重要思考」で伝え合う)
「重要思考」ができれば、自分の話の説得力も、他人との議論の効率も上がる。考えること、伝えること、聴くこと、議論すること、相手をほめること、議論をファシリテートすること、多数を相手に説明すること、緊急時に判断することなど、あらゆることに活用・応用できるのが「重要思考」なのである。
ロジカルに考える基本は、「塊」と「つながり」をはっきりさせることである。たとえば、「アマゾンが急成長しているのは品揃えが多いからだ」と言いたいとする。この場合、「アマゾンが急成長している」が塊A、「品揃えが多い」が塊Bで、つながりは「~なのは~なため(BはAの原因)」だ。
このように分けてみると、塊もつながりも曖昧なことがわかる。「成長」とは、ユーザー数なのか、売上なのか。「急」とはどの程度か。「品揃えが多い」とは、競合に比べてなのか、絶対値なのか。
塊とつながりをはっきりさせるためには、「程度」と「範囲」をはっきりさせよう。たとえば塊Bは「北米アマゾンの品ぞろえは3.5億品目、電化製品だけでも3200万品目にのぼり、競合ベスト・バイの10倍以上である」。塊Aは「北米アマゾンは競合の7倍の売上成長率」などと言えるだろう。
つながりは、原因以外にも結果や前提などさまざまなものがあり得る。どのようなつながりなのか、そのつながりがどれくらい強いのかを明確にする。100なら唯一絶対の原因に、10ならあまたある中の一つに、1なら些細な原因だといえる。
こうした作業を通じて、塊の「程度」と「範囲」、つながりの「向き」や「太さ」をはっきりさせよう。このステップを踏むことではじめて、伝えたいことが明確になり、相手との意思疎通が可能となる。
「重要思考」は、「塊」と「つながり」の考え方を応用したもので、「大事な(重い)ところで差があるか」と考えて、一番強いつながりのある塊に集中することだ。
ここで特に注目するのは「重み」だ。
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