視線は多くのメッセージを伝えるものだ。実際、脳の取り扱い説明書と言われるNLP(Neuro Linguistic Programing:神経言語プログラム)では、視線の動きに注目して、相手の心を探る。右は未来、上は想像するときの方向であるため、右上を見ながら話しているなら嘘だと、左は過去、下は本当の気持ちを感じるときの方向であるため、左下を見ているなら本当のことを話していると分析する。
気配りは、視線を配ることだと言ってもいい。好かれる人はいつも気持ちと視線を相手に配っている一方で、嫌われる人は自分の評価を気にし、気持ちも視線も相手に配ることができない。相手に気を配るように意識すると、視線もまた自然と相手に向かうものだ。
相手の視線をつかむことは、相手の心をつかむことだ。人の心をつかむ人はチャンスをつかむ。会議でも視線が合っている人には話が振られやすいし、好かれる人は多くの人に視線を投げかけることで信頼関係を築き、チャンスにつなげている。
視線の配り方によっては、相手に嫌悪感を抱かせ、ハラスメントになることもある。相手を不快にさせないためにも、自分の視線には意識的にならなければならない。
どのようなポジショニングで人と話すかによって、印象は大きく変わる。例えば、正面から向かい合って座る「対決姿勢」だと緊張感が高まるため、オープンに話したいときは避けるべきだ。一方、横並びの位置だとリラックスできる。横並びに座ると、見ている景色が同じになり、気持ちも一致させやすいからだ。
とはいえ、初対面の相手や仕事の相手と横並びに座ると、不自然になる。ほどよい距離感が保てる斜め45度の位置がいいだろう。相手の気が散らないように入り口から遠い場所に誘導する、威厳をアピールしたいときには太陽を背にして後光が差しているように演出するなどといったテクニックもある。安心感や信頼感を築く作業は、話す前から始まっているのだ。
細かい仕草にも注意しよう。自分の手や足を相手に向けて広げながら話すと、相手との心の距離が近くなりやすい。商談が進んできたら上着を脱ぐのも有効だ。鎧を脱ぐのと同じで、警戒心を解いたことを相手に伝えられる。相手の心を開きたいなら、まずは自分から心を開いてみせるようにしよう。
人は無意識に自分に似た人に安心感や信頼感を抱く。これを心理学では「類似性の法則」と呼ぶ。私たちは、服装や表情、行動、価値観などが自分と似ている人に対して、安心感や信頼感を抱くようにできている。
だから、相手と信頼関係を築きたいなら、自分は相手と似ていることを示すことが不可欠だ。これは心理学では「ペーシング(同調効果)」と呼ばれるスキルで、相手と呼吸や仕草、話すスピードなどを合わせることで無意識に働きかけて、信頼関係を構築する。好かれる人は自然にペーシングしている一方で、嫌われる人は知らず知らずのうちにディスペーシング(反同調行動)しがちだ。
といっても、相手との類似点がすぐに見つかるとは限らない。ならば、
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